第3章 新領地開拓編 五十二話 日常の一幕
「ふあぁ〜、眠い……」
結局昨日も遅くまで畑の事を考えすぎてろくに寝れなかったな。
実験した次の日から試験的に小さい広さだけど栽培を始めてからもう1週間。とりあえずは順調に育ってきてるしそろそろ育てる種類を増やしてもいいよな。
今育ててるのはトマトと人参だけだし次は葉物系にするか。
にしても、今日は天気がいいな。ここ最近雨続きだったから太陽の光を浴びるのも久しぶりかもしれない。気温も丁度いいし実にいい農業日和だ。睡眠不足の俺にはかなり辛いけど……
そんな事を考えている間にいつの間にか王城の門の前に到着していた。
「おはようございます」
「お、レオ君おはよう。今日もお勤めご苦労様」
「いや、お勤めなんて言える程の事でも無いですよ。毎朝迎えに来るのももう日課みたいになってるので」
「それもそうだね。アリシア様ならもう少しで出てくると思うよ」
「それじゃあ今日もここで少し待たせて貰います」
「あぁ、なんならずっと居てくれてもいいんだよ?」
「そんなこと言って、実はただサボりたいだけじゃないんですか?」
「ははっ! バレたか」
「そりゃバレますよ。毎日同じ事やってるんですから」
毎朝アリシアを迎えに来ている内にいつの間にか門番の人とも仲良くなってしまった。今ではこんな気軽に話せる中である。
「そう言えばアリシア様から聞いたよ。家の領地の発展を手伝ってるんだって? 顔を見るからに忙しいと言うのはわかるけど少しは休むことも大事だよ?」
「ですね、最近は上手くいっているので今後は休む時間も増えると思うんですけど……」
「そうか、それならいいんだが……あ、飴舐めるかい? ミントが入っているからね眠気は多少覚めると思うよ」
「ありがとうございます」
ちなみに、昨日はフルーツ味の雨を貰った。この飴を貰うのも割と日課になりつつあるんだよな。
その後も数分の間門番さんと世間話をしていると少しして城の扉が開きアリシアが小走りで門までやってくる。
「すいませんレオ君。待たせちゃって」
「ううん、大丈夫だよ門番さんと話してたし。それじゃあ行こっか」
「はい」
「おはようございますアリシア様。お気をつけて行ってらっしゃいませ。レオ君頼んだよ」
「はい。門番さんも1日頑張ってください。あ、暇でもサボっちゃダメですよ?」
「ははっ、わかっているよ」
「それじゃあ行ってきます」
「あぁ、気をつけてね」
そうして俺はアリシアと一緒に王城を後にする。
◇◆◇◆◇◆
「そう言えば、街の方はどうですか?」
「うん、順調だよ。1週間前から育て始めた野菜も問題なく育ってきてるし」
「え、そんなに早く育ってるんですか?」
「うん、俺の魔法である程度成長速度を上げてるからね」
「上手く行けば生産速度も上がっていいかもしれませんね」
「そうだね。とりあえず人参とトマトは成功したから次は葉物系の野菜に挑戦しようと思ってるんだ」
「それなら今度家で育てている野菜見ますか? 母の趣味で使用人の人達と一緒にいくつか野菜を育ててるんですよ」
「え、それはぜひ参考にしたいけど……いいの? お城の中入っちゃって」
「大丈夫ですよ? レオ君だって何回か入ったことあるじゃないですか」
確かに、入ったことはあるし毎朝王城にも行ってるけどそれは出なきゃいけないパーティーだったり、呼び出しだったり、普段に関しては門の前までだけでそれ以上は進んでないし何と言うかそう言う建前が無いとやっぱりまだ緊張するな……
「そうなんだけど、何と言うか緊張しちゃって。今までも緊張してたけどその時でも行かなきゃいけない理由があって何とか耐えられただけだし完成プライベートとなると耐えられるかどうか……」
「そうですか……確かに、落ち着ける状態じゃないと見てもあまり頭に入らないかもしれないですもんね。わかりました……」
「……」
少し拒みすぎちゃったな。別に行きたくない訳じゃないのに。
「……アリシア、今度時間ある? 出来ればお母さんも一緒の時がいいんだけど」
「え? えっと、時間ですか? それなら2日後の休日は私もお母様も1日空いてますけど……」
「そっか、それじゃあ2日後に行ってもいいかな? 少しでも実物を見てみたいし」
「え、でも、いいんですか?」
「うん、たかが緊張するぐらいなんて事ないよ。それに、今慣れておけば今後入る機会がある時に緊張しなくて済むからね」
「そ、そうですね! わかりました、今日帰ったらお母様にも伝えておきます!」
「うん、お願い」
そうして突発的に決まった2日後の予定やらアリシアのお母さんが育てている野菜やらの話をしながら歩いている内にいつの間にか学院の門の前に到着していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます