第86話 裏


『レベルが上がりました。』

 ・

 ・

『『剣術』スキルが2上がりました。』

『『全能操作』スキルが1上がりました。』

『『双剣術』スキルを取得しました。』

『『双剣術』スキルのレベルが2上がりました。』

『『不屈』スキルのレベルが1上がりました。』

『『集中』スキルのレベルが1上がりました。』

『『鉄鋼』スキルを取得しました。』

『『瞬足』スキル、『剛腕』スキル、『鉄鋼』スキルを統合し、『身体増強』スキルを取得しました。』

『『先読み』スキルを取得しました。』

『『鑑定』スキルのレベルが1上がりました。』

『『危険感知』スキルのレベルが1上がりました。』

『称号『人族の守護者』を取得しました。』

『称号『魔淵の使徒を討ちし者』を取得ました。』

『称号『運命の導き手』を取得しました。』

『『勇者(真)』が『勇者(仮)』に戻りました。(再発動可能まで220時間28分12秒)』

 

「……はっ!……ここは?」


 俺は突然頭の中で大量のログが流れてきたことによって目が覚める。


 俺は見覚えはないがデジャブ感のある部屋にあるベットで寝ており、周りに誰かがいることは無かった。


「体は……うん、対して痛くはないな。もしやまた何日も寝てた?有り得るな」


 俺はゆっくりとベットから降り、全身に力が入るかどうか確認しながら身だしなみを確認して部屋から出る。

 すると、この場所で働いているであろう従業員さんと鉢合わせた。


「あっ、目覚めたのですね?おはようございます」

「お、おはようございます。一応聞きますが、ここは?」

「ご想像通り治療院になります。ナルミ様はほぼ丸一日寝ていましたが、他の方々は昨日のウチに起きられましたよ」


 従業員の彼女は箒で掃除するのを辞め、俺との会話に専念してくれる。俺は軽く周りを見渡しながら彼女と軽い雑談をする。

 

「そうか、良かった……。ちょっと寝坊しすぎたかな?」

「いえいえ。仲間の方々からナルミ様が一番活躍したと聞きましたよ?多少寝過ごしても誰も責めませんよ。あ、お仲間の方々はここにいませんので、お呼びしましょうか?」

「ああ、よろしく頼む」

「わかりました。では、お部屋でお待ちくださいね」


 そう言って従業員の彼女は掃除道具を片付け、建物の奥に入っていく。

 俺はそれを見届け、ゆっくりと部屋に戻りベットに寝転がる。なんの音もしない部屋でじっと天井を見上げていれば、無駄に色々な事を考えてしまうというもの。


 俺は……俺達はベルクという圧倒的存在に打ち勝った。あの従業員は俺が一番活躍したと言ったが、そんなことは全くない。あれはレミアクランが居たからこそ勝てた戦いだった。

 俺はただ、トドメを指しただけ。


「もっと強くなりたいなぁ。……そういえば、レベルが上がったな。『ステータスオープン』」


 俺はふと、目が覚める直前に脳内で聞いたアナウンスを思い出す。そうだ、かなりレベルが上がった筈だ。


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 名前:全 鳴海 年齢:17 種族:人族、神の使徒(隠蔽)

 ジョブ:能力者 Lv.13→30

 セカンドジョブ:旅人 Lv.10→19

 HP340/340→680/680

 MP440/440→780/780

 状態:通常

 体力:75→160

 筋力:80→165

 防御力:75→160

 速力:75→160

 器用さ:109→228

 魔法防御力:90→175

 魔力:220→390

 幸運値:50

 スキル:アクティブスキル…『鑑定Lv.3』『隠蔽Lv.1』『気配感知Lv.1』『身体増強Lv.1(NEW)』

 パッシブスキル…『剣術Lv.4』『双剣術Lv.3(NEW)』『不屈Lv.2』『集中Lv.2』『危険感知Lv.2』『見切りLv.1(NEW)』

 ユニークスキル…『アイテムボックスLv.2』

 エクストラスキル…『全能操作Lv.4(隠蔽)』

 称号:『女神の加護を受けし者(隠蔽)』『究極のスキルを手にし者(隠蔽)』『転生者(隠蔽)』『勇者(仮)(隠蔽)』『青灰眼の咆哮を聴きしもの』『人族の守護者』『魔淵の使徒を討ちし者』『運命の導き手』

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『身体増強Lv.1』

 説明:『瞬足』スキル、『剛腕』スキル、『鉄鋼』スキルを統合したスキル。上記の三つのスキルを使えるだけでなく、一つにまとめられたことで当時使用時の消費魔力が抑えられる。

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 『見切りLv.1』

 説明:全ての行動において、相手の行動の一歩先を予測できるようになる。同格以上の相手には効果が薄い。

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 『双剣術Lv.3』

 説明:双剣術を訓練すると手に入れられるスキル。レベル事に攻撃スキルを使用可能になる。

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 『人族の守護者』

 説明:人族を滅ぼそうとする者から人族を守った者に与えられる称号。人族を守りながら戦う時、防御力が1.2倍になる。

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 『魔淵の使徒を討ちし者』

 説明:魔王に選ばれし魔族である『魔淵の使徒』を倒した者に与えられる称号。魔族に対する攻撃力が1.5倍になる。

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 『運命の導き手』

 説明:運命を導いた者に送られる称号。

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「……はは、こりゃ凄いなぁ」


 一気にレベルが17も上がり、スキルと称号もそれぞれ三つ取得した。

 本来、レベルがこんなに一気に上がることはありえない。スキルもそうだ。称号に関しては人生で一個か二個手に入ったらいい方だと言われている。


 だと言うのにこれは……まぁ、それだけベルクがとてつもない相手だったということだろう。


 因みに、俺の今の冒険者ランクであるDランク冒険者達のレベルは10〜15程度なのに対し俺のステータス。俺の職業は最上級職ということも含め、どれだけ俺は圧倒的にずば抜けたステータス頑張っを持っていることが分かるだろう。


 俺はステータスのスキルについて鑑定をし、色んな情報を得る。最後の称号については正直全くわからなかったが、それなりに知識を深めることが出来た。


 この中で一番気になったのは……『双剣術』スキルの説明に書いてある『攻撃スキル』だな。何となくできる気がするので、早く退院しで使ってみたいものだ。

 まぁ、その前に武器を揃えないとダメだが。


 そんな事を考えていると、ドアの向こうで複数人の人の気配を感じる。これは……。


「……ナルミッ!」

「おお、レンゲ。おはよう」

「……ん、おはよう。体は大丈夫?」

「ああ、めちゃくちゃ元気だ」


 ドアが開いて一番初めに駆け寄ってきたのはレンゲで、寝転がった状態から体を起こした俺の腕に抱きつく。


 そしてその後ろからサーナとレミアクランが部屋に入って来る。サーナは来るかなと思っていたが、レミアクランまで来るとは驚きだ。


「なら良かったです!私達が起きても寝てるって聞いて、このまま起きないんじゃないかとヒヤヒヤしたんですから〜!」

「私はナルミ君なら大丈夫だと思っていたが、サーナを宥めるので忙しかったよ」

「すまん。サーナ達にも心配かけたな」


 どうやら皆は俺の事を意外と心配してくれたみたいだ。逆にレンゲは一度長い期間俺が寝てたことがあったからもう慣れたようだ。


 ……あれ?俺ってレミアクランに『君』付けで呼ばれてたっけ?


 コンコンコン。

「入ってもよろしいでしょうか?」

「あっ、どうぞ〜♪」


 ふいに扉がノックされる音がなり、聞き覚えのなあ男の人の声が聞こえる。どうやらレンゲ達はこの声に聞き覚えがあるようで、サーナは返事をしながら扉を開ける。


 入ってきた男性は白い服を着てカルテのようなものを持った、見た目通りの医者のようだ。それなら先に目が覚めたレンゲ達に聞き覚えがあってもおかしくない。


「報告通り、ナルミさんも目が覚めたようですね。最終確認をしますので、横になってもらっても大丈夫でさか?」

「ああ、よろしく頼む」


 俺は指示通りベットの横になり、彼の診断が終わるまで大人しくする。……ん?何となくこの顔に見覚えが……。


「……はい、診断終了です。これなら今日からでも退院しても大丈夫ですよ」

「ありがとうございます。……もしかしてですけど、フルベニカ街の治療師さんの兄弟ですか?」

「ん?ああ、もしや私のロウ兄に合ったのですか?その通りです。これは偶然ですね」

「……言われてみれば似てる……かも」


 フルベニカ街でお世話になり、この街に来ることをおすすめしてくれた治療師さんが言っていた兄弟の治療院で入院するとは……なんとも偶然はあるものだ。


「いつも兄がこちらに来るので、私から兄に会いに行くのもありかもしれませんね。……では、私はこれぐらいで失礼します」

「ああ、ありがとう。おつかれさま」

「……ん」

「ありがとうございます〜!」


 治療師さんが部屋を出た後、俺は三人から俺達が入院した後の話を聞かせてもらった。


 俺が気絶した直後にベルクが倒された事を察知した冒険者や騎士達が大量に会場に流れ込み、事情を全て察している彼等に全員保護されてこの治療院に運ばれたらしい。


 その後、俺以外の目が覚めた彼女達は冒険者ギルドや騎士達が集まる場所に呼ばれ、主にレミアクランが代表として質問攻めにあったらしい。


 そしてあれが魔王の直属の部下である『魔淵の使徒』だとレミアクランが断言した時には、もうそれは大騒ぎ。今頃王都の重役にも話が届いてるかもしれないらしい。


「最近、魔族の侵略はどんどんと強くなってきていたが……ここまで明確に人族の街を攻撃したのは久しぶりらしい。現在『勇者様』が旅をしながら戦ってくれているため被害は最低限になっているが、それも完璧では無い」

「確かに……魔淵の使徒がどれくらいいるか知らないが、全員が一切に多方向に攻撃すれば勇者一人でどうにかなるわけが無いな」

「ああ、その通りだ。国もこれから魔族の侵攻が激しくなると考え始めるだろう。だがら、私個人として君に頼みがある」

「頼み……ですか?」


 レミアクランは今までにないくらい真剣な表情をして俺を見つめる。そして、まるで俺を戦場に送り出すかのように覚悟を決めた声で話す。


「ナルミ君には、裏の勇者になって欲しい」

「裏の……勇者?」

「ああ。その為に先程の説明会も面倒な資料も君のことについてだけ誤魔化しておいた。ナルミ君には、『二人目』でも『真の』でもない。『裏の勇者』になって欲しいんだ」



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 『紋章斬りの刀伐者〜ボロ刀を授かり無能として追放されたけど刀が覚醒したので好き勝手に生きます!〜』という作品も投稿しています!ぜひ読んでみてください!







 


 

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