第13話 あの頃のわたし

 ギルドをでて宿屋に戻ってきた。部屋のドアを開けて中に入りベットに座る。


「はあ……。これからどうしよう」


 私はギルドでの出来事を思い出して溜息をついた。


 元の世界にいた頃にDQNに遭遇して撃退!みたいな漫画動画は好きでよく見てた。遭遇したら参考にするつもりだったけど残念。異世界編はなかったよ。


 んー。この街のギルドにはもういけそうにないかなぁ。


「ゲームを始めた頃を思い出してワクワクしたのになぁ……」



 学生の時にはまってたVR MMO RPG。友達に誘われたのがきっかけで面白そうだから遊びはじめた。広大で色鮮やかMAP。

 

 出会った仲間達と色々な種類のモンスターを倒した。仲間達とレベルを上げながら素材を集めて強い装備を作ってみんなで笑い合った。強くなっていくことが実感できるのがすごく楽しくてドンドンのめりこんでいった。


 はじめて少し経った頃。私はひとりの女性プレイヤーと出会った。


 最高クラスの神器級の槍を持った上位プレイヤー。気が強くて強引なところもあったけど気さくで明るくてどこか憎めない。そんな人だった。

 

 彼女は私を色々なところに連れて行ってくれた。危ないときはいつも笑いながら助けにきてくれた。

 

 私はそんな彼女の足手まといになるのが嫌で、彼女に追いつこうと当時は必死だった。


 愛用の槍を投げて最高難易度のBOSSにトドメを刺して高笑いしている彼女の姿をいまでも鮮明に思い出せる。私の憧れだった。



『チカに持っててほしい。』


 彼女がいなくなった日。私は彼女が愛用してた槍を受け取った。


 彼女がいなくなってから、あれだけ楽しかったゲームが全然楽しくなくなってしまった。まるで別のゲームで遊んでるみたいだった。



「おねえちゃーん!夕食できたよー!!」


 マイちゃんの声でふと我に返った。

 窓の外をみるといつのまにか日が沈んでいた。

 

 彼女は元気にしてるかなぁ……?


「おねぇちゃーん?」


「はーい! すぐ行くねぇ!」


 私は部屋をでて食堂に向かった。

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