『小さなお話し』 その１１５

『かまきりさん』

『これは、まったくの、フィクションであります。いくらか、慎重を要する部分はあるかもしれませんが、この世との関係は、ございません。』

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　かまきりさんは、共食いしたり、メスがオスを食べてしまったりするということが有名です。

　彼らには、理由があるのでしょうけれど。

　ときに、昔は、かえるさんの解剖とか言う授業がありました

　あれは、嫌な、授業でしたねぇ。

　子供たち同士でも、いじめは、むかしから、ありました。

　しかし、同窓会あたりに行くと、そんな話は出ませんし、あたかも、何もなかったかのようです。

　仕事がらみで、たとえば、病気とかで、弱い部分のある人が、公に、つまり、大部分の職員、社員の同意のもとで、なぜか、いじめられる場合があります。

　それは、理論的には、つじつまがあいます。

　休みがちだったりすると、経営側にも、同僚たちにも、都合が悪く、労使の利害が、一致する場合が、多いからです。

　ただし、いじめ（パワハラとかも）た方は、教育、指導、と考えている場合も多いみたい。

　しかし、現実に『いじめられた』と、認識する側は、そう簡単には納得がゆきません。

　だって、少なくとも、人生の計画が、崩壊したわけです。

　それが、どれほど、重みがあると思うのか、ですね。（きみは、ないだろ・・・？自分の勝手で、辞めたんだから。たしかに・・・・・まあ。そうかな。）

　　人は、としを取るのです。

　年寄りは、大体は、弱くなるものです。

　現実に、権力を握ってる方だけは、どうやら、例外のようですが・・・・・。

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　『部長、やましんくんは、明日が結婚式ですな。』

　『ああ、社長、そうです。生き残れるかどうかは、あいつは、わかりませんなあ。弱わっちいし。』

　『いわゆる、『カマキリ法』が出来て以降、初夜に、新婦さんが夫を狙う、新郎さんが、逃げ延びるかどうか、とか、何年生き伸びるか、子供は何人か、とかで、将来の年金が決まると、きたから、まあ、ぼくらは、その前だったからなあ。偉そうには言えないが。逆パターンも、ありだしなあ。』

　『最近は、『生き延びる技術と法律』の指南書もたくさん出てますな。一方、逆もたくさん。やられた方が、家族が楽になる場合があるとかね。期限付きの法律ですが、まだ、あと、１０年ある。ぼくらは、暫定措置世代ですがね。情報のおかげでか、最近は、勝負なしの場合が多いようですよ。戦わないと、これまた、処罰されるし。』

　『まあ、ぼくは、社長とは言え、役員報酬は、定額で、しかも、規定の半分以下だし。年金はないし。ぐたぐた。。。。』

　『ま、社長。そこは、言っても仕方ない。社長には、それなりの特権があるじゃないですか。あなたは、社長であるうちは、殺されない。まあ、あの、『ごき大帝』には、逆らえないですしね。ぼくには、そうした特例はないですよ。』

　『まあな、部長さんは、肝が据わってるから。』

　『まさか。』

　翌日から、部長さんは、もう、会社には、来ませんでした。

　しばらくして、山の中で、発見されました。

　しかし、子供は、２人あり、まだ３６歳だったので、奥様の年金ポイントは、ここでは、いくらか、増えました。

　宇宙ゴキの支配は、支離滅裂、まさに、人間いじめ、だったのです。

　直接、殺害するのではなく、さまざまな制度を作って、共食いさせて、弱い個体から、減らそうとしていたのですから。

　やがて、この先、生物化学兵器も使いだします。

　部長さんは、最後に、こう言っておりました。

　『まあ、例外を作らなければ、まだ、ましでしたがね。残念です！　あなたが、社長だから言いますがね。いじめは、いじめたほうが、すべて、悪いんですよ。だから、ぼくは、いじめられたと言う人には、言うんです。あなたが悪いんじゃない、上司の、管理能力に問題があるのです。また、悪法は、悪法だ。ただ、食べられたら、ばからしい。逃げるのも、最後の手段なのは、『カマキリ法』も、同じですよ。食われそうになったら、逃げても、はずかしくない。ぼくらは、いま、理解しがたい、宇宙生物に支配されてる。でも、生きていてほしい、とね。』

　『ほう・・・・意味深な・・・・それは、社長に逆らってるの？』

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい