第2話 牢獄の女
新緑の大地がカサカサと風に揺れる。
鉄格子の窓から見る景色はいつも変わりがない。青い空。白い雲。
東の空から西の空へ太陽が移動する。それを追いかけるように月が東の空に出る。またそれを太陽が追いかける。日々それの繰り返し。もう空にも見飽きた。
暇すぎて昼寝をすることにした。
「オイ! 起きろ!」
番人が大声で叫んだ。この命令口調が気に入らなかった。一気に不機嫌となる。
(寝たばかりなのに・・・)
番人を無視することに決めた。私は眠い。狸寝入り。
ガチャリと牢屋の鍵が開けられた。ギーと鉄格子の扉が開く。ズカズカと番人が近づいて来るのが分かる。
「起きろ! 取り調べの時間だ!」
番人は無理矢理立たせようと腕を引っ張りあげた。流石にキレた。
「痛い。レディの扱い方がなってないわ!」
「ふん。身元不明の女なんて、この程度だ!」
耳元で大声をだされたのが腹立たしい。耳がキーンとする。それにこの扱い。腕を後ろに回され、両手首を木板の枷で固定されていた。
「とっとと歩け! 急げ!」
(いつか覚えてなさい!)
お尻を蹴り飛ばされそうになったが、役人が見ていたのでフリだけで済んだ。門番から役人へ私を突き出された。
「君は、いつもこのような態度かね?」
「いや・・・。その。・・・スミマセン」
その番人は顔色が変わった。興奮した赤色から、今は青色だ。どうやらこの役人は何かしらの権力を持っているようだった。
「大丈夫でしたか?」
背が高いスラリとした男が私をエスコート。
・・・かと思ったのだが、笑顔でスルリと腰ひもをくくりつけられた。手慣れている。流石、ザ・役人。
(いやいや、そうじゃない・・・)
感心している場合ではない状況。
「さぁ、行きましょうか?」
「・・・」
首を縦にうなずくだけだった。もはや怒る元気も無かった。
役人に連れていかれた場所は想像した部屋では無かった。てっきり拷問されるものだと思っていた。
王室の一角である部屋のように思えた。飾りがスゴい。流石は大臣室。
(なんで猿が・・・)
「失礼します、大臣。連れてまいりました」
「ご苦労。下がっていいぞ」
「ハイ、失礼します」
その役人はアッサリと部屋を後にした。
(ちょっと待って・・・今、大臣って言った?)
「さてと・・・」
その大臣は窓のカーテンをすべて閉めていった。
(ま、待って・・・)
私は顔が青ざめた。これから猿にイヤらしいことをされてしまうことが、なんとなく想像できた。
(だ、ダメよ。何とかしなくては・・・このエロ猿)
絶体絶命。手首には枷。腰にはヒモで巻かれている。
(お願い、誰か助けて・・・)
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