第1章 魔法学院入学編 六話 入学しました。

 二次試験も終了し残す試験は筆記試験のみとなった。俺達はそのまま1つの教室に連れていかれ筆記試験を受けることになるらしい。


(事前にどんな問題が出るかは伝えられてたけどどのレベルかは分からないからな。ある意味ここが今日の試験で1番の難関かもしれない)


 そう思いながらも俺は気を引き締め試験が始まるのを待つ。


「時間になりました。それでは始めてください」


 試験官の人の合図で試験が始まる。問題の内容は魔法や属性についての基礎から応用やその魔法に纏わる物などが出題されたりこの国の情勢や政治等が出題されいた。

 これぐらいなら今まで読んできた本や勉強してきた内容を思い出せばなんの問題もなく高得点を狙えるだろう。その後もどこにも躓かずに順調に問題を解き終えることができた。

 そして筆記試験が終わると今日の試験を全て消化した事を告げられ受験者達はそれぞれ帰りの準備をして帰路に就き始めた。

 俺も帰り支度を進めていると一足先に準備を終えたバーンが声をかけてきた。


「よう、レオ!お前は最終試験上手くいったか?」

「あぁ、満点かどうかは分からないけどかなりいい点は取れると思うよ」

「まじか、実技もあれだけだけできて筆記も高得点なんてやっぱりお前はすげぇな!俺は筆記には自信が無くてよ。実技頼りだな」

「まぁバーンのあの実力なら筆記がある程度出来てなくても合格出来ると思うよ」

「そうか?お前にそう言って貰えるとなんかそんな感じがしてくるな!それじゃ次会うとしたら来週の結果発表の日だな!」

「そうだね、お互い全力を尽くしたんだまた結果発表の日に会えることを楽しみにしてるよ」

「おう!それじゃあな!」


 そう言ってバーンは慌ただしく帰って行った。

俺も準備を終え門に向かうと既に門の前にはゼルさんがいた。


「すまない、待たせてしまって」

「いえ、ちょうど今到着したところですので」

「そうか、それならいいんだ。それじゃあ出発してくれ」

「かしこまりました」


 そして俺はリヴァイス家の屋敷へと帰って行った。


 一方その頃、アストレア学院のとある一室では今日の試験結果について会議が行われていた。


「いや〜今年の新入生は才能の高い者が揃っているね」


 そう言ったのは初老の老人だ年齢は60代前半と言ったところだろうか。


 「はい、学院長今年はアリシア第2王女やシルフィード辺境伯のご令嬢も受験なされています。

子爵家以下の貴族や平民からも高い実力の者が多く今までのこの学院こ歴史の中でもかなりの実力の者が揃っていると言えるでしょう。」


 そう言ったのは学院長と呼ばれた老人の隣にいる中年の男だ。


「そして極めつけはこの2人です」

「4属性持ちの神童アレックス・フォン・アルカードか噂には聞いていたがまさかこれ程とはな。もう1人はレオナルド・フォン・リヴァイス?」

「はい、リヴァイス子爵のご子息でなんでも光属性と闇属性を持っているそうです」

「おぉ、この子があの…」

「はい、それとこれはレオナルド君の担当だったリリス教論から聞いたことですがどうやら魔力量測定で15700という信じられない数字を出したと聞きました」

「15700!?あの神童と呼ばれているアレックス君でさえも12690という桁外れな量だと言うのに彼はその上を超えてくるのか!」

「えぇ、2人は実技の方も申し分なく既に学生レベルを超えているようで」

「4属性持ちのアレックス君に光と闇属性を使い桁外れの魔力量を持つレオ君かこれは今年のAクラスはすぐに決まりそうだな」


 そうして教師達はその後Bクラス以下の振り分けに頭を悩ませたという。


 1週間後、俺は試験の結果を確かめに再び王都に来ていた。

そして王都の屋敷からアストレア学院へ向かうと広場の掲示板に大きな紙が貼ってありその前に人だかりができていた。どうやら既に結果は貼りだされているらしい。その結果は左からAクラスそしてBクラスと右に行くにつれどんどん下がっているどうやら試験の順位が高い人からクラスが割り当てられているらしい。そうして俺が自分の名前を探してみると…


(無い、どこにも無いぞ!まさか落ちた…いや、あった!)


