赤の愛
Kier
昔
あの日は、雨が降っていた。
身体の芯を凍らしてしまう程に、冷たく冷酷な雨だった。
何が起こったのかは、分からない。何をしたのかも、自分で理解してはいなかった。
ただ、あいつらは地面に倒れていて、気付いたらボクだけそこに立っていて、温かいものに包まれていた。
ほとんど覚えていないけど、苦しくて、燃えるような気持ちが爆発してしまったような感覚になったのは覚えていた。
ボクは、生まれて初めて、温かさという温度を知った。ずっと、ずっと。この温かさに包まれていたいと思った。
けれど、冷たい雨は降り続ける。ボクが、僅かな温かさすら感じることを許さないかのように。
だんだんと、辺りが騒がしくなってきた。ボクは、独りぼっちのこの世界で、強く自分の体を抱きしめた。もう流されてしまった温かさを求めるように。冷雨から身を守るように。孤独だという現実から、逃れるように。
そうして、ボクはーー。
赤の愛 Kier @Rei-Kn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。赤の愛の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます