カミサマ殺し

静謐の楽団

第0話 プロローグ

その男は走っていた。

眼前には武装した「御使い」達。


それらをすれ違う一瞬で切り捨て、先へ進む。

その手には一振りの刀。

完成された対カミサマ特攻霊装。


この世界に「カミサマ」を生み出した元凶。

それを倒すことができる唯一の刀。


何もかも失った少年は、ただひたすらにその刀を振るう。

全てを成したとき、彼はやがて塵に変えるだろう。

そこには何も残らず、ただ静寂のみが世界を支配する。



「そこを……どけ……!!!」


顔にヒビが入り始め、限界が近いことを示している。

その力の代償は、少年の寿命そのもの。一振りする度に彼の命が少しずつ散ってゆく。


だが、それでも彼は諦めない。例え腕がひび割れ、刀が折れようと、その復讐心は決して潰えない。


最後の「御使い」を切り伏せ、ついに最後のカミサマの元へ辿り着く。


―――――――――――――


遥か古代、神代と呼ばれた時代。

とある地方では神は人を泥から創り出し、とある地方では神の子とその使徒が奇跡を起こし、とある地方では死後の魂は神によって裁かれるという。


そしてどの神々も、やがて支配権を人に賜しこの世を去った。



…はずだった。


これはとある異聞帯。 あり得たはずの人類史。

人類を愛し、立ち去ることを拒否した神々は、自身を矮小化させることで世界を騙し、人類を繁栄させた。

しかし理想郷はとうに消え、神々は力を保つために循環する世界のエネルギー、即ち愛していた人間達の魂を喰らう。


これは剪定の物語。世界を呪った少年の復讐劇


Lostbelt No.i ■■■■神話 ■■■■■■

異聞深度:B+

年代:AD.800~


空 想Apparition 認 定Certificate






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