石原綾香の恋愛事情
ねむりねずみ@まひろ
【声劇台本】♂1:♀1
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『キャラクター』
石原綾香:恋に恋するお年頃
保坂:生徒に人気な保健室の先生
『コピペ用キャスト表』
「石原綾香の恋愛事情」
綾香:
保坂:
以下台本
――――――――――――――――
【授業の合間の休憩時間、賑やかな教室の片隅で、数人ががワイワイしてる】
綾香「えー、何それ、まじ?芽生のパパ、泥だらけとか、超ウケるんだけどww」
綾香「それより、芽生は好きな人いないん?」
綾香「え、あや?あやはねー、ぶっちゃけ、初恋もまだした事ないんだよねー。ほら、同年代ってガキばっかじゃん?もっとさー、大人の魅力ってのがないとムリっしょ!」
【廊下で、女子にキャーキャー言われている保坂が目に入る】
保坂「こーら、学校内はこういう物の持ち込みは禁止だぞ?悪いけど受け取る事は出来ない…でも、僕の為に選んでくれたんだよな、うん、気持ちは受けとっておくよ、ありがとな」
綾香「……何あれ。新しく来た保健のせんせー、めっちゃモテモテじゃん?あやは、あーいうキラッキラしたのムリ!!王子様とか言われてるけど、なーんか胡散臭くね?」
綾香「えー、気のせい?そーかなぁ、なーんか変なんだよなぁ、あのせんせ。」
保坂「ほら、授業が始まるよ?皆、教室に戻りなさい、そんな顔してもだーめ。ははは、いい子だね」
綾香「はぁ…つーか、ダルい。んー…久々にガチはまりしちゃってさー、あー、コレコレ。イケメン育成ゲーム!はぁ?オタクじゃねーしww んでさ、このメガネがさー、全然落ちないんよー!!見てよ、普段はボッサメガネの癖に、メガネ取るとほら!ちょーイケメンなのー!なんつーの、ギャップ萌えってやつ!!ふぁーぁ…お陰で夜通し攻略しちゃって…まじ最悪。」
綾香「…んー、眠いっ。次サボっちゃおうかなぁ。次古典っしょ?古典の授業って、同じ事ばっか言うから眠くなるんだよねー。あー、ダルい。…って事で、ちょっくら保健室行ってくるわ!んじゃ、芽生、後よろしくー!」
【意気揚々と教室を後にする綾香
保健室につくと誰もいない】
綾香「しつれーしまーす!具合悪いんで寝かせてくださーい!…あーれ?誰もいないじゃん。ふむ……ま、いっか!眠いし、ベッド借りちゃおーっと…ふぁーあ、おやすみなさーい」
【綾香が眠ろうと布団に入ると、1人の男性が保健室にズカズカと入ってくる】
保坂「ったく…何が、先生の為に作ってきたのーだ、手作りなんざ恐ろしくて食えたもんじゃねーよ」
【タバコに火をつける】
保坂「ふぅ…生き返る。そもそも、校則すら守れねーガキが、いきがってんじゃねよ。俺様の笑顔が見れたんだから、そのまま引き下がれっつーの…ったく、めんどくせぇ。」
【保健室のベッドで聞き耳をたてている綾香】
綾香「はー…マジか?誰、あれ。新しい保健のせんせ…全然キラキラ王子じゃないじゃん…うわー、なんか見ちゃいけない物見ちゃった感じー?」
【ベッドから物音がする
それに気付く保坂】
保坂「誰だ!!」
綾香「ひゃっ」
保坂「…あ?」
綾香「や…やっほー、せーんせ!」
保坂「お前、3年の…」
綾香「あやの事?2組の石原綾香だよー!それにしても、そんな話し方すんだねー、せんせ」
保坂「ちっ。校長から、2組に問題児がいるって聞いてたが、お前の事か」
綾香「えー、あや別に、問題なんて起こした事ないし?」
保坂「その髪の色、ピアス、化粧、制服の改造…校則違反のオンパレードじゃねーか」
綾香「別に!あやは、自分のオシャレを追求してるだけだし!」
保坂「ガキがいっちょ前な事言ってんじゃねーよ、郷に入っては郷に従えだ。決まりごと位、守った上で追求しろ」
綾香「なんでそんな、上から目線なわけ!」
保坂「当たり前だろう?先生様だぞ?」
綾香「せんせー、まじ詐欺!!どこがキラキラ王子よ、全然キラキラじゃねーし!むしろ黒い!!」