 そうして見つけた自分の名前のある場所は1番上のの1番左だった。


「えっと、1番左の1番上だから、もしかして…」


 その時いきなり横から肩を組まれた。

驚いた俺が反射的にそちらを向くとそこに居たのはダリスだ。


「おいレオ!やったなぁ!すげぇ奴だとは思っていたがまさか首席になっちまうなんてよ!」


 そうだ、俺の名前が書いてあった場所左の1番上ということは試験順位1位首席ということだ。


「今年はアルカード公爵の息子やシルフィード辺境伯の家のご令嬢までいる中首席なんてなかなかできることじゃねぇぞ!」

「そっか、なんだかまだ実感がわかないけど、ありがとうダリス。そういえばダリスはどうだったんだ?」

「あぁ!俺も入試7位でお前と同じAクラスだ!」

「そっか、それは良かった。改めてこれからもよろしくなダリス!」


 そうして俺とダリスが熱い握手を交わしていると遠くから2人の少女が走ってきた。前を走るその少女は俺達も知った人物アリシアだ。後ろの子は誰だろう?


「レオさーん!」

「ちょっと待ってよアリシア〜!」

「レオさん!首席合格おめでとうございます!レオさんなら必ず合格できるって信じてました!」


 そう言ってアリシアは凄い勢いで俺に駆け寄ってきた。


「あぁ、ありがとうアリシア。そっちはどうだったの?」

「はい!私も4位で合格出来ました!レオさんと同じAクラスですよ!」

「そっか、これからもよろしくね。ところでその後ろの人は?」

「あぁ、紹介しますね。私の親友のサリーです!」

「どうも、サリー・フォン・シルフィードです。貴方がレオさんですか?」


 あれ?この子とも会ったことはない気がするんだけど…


「はい、そうですけどどこかでお会いしたことがありましたっけ?」

「いえ、アリシアからよく話を聞いていただけです。会うのは今日が初めてですよ。先日はアリシアが危険なところ助けていただいたようでありがとうございます」


 あの時の事も話していたのか…


「いえ、あれはアリシア達が困っていたようなので助けて当然ですよ。それにお礼ならアリシアから何度も聞いているので」

「それでも親友として1度でも直接お礼を言いたかったんです。それとこれからは同じクラスのクラスメイトですからレオさんの話しやすいように話していただいて大丈夫です」

「わかった。それなら俺もアリシアと話す時みたいに楽な話し方で大丈夫だよ俺の事も気軽にレオって呼んでくれ。」

「それなら有難くそうさせてもらうね。これからよろしくレオ君」


 そうして俺とサリーが軽く挨拶をしていると隣からアリシアがいきなり大きな声を出した。


「あぁ!サリーだけずるいわ!レオさん!私もレオ君ってお呼びしてもいいですか!?」

「う、うん大丈夫だよ」

「ありがとうございます!レオ君!」

「そういえばサリーもAクラスなの?」

「うん、私もここにいる皆と同じAクラスだよ」

「レオ、お前知らないのか?」


 そう言ったのは現在進行形で空気となりかけていたダリスだ。


「サリー様はあのシルフィード辺境伯の娘さんで入試順位も3位だ。そこの掲示板にもお前の2つ下に名前が書いてあるだろ」

「あ、ほんとだ。自分のことで頭がいっぱいで目に入って無かったな」

「まぁ首席取ったってなるとそうなっても仕方ないけどよ」

 

 その後俺達4人は制服を受け取りに校舎の中へ入って行った。

 校舎に入るとすぐに制服を受け取る待機列が出来ていてその最後尾に俺達は並んだ。そうして並び始めて数分俺の順番が回ってきた。


「受験票はありますか?」

「これですか?」

「はい、お預かりします。レオナルド君ですね、あなたの制服はこちらになります。それと、レオナルド君は首席なので入学式の日に新入生代表挨拶をしてもらいます。なので何か一言でもいいので考えておいてください」


