ウルトラマンに黄昏て 

結城カザミ

 序章~探究の始まり~

第1話 特撮氷河期

 これは、1980年代前半に生を受けた筆者が1960年代後半から1970年代中期に巻き起こった特撮怪獣ブームについて語るそんな評論でありエッセイである。

 

 さて、特撮氷河期という言葉をご存じだろうか? 筆者が特撮について語る際には必ず用いる言葉である。

 サブカルチャー大好きな筆者は、こうした特撮についての話をよく知人などに語って聞かせるのだが、その際にまず最初に自然と口をついて出ていたのがこの言葉なのだ。

 今回、そんな知人にその知識、身内だけじゃもったいないから何かしら発信してみたらどうか?と勧められたのもあり、こうして人生初の評論染みたものを書いてみることに相成ったわけであるが、そこで気になったのがこの言葉即ち特撮氷河期であった。

 はて?気づけばいつの頃からか多用しているこの言葉、よくよく考えれば、自分以外で口にしているのを聞いた例はない。しかし、まあそれは当然である。何故なら筆者の世代はまさに特撮氷河期真っただ中で育ったのであるから、特撮についてあれこれ語れる人間のほうが奇特なのだから。(一般的に) そんな周囲がこんな言葉を使う場面はないはずである。

 今の話の流れで、おぼろげながら理解された方もいると思うが、この特撮氷河期というのは、1980年代~90年代前半を指すのである。

 日本に特撮作品は数あれど、その中で二大特撮と言えば、どうだろう 大抵の人はこう答えるのではないかな? ウルトラマンと仮面ライダー  

 これは、例えば日本二大RPGを挙げろといわれたらドラゴンクエストとファイナルファンタジーが浮かぶという感覚に等しいではないだろうかと筆者は思っているわけだが・・・ 

 ただ、これも若い世代にはピンとこないかもしれない。そもそもに今でこそ合併しているスクウェアとエニックスがライバル同士だったことすら知らないかもしれない。その意味では例えが適切ではないのかもしれないが、ともかくそこは失礼させてもらい、まぁ一定以上の世代には、それなりに共通認識として染み渡っている事象だと想定した上で話を進めることにする。

 さて、この我が国を代表する二大特撮番組が、TV作品としてほぼ放映されなった時期がある。それが先述の10余年間である。 

 世も令和となった現在でこそ、何もTVに拘らずとも、様々なメディア展開でその名を馳せることや人気を継続していくことは十分可能だが、30年以上前はネット社会の今とは違い、TVというメディアの持つ影響力は計り知れないものがあったことは優に想像がつくであろう。誤解なきように、今の時代、TVの影響がないといっているわけではないので悪しからず。

 (誤解を恐れず言えば)そんなTV一強時代にあって、新作がTVで放映されないというのは、致命的であった。何故このようなことになったのかについての考察と持論は追々綴るとして、とにかく、まずはTVでウルトラマンや仮面ライダーの新作が視られないという状況が続いたということが一つ。

 さらに、この80年代というのは家庭用ゲーム機ブームが起きた時代でもあった。そう、ファミコンの時代である。それに加えて、ガンプラブームを巻き起こした機動戦士ガンダムなどによる新しいアニメの勢いもあったり、もう特撮が子供の心を捉える中心軸の時代ではなくなっていたという状況があった。

 これらの時代背景を踏まえて、特撮にとって非常に厳しい時代だったということをかの氷河期に準えたのが特撮氷河期なのである。

 しかし、繰り返すがこの言葉、どこで覚えたのだろう? 実は自分でもよく覚えていないのである。気づけば多用していたわけで・・・ ひょっとしたらどこかの文献で誰かが言っていたのかもしれない。そしてその時に自分の中で妙にしっくりかたが為に拝借し使いはじめたのかもしれない。ただ覚えがないのである。  

 繰り返すが、それで今回気になり、調べてみたのである。もちろん文明の利器を用いて

 Google先生にお願いして『特撮氷河期』と検索してみたところ、真っ先に表示されたのは

『東京氷河期』である。東京氷河期ってなんて物騒なとお思いの方もいるかもしれないが、実はこれ、ウルトラQの第15話のサブタイトルなのだ。そう、あの第3話『ぺギラがきた!』の冷凍怪獣ぺギラが再登場するエピソードである。・・・

と、これを聞いて察していただけただろうか? 筆者はこういう人間なのだ。こうしたサブタイトルなどの通常?ならまず気にすら留めない、ましてやいちいち覚えていないであろう情報を蓄積しているのである。それは、意図的な暗記というよりは自然に好きだからいつのまにか覚えていた的な そんな特撮が好き過ぎて止まない筆者が、そう、特撮氷河期に子供時代を過ごしながらも何故 特撮に魅了されていったのか、そしてそんな筆者視点で捉えた昭和の特撮は如何なものだったのか それを語っていくのが今回の連載なのだ。

                閑話休題

 結局、検索の結果 やはり特撮氷河期という言葉は存在したようで、やはり聞き知った言葉を気に入って無意識に使ってきたのだろう。 

 奇しくも、そんな特撮氷河期に子供時代を過ごした我々世代は、社会人になり次の氷河期を味わうのであった即ち就職氷河期である。

 人生まだ駆け出しで2度も氷河期に見舞われた不遇世代の渾身?の随筆斯うご期待

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