保坂「あ?」
綾香「ほらー!!その顔!!めっちゃ眉間にシワ寄ってる!」
保坂「はっ、お前にはバレてんだ。今更取り繕ったってしょうがねーだろ。」
綾香「ふーんだ!実は、保坂せんせーは、超腹黒だったーって、他の先生達にバラしてやるかんね!」
保坂「ばーか、問題児のお前と、教師の俺。どっちを信じると思ってんだ?」
綾香「あやは、問題児じゃありませーん!ちょー天才なんだからぁ!」
保坂「それより、仮病を使ってまで休むたぁ、いい度胸してんなぁ?」
綾香「へ?いや、そ、それはぁ…」
保坂「おら、さっさと教室に帰りやがれ」
綾香「ひっどーい!本気で具合悪かったらどーすんのさー!」
保坂「具合悪い奴が、んなベラベラ喋るわけねーだろうが」
綾香「ぐぬぬ…」
保坂「はい、じゃーな」
【ガラガラと保健室の扉が閉められる】
綾香「ちょっ…せんせっ」
【扉が開き、保坂が一言】
保坂「石原」
綾香「…何?今更謝ろうったって、そう簡単には許さないんだから…」
保坂「お前、その化粧、まったく似合ってねーから。あ、後!校則違反明日までに治してこいよ?」
綾香「…は?」
保坂「じゃーな、自称天才の石原綾香さん」
【ガラガラと閉まり、カギをかけられる】
綾香「はぁぁぁぁあ?!」
【綾香の家 お気に入りのウサギの人形をベッドに投げつける(壁だと可哀想だからベッドに】
綾香「まじふっざけんなし!!」
綾香「なーにが、お前その化粧まったく似合ってねーから…だぁぁ!!むかつくーー!!」
綾香「もう、頭に来た!!今にみてろーあの腹黒教師ーー!!」
【翌日、髪を黒くし、ピアスを外し、化粧もナチュラルにし、制服をきちんとこなした綾香。校門であいさつ運動に駆り出された保坂】
綾香M「ふっふっふー、髪も黒くしたし、ピアスも外したし!!化粧だってオールで研究したっ!これで文句は言わせねーかんなー!」
保坂「おはよう、ああ、おはよう…」
綾香M「あ、保坂せんせーいた!よーし…」
綾香「おっはようございまーす!」
保坂「ああ、おはよ……う」
綾香「どーかしましたかぁ??」
保坂「あ、いや…お前、石原か?」
綾香「はーい、そうですがぁ?」
保坂「ほぉ…」
綾香「保坂せんせー?」
保坂「校則守ったのか…偉いな」
綾香「ふっふっふー!どーよ!あやだって、やれば出来んだからねー!」
保坂「中身は変わってねーのな」
綾香「あー!ひっどい!めちゃくちゃ頑張ったのに!!」
【1度目のチャイムがなる】
保坂「冗談だ、それよりチャイムなってるぞ?」
綾香「うっそ?!やばっ…」
保坂「あ、石原ー!」
綾香「んー?」
保坂「お前、そっちの方が可愛いぞ」
綾香「…へ?」
保坂「じゃーな」
【去っていく保坂の背中を真っ赤な顔して見つめながら】
綾香「……何…これ、心臓がっバクバクいってる」
【2度目のチャイムの音が鳴り響く。放課後教室でたむろする綾香】
綾香「はぁ…ううん、何でもない!んで相談って何よ?どーしたの?…はあ?好きな人が出来た…まじかー!!そうなんだ!で、誰誰!教えてよー!!」
綾香「へ?…先生の事が好き? ぇ…誰の事、な、なーんだぁ!数学の矢野っちかー!!あーびっくりした…へ?な、何でもないよ!」
綾香「ひゃっ?!保坂せんせー?!どこっ?!…って冗談?やめてよー、ビビったじゃん!!へ?!顔が…赤い?そんな事ないよ!別に好きなんかじゃ…ない。」
綾香「…保坂せんせーが他の人に取られる?そしたらもう、あやと喋ってくれなくなるの…?…それは、ヤダなぁ。…へ?泣いてる?うそ…本当だ…そっか、あや、保坂せんせーの事が好きなんだ」
綾香「よし!!こうしちゃいられない!あや、今から告ってくる!だって、保坂せんせーが他の人と付き合ったらヤダもん!!んじゃ、いってきまーーーす!!」
【保健室へ向かう綾香】
綾香「保坂せんせー!!いる?!…いた!せんせー、あんね!!」
