絆 epilogue

「ただいま」


「おかえり。ごはんもできてるしお風呂も沸いてるよ」


「あら、やってもらっちゃった。ありがとう」


「どうする?」


「お風呂入りながらごはん食べるっ」


「いや全部同時はさすがにしんどくないですか」


「あれ、大丈夫って言ってくれないんだ」


「ごはんがふやけると思うので、大丈夫ではないと思うんですが」


「思ってるだけでしょ。ほら。やってみよっ」


「えええ」






「ね?」


「お風呂入りながらごはんを食べる日が来るとは思わなかったです。そして美味しい」


「美味しいね。今日はね、仕事がうまくいったの」


「そっか。よかったよかった」


「なんか途中から副編集長とかまで来て、みんながみんな感動してくれたの。涙流して」


「おお。それはすごい。発売日が楽しみだね」


 ふたりして、仕事の中身の話はしない。描くものと、読むもの。立場はまったく違う。


 それでも、普通に信じ合える。


 絆は、立場を越えると知っているから。

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