第2章 四大魔法学院対抗戦 前編 十四話 からかいたくなります。


「なに、当主と言っても男爵の仕事はそこまで多くはないからな。アラン君と協力すれば魔法師団に所属しながらでも何とかなるだろう」

「そ、それはいいのですが、そもそも貴族って18歳になって直ぐになれるものなんですか?」

「あぁ、条件さえ満たしていれば何の問題もない」

「そ、そうですか…」


 確かに小さい頃は父さんの様な貴族になる事が夢の時もあった。だけどこんなにいきなり貴族になって欲しいと言われても理解が追いつかない。けど…


「わかりました。その話、受けさせていただきます」

「おぉ!本当か」

「はい」

「い、いいのか、レオ?」

「うん、魔法師団に入りながらでもアラン兄さんと協力すれば何とかなるだろうし。それに、いつかは自分の街を発展させていくのも面白いかなって」

「そうか、まさかアランより先にお前が当主になってしまうとわな」


 そう言って父さんは楽しそうに笑った。


「それとレオ君、もう1つだけちょっとした相談があるのだが」

「はい、なんですか?」

「まぁ、今後も今回の様なことがないとも限らないらな。レオ君には学院にいる間だけでもなるべくアリシアと一緒にいてもらいたいのだ」


 そんなことか、それなら俺は大丈夫だけど…


「俺は大丈夫ですがアリシアはいいの?俺なんかとずっと一緒で」

「はい!私は全然大丈夫です!レオ君が一緒にいてくれるなら安心できますし」

「そっか、それならその相談も受けさせていただきます」

「ありがとう。とりあえず今日話したかった事は以上だがリヴァイス子爵とは収める街や今後についても少し話したい。この後時間は大丈夫か?」

「はい、今日は1日空けておりますので。私の方は大丈夫です」

「わかった、それなら問題ないな」

「レオはどうする?先に帰っていてもいいが」

「いや、終わるのを待ってるよ。馬車を何度も往復してもらうのも悪いしね」

「それならこちらが終わるまで客室で休んでいるといい」

「それじゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらいます」


 そうして今回の王様からの話は終わり俺は応接室から退出した。


 俺が応接室を出るとそれに続くようにアリシアも出てきた。


「レオ君!」

「どうしたの?アリシア」

「良ければ私も一緒に待っていてもいいですか?」

「うん、それはいいけど。アリシアは大丈夫なの?仕事とかあるんじゃ」

「いえ、私は第2王女なので仕事は前にやっていた挨拶回りぐらいなんです」

「そっか、それなら一緒に話でもして待ってようか」

「はい!それじゃあ案内しますね!」


 そう言ってアリシアは嬉しそうに笑うと俺の隣に並び歩き始めた。


 俺達が客室に着くとメイドさんがお茶とお菓子を出してくれた。


「そう言えば、アリシアはどうして魔法学院に入学しようと思ったの?」

「私ですか?そうですね、最初はサリーが入学するって聞いて私も何となく一緒に入学しようと思ったんです」

「そっか、サリーのお父さんは元魔法師団所属だもんね」

「はい、サリーもお父様に憧れて魔法師団を目指してたみたいです。レオ君はどうして魔法師団を目指たんですか?」

「俺?そうだな…俺の場合は父さんに憧れたんだ。」


 そうして俺はアリシアに幼少期の頃について話した。


「小さい頃は父さんに憧れて貴族になろうって思ったこともあるんだ。けどさ、うちって三兄弟だから、俺は当主にはなれないと思ってた。そんな時アラン兄さんから昔の父さんの話を聞いて魔法師団を目指したんだ」

「そうだったんですか、ふふっなんだかレオ君って今も昔とそんなに変わらないんですね」

「え、そうかな?」

「はい、今も昔お父様の事をとても尊敬しているのが話を聞いていて伝わってきます」


 そっか、そういう事か。


「だから国王様の頼みも受けたのかもな」

「あの貴族になって欲しいってやつですか?」

「うん、あっそうだ、アリシア!事前に知ってたならなんで教えてくれなかったんだ!?」

「ふふっ、すいません、お父様に秘密にするよう言われていたので」


 そう言ってアリシアは楽しそうに笑った。


 あぁ、もう!そんな顔されたら怒るにも怒れないだろ!


「あ、そうだレオ君。私からも1つお願いがあるのですが」

「うん、どうしたの?」

「実は、これからは下校の時だけじゃなくて、朝登校する時も一緒に登校してもらいたいなって…」

「うん、それはいいけどアリシアはいいのか?朝はいつも馬車なんじゃ」

「い、いいんです!レオ君と一緒に登校したかったので!実はずっとお友達と街を歩くのが夢だったんです!」


 そうか、アリシアは王女様だから街をゆっくり歩けることは少ないもんな。


「うん、わかった、それじゃあ明日からは朝登校する前に迎えに行くよ。」

「本当ですか!ありがとうございます!」

「いいよ、俺もアリシアと一緒に登校できるのは嬉しいし」

「!?あの、ほ、本当ですか?私と登校するのがその、嬉し、いって?」


 本当だけどそんな顔されるともっとからかいたくなるな。


「うん、本当だよ。そう言うアリシアはどうして俺と一緒に登校したいの?」

「ふぇ!?そ、それは、その…なんと言うか、」

「まぁ、冗談だけど」

「!も、もう!意地悪しないでください!」

「ははっ、ごめん、ごめん照れた顔が可愛くてついからかいたくなっちゃったんだ」

「えぇ!?か、可愛いなんて、そんな、うぅ…」


 その後も2人で他愛もない話をしていると国王との打ち合わせが終わったのか父さんが入ってきた。


「楽しく話してるところ悪いな、今後の予定が決まったからレオにも話しておこうと思ってな」

「いや、大丈夫だよ。それで、どうしたの?」

「あぁ、まずリヴァイス家で収める街だが王都の東門から馬車ですぐの所にあるヴォルアスの街を収めることになった。それにあたり明後日ヴォルアスの街を下見に行くことになったよ。本格的に移るのは来週末だ」

「わかった、今までの領地はどうなるの?」

「そこは他の場所を管理する子爵家の中から管理面積の低い人に声を掛けて分けるみたいだ」


 今住んでる所よりも王都に近くなるなら帰りやすくなるな。


「それじゃあ、そろそろ帰るか。馬車は外に準備ができてるみたいだ」

「そうだね。それじゃあアリシア、また明日」

「はい、また明日お待ちしてます!」


 そうして俺と父さんは外に出ると準備が済んだ馬車に乗り屋敷へと帰った

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