保坂「…おい、お前ここを何処だと思ってんだ。保健室だぞ?病人以外は帰れ」
綾香「んもー!あやとせんせーの仲じゃん!」
保坂「お前と友達になった覚えはない?」
綾香「えー、だってせんせー、あやの事可愛いって言ってくれたじゃん!」
保坂「…前よりマシって意味だ」
綾香「それでもいいの!あやの事。ちゃんと見てくれたの保坂せんせーだけだから」
保坂「はぁ…、それで何の用だ?」
綾香「あや、せんせーが好き!あやと付き合って!」
保坂「無理だ」
綾香「なんで?!考えもしないですぐに振らないでよ!」
保坂「あのなぁ…いいか?俺は教師でお前は生徒だ」
綾香「そんなの知ってるもん!」
保坂「わかってない、お前に手を出すって事は、俺は職を失うって事だ」
綾香「保坂せんせー、学校やめちゃうの?」
保坂「当たり前だろ、在学生でなおかつ未成年だ」
綾香「あや、子供じゃないもん!!」
保坂「自分の事を子供じゃないって言ってる時点で、子供だっつうの」
綾香「うー、でも諦めるなんて絶対嫌だ!」
保坂「無理だ、諦めろ」
綾香「いやだっ!」
保坂「あのなぁ…」
綾香「こんな気持ち初めてなんだもん!!無かった事になんてできないよ!!」
保坂「…わかった。」
綾香「じゃぁ…」
保坂「今すぐ付き合うのは無理だ」
綾香「えー…ん?今すぐ?」
保坂「当たり前だろう、お前、俺の事を辞めさせたいのか?」
綾香「それはいやだっ!」
保坂「だから、条件だ。明日から卒業までの間、授業をしっかり受けて、卒業式に出る事、それとその言葉使いを正すこと」
綾香「へ?」
保坂「お前、だいぶサボってたみたいだからな。出席日数ギリギリだぞ」
綾香「げげっ…保坂せんせーじゃんなくて、あやが退学になっちゃうって事?!」
保坂「言葉使い」
綾香「うぅ、保坂先生じゃなくて、あやが…」
保坂「わ・た・し」
綾香「わ、私」
保坂「そうだ、言葉遣いと、卒業式。この条件が守れるなら、卒業後に考えてやる」
綾香「本当?!絶対。絶対だよ!約束だかんね!」
保坂「あぁ、約束だ」
保坂M「翌日から、彼女は毎日学校へ来た。雨の日も、雪の日も、休校にならない限り、きちんと学校へ来た。遅刻もせず、授業態度も変わり、周りの教師達も驚いていた」
綾香「保坂先生!おはようございます!」
保坂「ああ、おはよう」
綾香「保坂先生、今日もちゃんと学校きたよ!偉い?」
保坂「ああ、偉い偉い」
綾香「うへぇ、雨だ…あ、保坂先生またね!」
保坂「気をつけて帰れよー?」
保坂M「一日、二日、と時間は過ぎていく。正直、すぐに音を上げると思っていた。あんな条件、自由奔放な彼女には、守れないとさえ思っていた。だけど、彼女は約束通り毎日学校へ来た。髪の色も校則にきちんと合わせて、元の金髪に戻る気配もない 。アクセサリーだって、あれから1度たりとも付けてこない。きっと、根は素直で努力家なのだろう。彼女の内面は、とても綺麗だった。
だが、卒業式を一週間後に控えたその日から、彼女が学校へ来ることはなかった」
【雨の降る校庭】
保坂「よし、施錠も終わったし、帰るか。それにしても、結局あいつ来なかったな。…雨か、ん?誰だ、そこにいるのは。もうとっくに下校時間は過ぎてるぞ?」
綾香「……」
保坂「…?な、石原?お前何やって…」
綾香「先生…」
保坂「泣いてるのか?とりあえず、こっちに来いびしょ濡れじゃないか」
綾香「ううん、今日はね、先生にお別れに来たの」
保坂「は?何言って…」
綾香「パパとママが離婚するから、北海道にある、ママの実家に行かなきゃ行けなくなっちゃった」
保坂「は…?離婚って…でもお前学校は…」
綾香「私もさ、大学受験してなかったし、このまま高校卒業して、卒業後はここで先生と毎日会って、のんびり楽しくすごすんだって思ってたんだけどさ…ママが泣くの」
保坂「・・・」
綾香「私のママ、すごく弱い人でね、パパに裏切られちゃって、見てるだけでも辛そうで…誰かが支えてあげなきゃダメみたい」
