World Building 5 マナと元素魔法
●はじめに:
この世界の魔法を構成する重要要素である『マナと元素精霊』の解説を行います。
●
この世界の魔法はすべからく精霊を仲介して、空中の『
マナとは生命力の残り香とも呼ばれる特殊な要素です。
生命や物質にはそれを構成する存在力があります。この存在力の大きさによって、その生命・物質の大きさや強さが決まるわけですが、そのエネルギーは日々生成されており、その余剰分が大気中に漏れてマナと呼ばれる要素へと変化します。マナとはいわば世界を構成する存在力の余剰分であり、これを再構成することによって無から有を生み出すことが可能になるのです(無論、本当の無からは有は生まれませんが……)。
このマナを燃やす点火時に必要なのが人の精神力です。そしてより多くのマナを燃やすにはより大きな精神力が必要になります。このためより多くのマナを扱うと、精神が消耗して疲労状態に陥ります。これが、魔法使いが魔法を扱ったときに感じる疲労感の正体です。
●五大元素とその発生:
魔法の基本要素である五大元素理論は、その起源を古代統一文明時代まで遡ることが出来ます。当時の支配民族が使っていた『天の魔導』の基礎として考え出されたこの理論は、この世界の後の魔法使いにまで継承され現在に至っています。
五大元素理論は、季節や生命の生死を五つの状態で表した『五素循環説』を基盤として考えられたとされています。その五つの状態とは「生まれること」「成長する事」「安定する事」「老いること」「死ぬこと」です。
また、世界中の神話に残る共通の天地創造神話にその始まりを見ることが出来ると考える学者もいます。それは以下の通り。
『混沌より光と闇が出でて北にスルテン生じる。その逆方向に熱が集まりアグナイト生じる。さらに残った熱は風となりて東へ向かいドラシル生じる。その反対方向に冷気が集まりドラゴニス生じる。最後に残った要素が中央に集ってベヒムス生じる』
これらの理論や神話をもとに考え出されたのが『五大元素理論』なのです。
以上の事から、魔法使いが扱う元素精霊は、その五大元素理論に基づき『
●五大殺:
五大元素には属性的な優劣が存在します。
同じ魔力の魔法同士をぶつけた場合、より優れた元素精霊を仲介にした魔法が、劣った元素精霊を仲介にした魔法を完全に消し去ることが出来ます。これを『五大殺』と呼びます。
以上が五大殺であり、魔法にはこの属性効果を利用した、短詠唱の対抗魔法が存在しています。
●五大生:
五大元素は特定の属性から他の属性を生み出すことが出来ます。
特定の魔法のエネルギーを再変換して自身の魔法に役立てることが出来ます。これを『五大生』と呼びます。
以上が五大生であり、魔法にはこの属性効果を利用した、短詠唱の変換魔法が存在しています。
さらに言うと、生成元の属性は生み出される属性にエネルギーを奪われて衰えるため、これら変換魔法を防御に利用する者もいます。
●五大辱:
五大元素の五大殺の特殊な形である『五大辱』という現象もあります。
これは本来は殺される方の属性の魔力が強すぎて、五大殺に逆転が起こる現象をいいます。
以上が五大辱ですが、こうなる可能性は魔力要素に大幅な差(少なくとも二倍以上)がないと起きないので、だいたいの魔法使いは気にしないのが普通です。
●元素精霊の生成と変換:
元素精霊を生み出す技術は魔法使いの秘伝となっており、一般人の多くはそれを知ることはありません。
一般に魔法使いは一週間の時間をかけて元素精霊を生み出します。そして、そうした元素精霊は1日の時間をかけることによって、五大生の理論に基づいて別属性の精霊に変換できます。無論それらの儀式には一定の設備と触媒などが必要になってきます。
●精霊固定具:
魔法使いは魔法を扱うための精霊を精霊固定具に封じて扱います。
一つの精霊固定具に封印出来るのは一つの精霊のみであり、封印するための品は高価な宝石である場合がほとんどです(少なくとも同価値の物品にしか封印出来ません)。こういった精霊固定具はどれだけ所持していても構いません。しかし、一つの魔法に使える精霊固定具は一つだけです。たくさん持っているとその分、いちいち使用する精霊を切り替えなければならないので煩雑になります。そのためたいていの魔法使いは、元素精霊1~2個、自然精霊2~3個だけを所持しています。
精霊固定具を扱うとき、魔法使いは精神を精霊とつなげるという行為を行います。これはあらかじめ行っておけば、魔法を扱うたびに実行する必要はありません。しかし、別の精霊の魔法を扱おうとする場合、ひと呼吸ほどの精神集中を行って切り替える必要があります。これは、当然魔法を扱う際の隙になってしまいます。
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