第19話 ネコパーティと西の森だよ!①
草原をぬけて西の森に着いた。
「私はこの短剣で戦うんだけど、マリーちゃんは?」
「ん......。私は魔法を使える」
マリーちゃんは猫耳パーカーのポケットに手を入れて杖を取りだすと、杖を握った手を高くあげて得意げに胸を張った。
マリーちゃんの背より少しだけ小さい杖。絶対にポケットに入るような大きさじゃない。
「えっ。そのポケットどうなってるの?」
「......?」
マリーちゃんは可愛く首を傾げた。少し考えた後、何かに気づいたように両手をポンッ! と叩いた。
「伝えるの忘れてた。猫耳パーカーの小型収納ポケット。チカのにもついてる」
「なにそれ! すごいじゃん!」
「ん! 猫耳パーカーはすごい」
試しに短剣をポケットに入れてみると、バックみたいに問題なく出し入れできた。
これはすごい助かる。すぐ短剣を握れるように帯剣用のベルトみたいなのほしかったけど、猫耳パーカーって大きめでダボダボした感じだったから困ってたんだよねー。
「じゃあ近づいてきた魔物は前方で私が戦って、距離が離れてる敵は後方からマリーちゃんに任せる感じでだいじょうぶ?」
「ん。だいじょうぶ。」
「そういえば魔法ってどれぐらいつかえるものなの?いくらでも使えるわけじゃないよね?」
「難しい質問。使いすぎると脱力感で立っていられなくなる。最後は意識を失う。」
「へー。休んでいれば回復するものなの」
「正解。個人差もあるけどレベルで魔力量がかわる。」
「じゃあ余裕をもって休憩しながらのが安心だね。」
「ん。さすがチカ。助かる。」
マリーちゃんとパーティ連携の相談も終わったので森にはいった。
森の入口付近はホーンラビット単体しか出てこなかった。私が昨日で慣れてたのもあって、二人でサクサク倒す。
もう少し奥にいっても大丈夫かな?
「マリーちゃん。森の奥はどんなのがでてくるの?」
「ん。ヒートモンキーがでる」
「それって強いの?」
「そんなに強くない。けど群れでいると大変。」
「じゃあ少し休んだら、奥にいってみない?」
「ん。りょーかい」
少し休憩してから森の奥に慎重に進んだ。
──あれはサル?
茂みの奥に赤色の毛並みのサルがいた。まだこちらに気付いてはいないみたい。
私はゆっくり背後から近づいて距離を詰めた。
──この距離ならいける!
私は地面を強く蹴って、一気に間合いを詰めた。そのままヒートモンキーの首元を狙って短剣を振り抜いた。
短剣の刃はヒートモンキーの肌に抵抗なく食い込み、そのまま止まることもなく胴体から首を分断した。
「ふっー! ちょっと卑怯だったかな?」
ホッと一息ついていると、突然私の斜め前方に炎の魔法が放たれた。
「!?」
慌てて放たれた方向へ顔を向けると、焼き焦げた地面の上に全身を炎で焼かれたヒートモンキーが倒れていた。
「チカ。油断しちゃだめ。気をつけて囲まれてる......」
「ごめんね! 助かったよ」
私は周囲の木々を見渡した。
2匹? ......いや3匹か。逃してはくれなそうかな。
「マリーちゃん後方から魔法で援護をお願い!」
「ん! 任せて!」
そう言うと、マリーちゃんは杖を構えて、炎魔法を放った。
木の上から飛び降りて襲い掛かろうとしていたヒートモンキーは燃え上がり苦しみながら落下する。
他のヒートモンキーが左右から私に襲いかかってきた。
私は踏み込んで片方の敵との距離を詰めた。ヒートモンキーは噛みつこうと飛びかかってくる。
私は斜め前方に躱しながらヒートモンキーを切り裂き、すぐに逆方向にいるもう1匹のほうに振り返った。
「ウキィィィーッ!!」
ヒートモンキーは怒り狂った叫び声をあげながら飛びかかり鋭い爪を振り下ろしてきた。
前方に躱せる距離じゃなかったので後方にジャンプしてギリギリ躱す。
「ん......!」
すかさず後方にいたマリーちゃんが炎魔法を放った。
体勢を崩していたヒートモンキーは躱すことができず、燃えあがり地面に倒れた。
私は切り裂いたヒートモンキーにゆっくりと近づいていった。
ヒートモンキーは激しく息を切らしながら、歯を剥き出しにして、私を睨みつけてきた。
少し抵抗があったけど仕方ないのでトドメを刺した。プロパティで死んでいるか確認してからヒートモンキー達をバックに回収する。
「今度こそ終わったかな?」
「ん。周囲にはいないみたい」
少し疲れたので森の入口付近まで下がり休憩することにした。
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