保坂「だとしても、来週卒業式なのに…」
綾香「荷物はもう北海道に送ったんだ!今日だって、本当は学校に来たかったんだよ?だけど、家を出ようとした時のママの顔、貴方も私も1人にするの?って言われてるようで、出られなかった…」
保坂「…そうか」
綾香「私、先生の事好きだけど、ママの事も大好きなの…だから卒業式、出れないや」
保坂「わかった」
綾香「それだけ、伝えたかったの。じゃぁ、ママが待ってるから、もう行くね」
保坂「あぁ、元気でな」
綾香「…うん、先生…」
保坂「なんだ?」
綾香「ううん、何でもない。バイバイ先生」
保坂M「そう告げると、彼女は雨の中を走って行った。翌日、他の教師に確認した所、彼女の母親から一方的に電話で言われたそうだ。急な話しだったらしく、返答する前に、彼女の母親は電話を切ってしまい、その後繋がることはなかったらしい。子供は親を選べない、彼女もまた親子のしがらみに囚われた一人なのだろう。彼女がいないまま、卒業式は終わり、受け取られることの無い卒業証書だけが、教室で風に揺られていた」
保坂M「あれから、5年が経った。朝の挨拶運動に顔をだし、怪我人や病人を休ませる日々。保健室に飾られている卒業証書に目をやると、あの煩い声が今でも聞こえてくる気がした。」
保坂「卒業証書…石原綾香殿…か」
【保健室のドアが開き、スーツを着た女性が入ってくる】
綾香「すみません、保健の先生はいらっしゃいますでしょうか?」
保坂「はい、私がここの保健医ですが」
綾香「…やっと…あえた」
保坂「はい?」
綾香「せーんせ!…あや、帰ってきたよー!」
保坂「その口調…お前」
綾香「ふふ、今日から、教育実習で配属された、石原綾香と申します。」
保坂「教育実習…まじか」
綾香「あの日からずっと、貴方を忘れた事はありません」
保坂「…」
綾香「ですが、卒業式に出る事が出来なかったので、約束が無効なのもわかっています。今は教育実習で来てるので、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します」
保坂「…石原」
綾香「はい」
【保健室に飾ってあった卒業証書を渡す】
保坂「ほら、お前のだ」
綾香「これは…?」
保坂「卒業証書、石原綾香殿。貴方は、どんな状況に陥ろうと、いつも笑い、学び、そして高校生活を全力で楽しみ、この学園を卒業したことを、ここに証明します。」
綾香「…保坂先生」
保坂「どうした、喜べ。卒業式だぞ」
綾香「…いいんですか?私…また、先生の事…好きになっても」
保坂「しらん、好きになるも、ならないもお前の自由だ」
綾香「ふふ、相変わらずですね」
保坂「他の奴らには、こんな言葉使いもしねーよ」
綾香「保坂先生、私成人しましたよ。そして卒業式もできました」
保坂「あぁ」
綾香「あの時の約束…今、守れました」
保坂「そうだな、お前の勝ちだ」
綾香「先生、好きです…大好きです!」
保坂「知ってる」
綾香「えへへ、夢がかなっちゃった」
保坂「ただし、仕事とプライベートはきちんと分ける事!いいな?」
綾香「わかりました…あの、先生一つだけお願いが!」
保坂「なんだ?」
綾香「好きって言ってくれませんか?」
保坂「…嫌だ」
綾香「そんなぁ…」
保坂「冗談だ…綾香、愛してるよ。」
綾香「ふぁっ…」
保坂「んじゃ、教育実習…頑張れよ」
綾香「っ…!はい!先生また来ますね」
保坂「……」
綾香「先生?」
保坂「…彰」
綾香「え?」
保坂「俺の名前、仕事中は呼んだらダメだけどな」
綾香「っ…彰…さん」
保坂「さん、はいらねーよ」
綾香「あ…彰…」
保坂「…よく出来ました。さあ、仕事するぞー」
綾香「は、はい!行ってきます!」
保坂「おう、行ってらっしゃい」
END
石原綾香の恋愛事情 ねむりねずみ@まひろ @sibainu_uta
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