第12話

 3分で来た。本当に、しわしわのおばあちゃんだった。


「どうもお。自慰の調子はどお?」


「まあ、そこそこです」


「げぇんきだぁねぇぇ」


 間の抜けたおばあちゃんだな。


「で、これが。この子の身体にあの子がこれを」


 おばあちゃん。私の身体を覗き込む。そしてなぜか、私を押さえつけるPA。まだ全裸。


「ほええ」


 おばあちゃんの眼。たしかに、仕事人の目だ。


「あなた、なにか、見えてるわね?」


「何かって」


 なんだ。


「あ、あれよ。あなたの眼のことよ」


「あっそっか。生まれつき、眼を見れば性格が分かります」


「ほお。いい眼だねええ」


 おばあちゃん。まだ私のおなかを見ている。手持ち無沙汰なので、PAの突起をつねった。


「いたいいたい。なんでもつねればいいってものじゃないのよ」


 おばあちゃん。再びこちらを見る。仕事人の目。


「感情返しだね」


「感情返し?」


「感情反射って言ってね、相手の言ったことを通して自分のことをしるんだけども、それがいま、あなたとあの子の間で出てるわねえ」


 おばあちゃん。私のおなかをさする。やさしい手つき。


「これは、歌詞だね、たぶん」


「歌詞」


「これ、写真で」


「いや先生。写真はまずいと思うんで、私が書き写すわ」


「おねがいねえ」


 写生大会がはじまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る