第18話 野生の剣聖に遭遇した

「私の質問に答えてくれるわよね…………?


 もし素直に答えてくれるのなら、うっかり手が滑って、身体を真っ二つになる…………なんて事は起きないわ…………」


「……………………」


 もう声からして、誰だか分かっちゃったよ!!


 いっち番、聞きたくない奴の声だな、こりゃあ…………。


 あんたの声、よく覚えてますよ。


 ってか、確信犯ですね?


 この状況で、身体を真っ二つになる時点でわざとだろうが!!!


 ええっ?


 よ。


「答える義理はないな…………」


 とりあえず、従う意思がない事は表明しておこう。


 人に想いを伝えるって、結構、重要な事なんだよ?


 だから----------------


「あら、そう…………。


 なら、死ん------------!?」


 ----------------こんな風に、野蛮な剣聖に出会ったら、とりあえず、言い終える前に、眉間に一発ぶち込んでおこう。


 お兄さんとの約束だぞっ!?


 というか、流石、剣聖。


 今の全部、打ち落としちゃうか。


 かなり至近距離で撃ったんだがな…………。


 どういう動体視力してんだか…………割と傷付く。


「…………今のは何…………?」


 うっわ、こっちめっちゃ睨んでる。


 今日ほど、美人に睨まれるのが恐いとは思いませんでした。


 いや、そんな風に構えても、俺は何もしませんって…………。


「知る必要はない…………」


 何か、厨二っぽいセリフだな…………。


 戦っても損だし、剣聖もいるんなら、もう引き上げるか。


「っ!? 待ちなさいっ!!!」


 待ってって言われて、待つ奴なんなかいないわ!!


 あばよっ!!


 とっつあ~ん!!!


 こうして、俺は夜の闇へと姿を消した。


 その姿を悔しそうに見つめ、唇を噛み締める剣聖の姿がとても印象的だった。



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る