 そうだ、これがあったんだ。首席を取ったということで頭がいっぱいですっかり忘れていた。


「入学式は明日の朝9時からです。その時はもうこの制服を来て登校してください」

「はい、わかりました」


(はぁ、人前で何か話すのってどうにも苦手なんだよな。まぁそれがこの学院の伝統だし仕方がないか)


 そうして俺は制服を受け取り3人の元へ戻った。今日の予定は試験結果の発表と合格した人は制服を受け取るだけのようで俺達3人はその後話したあと皆家族に報告するということで解散する事になった。


 俺が家に着くと真っ先に飛び出して来たのはカレンだった。


「レオ様!お帰りなさいませ!それより試験の結果は!?」

「あぁ、無事合格したよ。それも首席で」

「首席ですか!?さすがレオ様!おめでとうございます!良かったです。本当良かった…」


 そう言ってカレンは泣き出してしまった。


「どうしてカレンが泣くのさ」

「だって、だってぇ〜あんなに小さかったレオ様がこんなに立派になられて…」

「カレンはずっとレオ様の事を心配していましたからね。それはもう仕事も手につかないぐらいに」


 そう言って現れたのはカレンの母親でありこの屋敷のメイド長でもあるノアだ。


「レオ様が出発なされた後もずっと心ここに在らずと言った様子でしたし」

「お、お母様!それは言わない約束で、」

「メイド長とお呼び!」

「は、はいっ!」

「ははっ、そうだったのか。カレン心配してくれてありがとう。ところで父さんたちは?」

「旦那様は現在書斎にてお仕事をなされています」

「わかった。それじゃあ今から合格したこと伝えてくるよ」

「行ってらっしゃいませ」


 そうして俺はカレンとノアと別れた。

書斎へ着き俺はドアを叩く。


「父さん、ただいま帰りました。レオです」

「おぉ、レオ帰ったか。入っていいぞ」

「失礼します。父さん、試験ですが無事首席で合格していました」

「おぉ!首席でか!お前なら合格するとは思っていたがまさか首席とは、今年はアルカード公爵の息子さんやアリシア王女それにシルフィード辺境伯のご息女もいてレベルが高いと思っていたんだがな。本当に良くやった」

「ありがとうございます。この結果も父さんたちが今までのびのびと魔法の練習や修行をさせてくれたおかげです」

「そうか、母さんたちにはもう伝えたのか?」

「いえ、これから伝えに行こうと思っていたところで」

「ならば今日の夕飯の時に伝えれば良いそこなら皆集まるだろうからな」

「わかりました。それじゃあ失礼します」

「あぁ、改めてレオ、合格おめでとうお前は我がリヴァイス家の誇りだ」

「そう言って貰えると俺も頑張った甲斐があるよ。それじゃあ」


 そうして俺は書斎を後にした。その夜みんなが一斉に集まる夕飯で主席で合格したことを報告したら母さんと兄さんはカレンと同じような反応で泣き出してしまった。珍しく帰っていたロイス兄さんやマナも自分のことかのように喜んでくれて俺もより一層嬉しかった。

 カレンの提案で小さなパーティーの様になった夕飯も終わり俺は明日の入学式に備え部屋に戻り今日は眠った。


 翌日の朝、俺は支度を終わらせ学院へ向かうため庭に出る。と言っても今いるのは王都の屋敷ではなくリヴァイス家領地の屋敷だ、ここから王都までは馬車でも1時間ほどかかってしまうだろう。馬車で向かっていたら恐らく遅刻だ。

 だがそれぐらいの事なら特に問題は無い。

俺はそのまま屋敷の門を出ると数歩歩いてに到着した。ここらか学院までなら徒歩20分程で着くだろう。余裕で間に合う。そうして俺は道を確かめながらアストレア学院へ向かった。


 学院へ着くと既に多くの生徒が登校していた。

新入生はそれぞれのクラスで待機場所が別れておりその待機場所を今後それぞれの教室として使うようだ。


(Aグループの待機場所は2階の第3教室か。みんなもう来てるかな)


 俺が待機場所の教室に入ると既にみんな揃っていた。それに気づいたアリシアが目を輝かせて近づいてきた。


「レオ君!おはようございます!今日は晴れて良かったですね!」

「え、あぁ、おはよう。そうだね天気も悪かったら気分も悪くなって余計代表挨拶が不安になる所だったよ」


 目を輝かせながら近づかれたため何を言われるのかと思っていたら挨拶をされただけで少し反応に遅れてしまった。


(挨拶をするだけでなんであんなに嬉しそうだったんだ?)


