第4話 快勝

「事前に打ち合わせたとおりに行こう」




 ハヤトは冒険に出る前に昨日の戦いの悪い所を指摘し、新しい戦い方を伝えた。


 真面目な彼らはハヤトの指摘を素直に聞き入れた。




「昨日と同じくゴブリンが三匹いたよ。こっちにも気づいていない」




 偵察に出ていたリーフが足音も立てずに戻ってきた。




「おっ、運がいいな。パティとリーフ予定通り頼む」




 攻撃が届く範囲までソロソロと近づくと、パティは魔法の詠唱を、リーフは今朝買った弓を引絞る。




「いまだ!」




 ハヤトの合図に合わせて火球と矢が放たれる。


 火の玉はゴブリンに当たると一撃で絶命させた。


 矢は致命傷まで行かないが、かなりのダメージを与えた。




「やった! 初めてまともにあたった!」


「すごいな一撃で倒したぞ」


「パティやるね」




 魔法の威力にアレクとラケシスも一緒に喜ぶ。




「予想通り動かない敵なら当てられるだろ? リーフは今当てた奴にもう一発お見舞いしてやれ。パティは魔力を温存だ」




 ハヤトは言いながら向かってくる2匹のゴブリンを迎え撃つように前に立つ。


 リーフは向かってくる敵に矢を放った。


 器用なリーフは動いている敵にも上手に矢を当てる。


 ゴブリンは今度こそ絶命した。




「やった!」


「流石だなリーフ。よーし、俺も負けてられないぞ」




 アレクは気合を入れると剣を構える。


 最後のゴブリンがハヤトに攻撃するが、防御特化のハヤトには全く効かない。


 そうしてゴブリンがハヤトを攻撃するのに夢中になっている間にアレクは必殺の一撃を難なくゴブリンに当てることができた。




「うっしゃー。余裕だぜ!」




 アレクは雄叫びを上げる。




「すごい。まさか無傷で倒せるなんて」




 リーフは信じられないように何度も目をパチクリとさせた。




「すごいすごい!」




 ラケシスは嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねている。




「さすがね」




 パティは感心した顔をハヤトに向けていた。




「さあ、まだまだ冒険は続けられるよ。ラケシスとパティの魔力がなくなるまで探索しよう」




 そうして今回の冒険では20匹ほどの低級モンスターを倒し、5つもの宝箱を手に入れて帰還した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る