第2章 四大魔法学院対抗戦 後編 二十七話 1戦目が終わりました。
アレク達が3人の元へ到着する頃、レオとシンの戦闘は今もなお続いていた。
「アレク、サリー着いたか」
「あぁ、それにしても、とてつもなく速い戦闘だな」
アレクは2人の戦闘を見て呆気に取られる。
「全くだ。いくらレオの光魔法に目が慣れてるとは言えこの速度で戦闘されたら何も見えねぇよ」
ダリスもどうやら2人の戦闘は目で終えていないようだ。
そうしてダリスとアレクが話しているとちょうど放送で残り時間が折り返したことが伝えられた。
『たった今制限時間の半分が経過したぁ! 現在ポイント、生存者共にアストレア学院がトップをキープ! それにソルヴァレス学院が続く形だぁ!』
相変わらずのハイテンションぶりにアレク達は苦笑いをする程であった。
「うちの次はソルヴァレスか、確かまだ1人しか欠けていなかったな」
「はい、レオ君が倒したサクラさんと言う方だけです」
「放送がされなかったって事は、そっちの2人は倒しきれなかったのか?」
ダリスがアレク達の結果を聞く。
「あぁ、あと少しの所で逃げられてしまってな」
「凄く強い人たちだったよね」
「サクラさんも凄く強かったです。レオ君もかなり魔力を消費したって言ってました」
なるほどな。ソルヴァレス学院、全員のレベルがかなり高いということか、これは厄介そうだ。
アレク達がこれまでのことを報告しあっているとレオとシンの戦闘がさらに激しさを増した。
「君との戦闘は楽しいな、初めて本気が出せそうだ!」
「そりゃどうも、俺としては厄介極まりないだけなんだけどな!」
そして2人はさらに戦闘の速度を上げる。2人の剣がぶつかる度に高い金属音が鳴り響きその衝撃で森の木は揺れる。
「うぉっ、凄い衝撃だな!」
「あいつら、完全に周りが見えなくなってるな」
「シン、また悪い癖が出てる」
2人を見守る5人は2人の戦闘に皆それぞれ違う感想を述べる。
「ははっ!レオ、君との戦いは楽しいな! ずっとやっていたいぐらいだ!」
「俺はキツいだけなんだけど!? ゴリゴリ魔力削られてるわ! 」
レオはそう言うが、その顔は新しい玩具を手に入れた子供の様に楽しそうに笑っている。
2人の打ち合いはさらに激しさを増す。まるで両者本気で切り合うのが楽しいと言うように。
「けど、制限時間も既に折り返したみたいだ。僕としてはまだ続けていたいけど、うちはまだ0ポイントだからね。そろそろ終わらせてもらうよ!」
そうしてシンはクラウソラスを構え、魔力を込める。
「望むところだ、これで終わらせてやる!」
レオもシンの言葉に答えるように2本の剣を構え魔力を込める。
次の一撃で2人の戦闘に決着が着く。5人はその光景を固唾を呑んで見守る。
「行くぞ、レオ!」
「来い、シン!」
両者は同時に動き、魔法を繰り出した。
「『
「『虚無連刃・神速』!」
2人の渾身の一撃が衝突した時、今日1番の衝撃がその場を震撼させた。
「クッ!」
「なんつー衝撃だ!」
「魔法で壁を作らないと私達まで吹き飛ばされちゃいそう」
そして、立ち込める土煙の中その場に立っていたのは……レオだった。
「クッソ、シンの奴、終わらせるってそういう事かよ!」
レオは何やら面白そうに笑っている。
「レオ君! 大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だよアリシア」
「良かった。凄い衝撃だったので、もしかしたらレオ君が負けちゃったんじゃないかって……」
そう言ってアリシアはほっとしたように笑う。
「それよりレオ、結果はどうなった?」
「あぁ、まんまと逃げられたよ。あいつこれで終わりだとか言って最初っから逃げるつもりだったみたいだよ」
レオは悔しそうに言うがやはりその表情は穏やかでどこか楽しそうにも見える。
「そうか、まぁ相手としてもこの場で俺たちに時間を使うよりも他の学院を狙った方が効率がいいと考えたのだろう」
「お陰様で、魔力を使いすぎてもうクタクタだよ」
レオはここまでサクラ、シンと強敵と連戦をしている。そこから考えても今の残り魔力は恐らく5000も無いだろう。
「レオ君は少し休んでてください! 今にも倒れそうなんですから!」
「アリシア様の言う通りだ。ただでさえ俺とお前は魔力が溜まるまでに時間がかかるんだからな」
「そう言う理由ならアレク君も休んだ方がいいんじゃないの?私を助けに来る前にもかなり大技連発してたみたいだし」
「そうだぜ、お前らは少しやりすぎだ。もうちょっと俺たちにも見せ場を作ってもらわねぇとな!」
結局、レオとアレクはアリシアの監視の元この場で待機することになり、残りの時間はダリスとサリーが2人で行動する事になった。
その後、しばらくしてセイクリッド学院が20ポイント獲得したと放送が入りそれに続くようにブランハーツが20ポイントを獲得する。
その放送が終わるとレオ達3人にサリーから通信が入る。
「どうした、サリー?」
『それが凄いことになってて、今の放送聞いてた?』
「あぁ、セイクリッドとブランハーツが20ポイントずつ取ったって内容だったな」
『そう、今その戦闘がされてる近くにダリス君と隠れてるんだけどどうやら私達以外の3学院の三つ巴になってるみたい』
そうしてサリーはシンがソルヴァレスとブランハーツの生徒を1人ずつ倒しその後ブランハーツの残った1人がサヤとユキノと言うソルヴァレスの生徒を1人で倒してしまったらしい。
「確かにそれはとんでもない状況だな。わかった、2人は状況を見て引き返してくれ」
『了解』
そこでサリーとの通信は切れた。
「まさか、三つ巴になっているとはな」
「もう残り時間も少ないし、シン達とブランハーツの生徒は1番近くて数の多いソルヴァレスをねらったんじゃないかな?」
「サリーの話では倒されたのはサヤさんとユキノさんと言う方、それと青い着物を着たソルヴァレスの人とブランハーツの人が1人と言っていましたね」
「サヤは多分次席だからそれを倒せるとなると恐らく残ったブランハーツの生徒は首席だろうね」
「ソルヴァレスの方も残りの1人はわからんがもう1人は実力から考えて次席のカエデと言う奴だ」
そうなってくると、残ってるのは各校の首席トップが4人か、サリー達が無事に帰って来れるといいけど。
数分後、あのハイテンションの放送が再度レオ達の耳に聞こえてきた。
『おぉーっと!ここでセイクリッド学院が全滅!ブランハーツ学院が10ポイントをゲットだぁ!おや?それに続きソルヴァレス学院がアストレア学院の2人を撃破、20ポイント獲得!』
何! サリー達がやられた!?
その時ちょうどサリーから通信が入る。
『ごめんみんな〜やられちゃった。ソルヴァレスの首席の人に気づかれてたみたい』
「いや、大丈夫だ。2人は大丈夫か?」
『うん、私もダリス君も大丈夫だよ。魔法で木に縛られてるだけだから』
「そうか、それなら良かった」
『とりあえず私達は控え室に戻るね。残り時間も少ないけどみんな頑張って』
そうしてサリーとの通信は切れる。
「サリー達がやられてソルヴァレスに20ポイントと言うことはシンをやったのはブランハーツの奴か」
「だろうね俺との戦闘で消耗していたとは言えあのシンを倒すなんて相当の実力を持ってるみたいだ」
「そうなると残りはソルヴァレス学院が2人、ブランハーツ学院が1人。少しブランハーツ学院が不利でしょうか?」
「いや、ソルヴァレスの1人は俺がかなり削ったからな。場合によっては互角と言うことも有り得る」
「時間は残り5分か……とりあえず俺たちは制限時間までここに隠れてよう」
その後時間終了の放送がされ結果が発表された。
『ここで時間終了! 最後の戦いには決着が付かず結果はアストレア学院が1位だぁ!合計ポイントは50ポイントと生存点の50ポイントで合計100ポイント!1学院分倒してるぞ!?』
何とか俺達は1位を取れたようだ。
『2位は40ポイント&生存点の50ポイントで合計90ポイントのソルヴァレス学院! こちらも高得点だぁ!』
「やはり2位はソルヴァレスだったか。ブランハーツとセイクリッドは序盤に数を減らしすぎたな」
アレクの言う通り、セイクリッドは俺とサクラで、ブランハーツはアレク単体で序盤に3人が落とされている。それがこの順位に繋がったのだろう。
『3位は30ポイント&生存点で合計80ポイントのブランハーツ!4位は最後に惜しくも全滅してしまったセイクリッド学院ポイントは20ポイントだぁ!』
そして、結果発表の放送が終わり、俺達が森から出ると各校の消耗が予想以上に激しく回復まで時間がかかりそうなため2戦目は明日行われる事が放送で伝えられた。
こうして、四大魔法学院対抗戦1戦目は無事終了した。
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