第11話兄のテオドール

うーん!


マリーは目が覚めると…一人、マリー用のベッドに寝ていた。


あれ?昨日はママとパパと一緒に大きなベッドで寝たはずなのに?


いつの間にかこっちに移されたようだ…しかももうパパもママも部屋にはいないもよう…いるのはお世話係のリアズさんだけ…


まぁとりあえず朝ごはんをもらおうかな。


私は気にも止めずに声を出そうとすると…


トントンッ!


ビクッ!突然の音に私は体が固まる。


どうやら誰かが部屋を尋ねて来たようだ、トーマスさんが扉を開くと…


「こ、これはテオドール様!」


そこにはこの家の長兄であるテオドールが立っていた。


テオドール?あれ?どっかで聞いた名だ…


マリーは誰だったかと頭を傾げると…


「僕の妹を見せてください」


テオドールは笑ってスタスタと部屋へと入ってきた。


「テ、テオドール様!今日はお付きの者は」


トーマスが声をかけると


「みんな頭が悪いから置いてきました。今日は僕のパパを奪った女を見に来たんです」


ニコッと笑ってトーマスを見ると


「そんな、奪ったなど…」


トーマスが否定すると


「あんなに無関心だったのに…一体どんなワザを使ったんだ…」


じろっと睨みながらマリーの寝るベッドを覗き込んだ。


やっとテオドールの顔を見ることが出来たマリーはその見覚えのある顔に怪訝な顔をする。


ん?なんか見た事があるような…いや、こんな可愛い顔の子の知り合いなんていた事ないけど…あっパパには少し似てるかな?


じーっと思い出そうとテオドールを見つめていると


「トーマス、この子は何故こんなにも私を見つめるんだ?」


睨みつけているのに目を逸らすことなく見つめてくる赤子に、負けてテオドールが目を逸らした。


トーマスは近くに寄ると


「きっとテオドール様をお兄様だとわかっているのかも知れません」


トーマスがそう答えると、テオドールはもう一度マリーをみた。


いや、別に兄だとは思ってないけど…まぁ可愛い顔だな!将来が楽しみなお子様だ。


大きくなった姿を想像してニヤッと笑うと


「あっ…笑った」


テオドールは自分に笑いかけたマリーを不思議そうに見つめる。


「ま、まぁまだ小さいみたいだし…女の子ですからね…今回は許してあげます。ただし、また何かしないように確認に来ますから」


テオドールはそう言うと扉の方へと歩き出す、チラッとベッドを確認すると


「いいですか?帰りますよ」


まだ喋れないマリーに言うように声をかけると


あれ?もう帰っちゃうんだ、もう一回あの可愛い顔を拝みたいなぁ…


「あー!あ~!」


声を出して手を伸ばしてみると


「あっテオドール様、マリー様が呼んでますよ」


トーマスがマリーの様子を伝えると


「えっ!」


テオドールが急いでマリーの元に戻ってきた、そしてベッドをそっと覗くと…


あっ!可愛い子発見!


マリーはきゃ!きゃ!と喜んだ。


自分に向かって手を伸ばして嬉しそうに笑う赤子にテオドールはその手をそっと伸ばした…


マリーは近づいてきたテオドールの手をギュッと掴んだ。


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