 そんな事を考えているとアリシアの後ろからサリーとダリスもやってきた。


「よう!レオ昨日はよく眠れたか?」

「いや、全然だよ、代表挨拶で何を言えばいいのかずっと考えちゃってな」

「それで話す事は纏まったのか?」

「まぁ、ある程度は…」

「レオ君なら大丈夫です!自信を持ってください!」


 そう言ってアリシアが励ましてくれた。

あぁなんて優しいんだろう。アリシアはどこかカレンに似たところがあってつい甘えそうになるな。


「ありがとう、アリシア。少し気が楽になったよ。ところでなんでさっきはあんなに嬉しそうだったんだ?」

「え、?えっと、それは…」


 アリシアが答えづらそうにしていると代わりに答えたのはサリーだった。


「アリシアは朝からずっとレオ君に会えるのを楽しみにしてたんだよ。登校中だって早くレオ君に会いたくて予定より30分も早く家を出たみたいだし」

「サ、サリー!何言ってるの!?別にそんなんじゃ…」

「あら、違うの?」

「え?あ、いや、違わ、ないけど…それは!友達として!友達としてレオ君が昨日代表挨拶の事で不安がってたから心配で…」


 どうやらアリシアは俺の事を心配してくれたらしい。やっぱりアリシアは優しいな自分より身分が低い俺にもこんなに親身になって接してくれるなんて。


「そっか、アリシアは俺の事心配してくれたのか。ありがとう、アリシア」

「あ、いや、えっと、友達として当然です…うぅ、不意打ちの笑顔はずるいよォ…」


 最後の方の言葉は小さくてよく聞こえなかったけどアリシアの顔が赤くなって下を向いてしまったのでそれ以上は追求するのはやめておいた。

 その後も俺達が他愛も無い話をしていると横から声をかけられた。


「やぁ、みんな元気そうだね。良ければ俺も仲間に入れてくれないかな?」


 そう言ってこちらに歩いて来たのは白みがかった銀髪を短く切りそろえた爽やかな男子だった。


「あ、アレク君」

「おはようございます。アレクさん」

「2人の知り合いか?」

「レオ君も知ってると思いますよ。アルカード公爵の息子さんのアレックス君です」


 アルカード公爵ってあの披露宴の時に父さんを助けてくれた人か。


「そうだったのか、披露宴の時には合わなかったからわからなかったよ。俺はレオナルド皆からはレオって呼ばれてる。よろしくアレク」

「あぁ、こちらこそよろしく。君の事は父さんから聞いていたよなんでも光と闇属性の使い手なんだって?」

「俺も君の噂は聞いてるよ4属性持ちの神童だって」

「やめてくれ、いつの間にか着いた異名だ恥ずかしくて1度も名乗ったことなんて無い。付けるならもう少しマシなものにして欲しかったものだ」

「ははっ、確かに自分で名乗るにはちょっと恥ずかしいな。そもそも異名を自ら名乗ること自体が俺は恥ずかしいけど」

「同感だ」


 そうして俺とアレクが親睦を深めていると待機場所の扉が開いた。入ってきたのは欠伸をしてどこかやる気の無さそうな男だ。


「全員揃ってるな。適当な席に座ってくれ。

今から今日の予定を説明する。その前にまずは自己紹介からだな、メルト・フィンゲートだお前たちAクラスの担任をする事になった、よろしく。以上」


 そうしてメルトと名乗った先生は自己紹介を終えて。今日の予定について説明し始めた。この人が担任で大丈夫かな…


「今日はこの後体育館に移り入学式に出てもらうその後はここに戻って軽く学校の事について話して解散だ。ここまでなにか質問ある奴いるか…いないみたいだなそれじゃ廊下に出て体育館に移動だ」


