第41話 派生
解体を終わらせた俺達は次の魔物がいる場所に向かう。
最後の討伐依頼は『グレーウルフ』を五匹以上討伐するという物だった。『グレーウルフ』とは名前通り灰色の狼の魔物だ。
調べた特徴によると強靭な顎で噛みつき、スキルで強化された鋭い爪で引っ掻いてくるらしい。
しかも、個体によっては魔法も使ってくる奴もいるらしいので油断はできない。と、言っても今から行く場所にはレベルが低い個体しかいないので魔法持ちはいないが。
「レンゲは
「……グレーウルフは戦ったことないけど他の狼とは戦ったことあるから大丈夫」
「おお、それは心強い」
ちなみに鬼人族とはいえ何故こんなに強いかと聞けば、鬼人族の鍛錬はまさに実践あるのみらしく、技の一通り身につけたら即実践だったらしい。
殆どの鬼人族が男女関係なくこの鍛錬を子供の頃から受けているので、他種族からもまさに『戦闘民族』ならぬ『戦闘種族』的な感じで認識されてるようだ。
俺はステータスの追加機能の(すっかり忘れていた)レーダー的なのを使いグレーウルフの居場所を調べる。
わざわざこの『気配感知』を使う理由は、今も『全能操』の練習をしているからこれを使うとで『気配感知』を使うと更に魔力操作が難しくなるので流石にこれ以上は体の動きに支障が出ると思ったからだ。
いつかはこの程度簡単に出来ないとダメなんだけどね。
ちなみに何故このレーダーを使うと自分で魔力操作をしなくていいのかは分からない。魔力は減っているがイメージ的には自動でスキルを使ってくれている感じだ。
俺は数匹の魔物が一箇所集まっている場所を見つけたのでレンゲに教え、二人で気づかれないように近づく。気配的にボスのような強い個体はいないが、どうやら小さな群れのようだ。もしかしたら少し離れたところに大きな群れがあるのかもしれない。
グレーウルフ達はどうやららもう原型をとどめてない為何かは分からないが狩りをして捕まえた魔物か動物を食べているようだ。
(油断してるな。一匹ぐらい奇襲でやれるか?)
(……狼系は耳がいいから避けられる。戦闘不能は無理かも)
(わかった。さっき決めた作戦通り行こう)
(……ん)
(よし行くぞ!)
作戦と言ってもそんな大層なものではなく、どちらかと言うと
レンゲが飛び込んで俺もその後飛び込む。たったそれだけの事だが、二重の奇襲という決して脳筋突撃ではないとだけ言っておく。
「キャウウン!?」
「……浅い。二式……」
「「ガァァ!!」」
「……チッ」
奇襲で一匹やれたように見えたがどうやらレンゲが攻撃する直前に気づかれたようで、少し受身を取られたのかまだ戦えそうなグレーウルフを見て追撃しようとしたが近くにいた二匹に邪魔されたレンゲは後退していた。
そこに俺も剣で奇襲しようと思ったがその瞬間、頭にシステム音が流れる。
『『全能操作』のレベルが上昇しました。』『派生スキル『
俺は突然の出来事に一瞬硬直するが、すぐに気を取り直して『全能操作』を使うと確かに『魔力衝撃波』が使える感覚があった。
ちなみに派生スキルとはメインのスキルをレベルアップさせる等の条件を満たすことで手に入っるスキルのことだ。
俺はさっきまでしていた練習をやめて剣を持たない左手に何時でも『魔力衝撃波』を使えるように魔力を貯め、剣を抜きながらレンゲの横に飛び出る。
その時はちょうどグレーウルフ二匹がスキル(『強爪』と呼ばれている)を使ってレンゲに飛びかかろうとしているところだった。
一応作戦通りだかこのタイミングで来るとは思わなかったレンゲと突然現れた俺にグレーウルフ達は驚いていたが、俺はそんなこと気にせずスキルを使う。
「『
「「キュウウン!?」」
グレーウルフ達は全く未知の感覚に驚いて飛びかかろうとして力を入れた足の力が抜け、驚きと困惑で少し不安定になった魔力操作を物理的……いや、魔力的に直接不安定になったせいでスキルを解除してしまう。
「はあっ!!」
「……一式『
俺がグレーウルフ達が混乱状態になった瞬間斬りかかったのを見て一度見ていたのもあって直ぐに気を取り戻したレンゲも斬り掛かる。
俺は隙だらけになっていたので一撃で仕留めようと思ったが上手くいかず、まだ動いていたがもう戦えないぐらいのダメージは与えられた。
レンゲの方を見てみると、流石と言うべきか一撃で絶命させていた。
俺は周りにいるあと二、三匹のグレーウルフを油断せず警戒しながら先程仕留め損なったグレーウルフにとどめを刺す。
「……使えるようになったの?」
何とは言ってないが『魔力衝撃波』の事だろう。ランゲはあの時に見ていたから何となくわかったはずだ。
「ああ、ホント奇襲かける直前に使えるようになった。今はまだ安定してないけど上手く使えるようになったらもっと協力になるなコレ」
「ガァァ!!」
「……八式『
「シッ!……まだレンゲのほうが強いけどね」
「キャウン!」
急に飛びかかってきたグレーウルフにもレンゲが腕を叩き上げて作った隙を俺が斬る。
やはりまだまだ経験不足の俺じゃあレンゲにはまだまだ敵わない。
俺も怠けずに強くなろうと思いながら残る魔物達を討伐をするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます