第2章 四大魔法学院対抗戦 前編 十六話 相手が決まりました。
俺は試合終了後轟音がした方へ向かって走っている。そこに着くと敵陣地の旗があったと思われる場所の前方が黒く焦げ大穴が空いていた。
「おい、アレク。何をやればこんなことになるんだよ…」
「ん?いや、ちょっと威嚇するつもりがな。予想以上に威力が出てしまった」
「いや、これどっから見てもちょっとじゃないだろ…俺は今でもなんでお前が首席じゃないのか信じられないよ」
俺がそう言って若干呆れているとアレクは何がおかしいのか笑い始めた。
「それはお互い様だろう?何だあの技は、あんな広範囲に障害物を斬る技なんて見たことも聞いたこともないぞ」
「そ、それは…」
「音はともかく地響きならお前の方が大きかったんじゃないのか?」
「よ、よし!この話は一旦ここで終わろう!早くみんなの所にも戻らないとだしな!」
俺はこれ以上喋ると部が悪くなると感じてはぐらかそうとした。
「まぁ、今はそれでいいだろう。俺も人の事は言えない身だからな。とりあえず、みんなの所へ戻ろう」
「そ、そうだな」
な、何とかこの場は凌いだな、
俺は少しホットしながらアレクと共に皆の元へ戻った。
俺たちが戻ると3人は慌てた様子で駆け寄ってきた。
「レオ君!大丈夫ですか?さっきレオ君達が動いてすぐに同じ方向から立て続けに地響きと凄い音が2度も聞こえたのですが…」
「あぁ、とんでもない音と揺れだったが一体あっちで何があったんだ?」
みんなの所へ戻ってきた途端当然のようにさっき俺たちがやらかしてしまったことについて問いただされた。
「あーその話、聞きたいか?」
「聞くに決まってます!もう、何かあったんじゃないかって心配したんですから!」
う、アリシアにそう言われると言わない訳にはいかないよな…
そうして俺はアレクと俺が試合中にやった事についてざっくりと3人に伝えた。
「全く、お前たちってやつは、誰かが目を光らせてないとすぐに自重できなくなるな」
「返す言葉も無いです…」
「いや、何だ、ちょっと威嚇するだけのつもりだったのだが。少し加減を間違えてな、予想以上に威力が出てしまったという訳だ」
「けど、少し加減を間違えたくらいで地響きがする様な音が聞こえるかな?なんの魔法を使ったの?」
「雷魔法だ」
アレクがそう答える。その瞬間3人は察しがついたようでサリーとダリスはため息をつきアリシアは苦笑いしていた。
「アレク君。普通学院の試合で雷落とすような人はいないよ」
「そもそも落とそうと思って実行出来るやつが少ないけどな」
「それで、アレク君がやった事はわかったけどレオ君は何をしたの?アレク君の話だといきなり広範囲の草木が同時に切り倒されたって聞いたんだけど」
「あぁ、それか。まぁなんと言いますか、やってる事は本当にただ切っただけなんだぞ?」
「ただ切っただけでそんなことになるか!切る時に何したかって聞いてんだよぉ!」
そう言ってダリスが俺の両肩を掴みグワングワンと揺すってくる。
「えっと、つまりな?この剣に空間魔法を
「な、何だそれ!?」
「前から思ってたけどレオ君ってやっぱり規格外だよね」
「さすがレオ君です!」
「アリシア?そうやって甘やかしてばっかりじゃダメだよ?ちゃんとダメなことはダメって言わなきゃ」
「え?えっと、じゃ、じゃあ、レオ君!」
アリシアが頬を膨らませて上目遣いに見上げてくる。
「な、何だ?アリシア」
「もうやりすぎちゃダメですからね!わかりましたか?」
「う、うん。わかったよ。今度から気をつける」
「約束ですよ?もう!心配なんですからね」
ごめん、アリシア。アリシアの上目遣いの破壊力が強すぎて全然頭に入ってこなかった…
その後俺達は待機場所に戻った。
そうして俺達は急いで待機場所に向かった。第2試合は森の修復が終わる1時間後だ。
「よぉ、レオ!やったな!」
「バーン、次はお前のチームか相手にはブリッツもいるし油断するなよ」
「あたりめぇよ!あいつにもお前にも勝って俺が代表に選ばれてやる!」
そう言ってバーンはチームメンバーの元へ戻って行った。
1時間後第2試合開始数分前。ブリッツ達Cチームとバーン達Dチームは各々の陣地に着き作戦を立てていた。
「レオ、この試合どう思う」
「ブリッツ達の方が少し有利かな。バーン達はブリッツ攻めるにしても守るにしてもブリッツをどうにかできないと厳しいと思うよ」
「ブリッツはそこまで強いのか?」
「あぁ、実際に戦ってみてわかった。あいつはプライ ドは高いけど視野が広いし追い込まれても自分の状況を理解して受け入れられる冷静さも持ってる」
「なるほど、確かに敵に回したら厄介な奴だな」
そして今、Cチーム対Dチームによる第2試合が始まった。
始まってから既に20分経ち試合の3分の1が終了していた。ここまでは両チーム互角と言ったところだ。
「正直、Dチームがここまで前線するとは思わなかったな」
「あぁ、特に目立っているのはあの旗を守備している奴。確かルイ・カーネスと言ったか」
「この序盤だけでも3回も敵の2人組の攻撃を守ってる。それも1人で」
「普段はクラスで目立たないから気づかなかったけど彼ってあんなに強かったんだね」
「確実にこのAクラスでもトップクラスの実力だろう」
俺もルイの戦闘を見たのは初めてだけどこれは他のクラスメイトと比べても頭一つ抜けてるな。実力はブリッツクラスかもしかしたらその上もあるかも。
「ルイもダリスと同じ近接戦闘が得意みたいだけど今戦ったら勝てると思うか?」
「正直な所厳しいな。条件が合えば勝てないことも無いだろうが、それでもかなり苦戦すると思うぞ。なんの条件も無い1体1だったら確実に負ける」
「ダリスがそこまで言うか。これは、予想に反してCチームはあいつの守りをどうにかしなければ勝ちはなさそうだな」
「だね、Cチームは今どうやってあの守りを崩すか考えてると思うよ。それとは対象にDチームは迷いなく4人で攻めることができてる。何も気にすることがない、これはバーンの得意な状況だ」
「攻めも強く守りも硬いまさに完璧と言えるチームだな」
これはブリッツもさすがにキツいか…?
その頃Cチームのではどうやってあの守りを崩すか作戦が立てられていた。
「あの守り、どうやって崩す?」
「2人がかりじゃ厳しいぞ、少なくとも3人は人がいないと」
「と言っても旗の守りを薄くすればあの攻撃にすぐにやられるぞ?」
「どうしますか?ブリッツ様」
「俺とエリックで相手の旗を攻める守りは3人で交代しつつつ何とか耐えてくれ」
「「「はい!」」」
「エリックは俺と来て旗を奪うぞ。俺が前に出て奴と戦うお前は後ろから援護を隙を見せれば旗を取ってくれ」
「はい!」
そうしてエリックと言われた男子とブリッツはDチームの旗めがけて走っていった。
その後、30分にも及ぶ接戦が幕を閉じ試合が決着した。勝者は…Dチーム。
「とんでもないな。」
「あぁ、あのブリッツが最後まで決定打を与えられずに魔力と体力だけを消耗させられてた」
「確かに実力も凄まじいが驚くべきはあの判断力と対応力だ。2人が現れた瞬間にどちらが前に出るかを見極め先に居られると面倒な後衛を落とした」
「そうして攻めあぐねている間にバーン達が手数で押しきった感じだな」
Cチームは最後まで自分達の作戦が上手くいかずに振り回されていたような気がする。
「俺達の決勝での課題は間違いなくあの男ルイ・カーネスだろう。あいつをどれだけ早くどう突破するかが戦況を大きく変えるぞ」
そうして俺達は決勝に向けて作戦を立てることにした。どうやら出し惜しみはしていられないようだ。
1時間後、俺達はさっきとは別の場所に旗を立て陣地としていた。そこは大きく開かれ周りを木に囲まれた空間だ。
「作戦としては俺、ダリス、サリーの3人で攻める防衛に関してはレオとアリシア様に任せる」
「「「「了解!」」」」
俺達はそれぞれ自分達の持ち場につき開始の合図を待った。そして、遂にその時は来る。
「それでは今から決勝戦を始める。それでは、始め!」
メルト先生の合図により決勝戦が始まった。
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