 メルト先生のその合図でクラスの生徒達は全員体育館へ移動した。

体育館に着くとまだどのクラスも集まっていないようだった。席は入学試験の4位までが先頭で固定らしくそれ以外の生徒は自由なようだ。俺達はその後他のクラスが集まるのを待っていた。

 卒業式が始まり数十分。学院長や来賓の挨拶も終わりついに新入生代表挨拶が迫ってきていた。


「あぁ、自分の出番が近づくにつれどんどん緊張してきた」

「期待してるぜ首席さんよ!」

「面白い挨拶を楽しみにしてるよ」


 そうして俺のハードルを上げてくるのは俺の後ろに座ったダリスと右隣にいるアレクだ。こいつら、人が苦しんでるのを見て絶対楽しんでやがるな!

そんな2人からのプレッシャーに抗っていると同じ列の反対側にいるアリシアが声をかけてくれた。


「レオ君ならきっと大丈夫です!」

「俺を励ましてくれるのはアリシアだけだよ…」

「そんな事無いですよ!サリーだってほら、ね?」

 

 そうしてアリシアはサリーに同意を求めるがそのサリーはと言うと…


「う〜ん、私はどっちかって言うとアレク君達の味方 かなレオ君の反応見てると面白いし。ごめんな?アリシア」

「サ、サリー!?」


 そうして俺達が話していると想像以上に声が大きくなってしまったのか先生にやんわりと注意されてしまった。

そして遂に次が新入生代表挨拶だ。


「それでは、新入生代表挨拶。新入生代表レオナルド・フォン・リヴァイス」

「はい!」


 名前を呼ばれた俺は緊張をどうにか押し殺しなんでもないことのように壇上にあがり新入生代表挨拶を初めた。


『新入生代表を任されましたレオナルドです。まずは保護者、御来賓の方々には遠方に住む方もいる中出向いてくれたことありがとうございます。今日この良き日に教師や在校生の方々に迎えられ、このアストレア魔法学院に無事入学できたことを嬉しく思います。』


 よし、ここまでは順調だ。


『今年はとても凄い才能を持つ生徒が多いようで、そんな中首席を取れたことは僕だけの力ではなく今日まで育ててくれた家族のおかげでもあります。ですが首席だからと言って油断はせずこれからも自分なりに努力し首席として恥ずかしい事のないように学院生活を過ごしていきたいと思っています。新入生代表レオナルド。』


 そうして壇上から降り自分の座っていた席に戻ると何かつまらなそうな顔をしたダリスとアレクがいた。


「なんだよお前ら、その顔は」

「いや、別に。普通に何事もなく終わってつまらねぇなんて思ってないぞ」

「あぁ、ダリスの言う通りだ。もっと何かやらかしてくれないかと期待していた訳では無いぞ」

「お前らいつからそんなに仲良くなったんだよ…」

「敵の敵は仲間って言うだろ?なぁダリス」

「おう、正しくその通りだ」

「俺がいつから敵になったんだよ!」


 そんな事を言い合っているとまた先生から注意されてしまった。しかも今度は割と真面目に。

 そうして入学式も終わり教室に戻るとアリシアが満面の笑顔で隣の席に座った。


「レオ君!代表挨拶お疲れ様です!とてもいい挨拶でしたよ」

「ありがとう。そうやって言ってくれるのはアリシアだけだよ…」

「ほ、本当ですよ!?」

「あぁ、確かになんの面白みもなくいい挨拶だったな」


 そう言ったのはアリシアとは逆の俺の隣に座ったアレクだ。やっぱり思ってたんじゃねぇか!

 その後もアレクとダリスから代表挨拶が面白くないつまらないと言われアリシアに励まされてを繰り返しているとメルト先生が前の扉から入ってきた。


「全員揃ってるなぁ〜それじゃあチャチャッと今後の日程について話して終わるぞ〜」


 その後先生のやる気のない言葉とは裏腹に分かりやすくしっかりと今後の学校生活や学校のルールについて説明されその日の日程は終了となった。

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