第16話
求めてきた…… 求められてしまった……
そうなのだ、このヴァンパイアの本当の目的は、この私の
悔いは、残る……
私は、私のお母様の無念を晴らす為に―――
けれど、それも今日でお終い―――
この私の血を……生命の通貨としてのモノを、不死者に捧げる……
それは同時に、私の死を意味する……
けれど……これでいいんだ―――
この私の生命と引き換えに、“皆”の……
そして、何より大切な“あなた”の生命が救えるのなら―――
王女自らが認めた敗北により、求められたのはマナカクリムに住む住人全員の
実を言うと『敗北した際の償い』としてはシェラザード自身が自国の城へと戻ればいい、以前のように『王女』に戻ればいい―――だけのことでしたが、
現在のマナカクリムには
“彼”や“彼女”の生命が救えるならば―――と……
「―――判った……」
「うん?」
「いいよ―――奪っても、私の
割り切ったか―――良い表情をしている……
フ・フ・フ―――これだからこそ、『
“ワレら”が“
“ワレら”をよく
#16;血の
“現在”では
そう―――実はヴァンパイアには
呆れるほどに最強で―――呆れるほどに
? ?? ???
これは一体、何を意味するものなのか……
すると―――
「よかろう―――では、その
これ見よがしにと開かれる、吸血鬼の
見るも痛々しい
ああ―――……あの犬歯で、私の頸動脈は食い破られ大量の血を吸われるのだろう……飲み干されてしまうのだろう……
怖い―――本当の恐怖を感じる
けれど、これでいいんだ……
自分の生命がここで
そして―――その
そして―――王女の血を採る為に、ヴァンパイアの手は、そっと
そして――――――……………
「―――フ・フ・フ……やはり思っていた通りだ。」
「(……―――え?)」
「この
―――なにを……今されたの……?
この時シェラザードは、不思議な感覚に陥っていました。
読書家でもあった彼女は『英雄譚』『冒険譚』の他にも『伝奇物』にも目を通したことがあった―――その
手を、
「あ……の―――私……?」
するとヴァンパイアは急に膝を折り、王女を前に
「“我等”との『血の
「(!!)【公爵ヘレナ】?!『
「いかにも―――」
「なぜ……なの?どうしてなの??」
「“私”は、“私”のやりたいようにやる―――それはプリンセス、あなた様がやってきた……やろうとしている事と同じなのですよ。」
「でっ―――でも、あなたは……私の
「ハ!“あんなモノ”は、所詮破られるためにあるようなもの……だが―――あなた様との『
『この“あたし”の―――』 『“オレ”の―――』 『“ワシ”の―――』 『“ウチ”の―――』 『“あちき”の―――』
『“私”の―――』
『そして“余”の―――』
「『ヘレナ』を形成する総ての魂を縛る『
「(!)ご―――ごめん……なさい……」
「いいえ、“私”の方こそ、口が過ぎてございました……お
そも、このヴァンパイアは自分の事をあの『
? ?? ???
そこでシェラザードは、少しばかり考えを巡らせました。
“
けれどもそれは―――今にして思えば、今回に通じている事だった……?
そして―――……
「さあ―――
『あなた様は“私”に何を求める―――?』『あなた様は“余”に何をして欲しい―――?』
「さあ……
『“あたし”は、あなた様が求める『死』を与え―――』『“オレ”は、あなた様が求める『生命』を与えよう―――』
王女の血を等価として結ばれた『
王女は
そして公爵は――――――
―――了解した……
では、御覧に入れましょう
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます