予期せぬ訪問者… ~ピザ~ ※【短篇集(ピ)】より改題※

貴音真

第1切「田舎育ちの女の子」

 ピンポーン…


 夜10時頃、突然インターフォンが鳴った。


(誰だろ?こんな時間に…)


 あたしはに心当たりがなかったが、取り敢えず出ることにした。


「はーい。いま出ま…っと、危ない危ない。ドアフォンこっちだった。…はい、どちらさまですか?」


 田舎から引っ越してきてまだ二ヶ月目だったあたしは、田舎にいた頃ので相手を確認せずに直ぐに玄関を開けてしまうことがよくあったが、今回は踏みとどまり、ドアフォンを取った。


「ピザのお届けに参りました…」


「はい?」


(え?ピザ?)


 男とも女ともつかない声でピザの宅配に来たと言われ、あたしは全く意味がわからなかった。


「…あの、申し訳ないんですけどピザ頼んだ覚えないんですが?」


「ピザのお届けに参りました…」


「いや、だからピザなんか頼んだ覚えないんだけど。」


「ピザのお届けに参りました…」


「ちょ…何なの?話くらい聞きなさいよ。」


「ピザのお届けに参りました…」


 インターフォンの向こうの相手はしか言わなかった。


「ピザのお届けに参りました…」


「な……ちょっと!あたしはピザなんか頼んだ覚えないから!もう帰ってくれる!」


 得体の知れない気持ち悪さと怖さで私はドアフォンを切った。


 すると…


「ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…」


「イヤっ!!!!!」


 受話器を置いて切れているハズのドアフォンから声か聞こえていた。


「ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届けに参りました…ピザのお届け…………」


 不意に声が止んだ。


(終わった?………あっ!)


 声が止んだと同時に私はでドアの鍵を掛けていなかったことを思い出して直ぐにドアの方へ走った。


(お願いお願いお願いお願いお願いお願いお願いお願い……間に合って!)


 ワンルームのため、でしかないドアまでの距離が物凄く長く感じた。

















 カ……チ……ン…


 私はかなり焦ってはいたが、鍵のを掴んだ瞬間に急に冷静になり、ドアの向こうにいる奴にわからないようにゆっくりとドアの鍵を閉めていた。


(良かった……間に合った……いったい何だったの?)


「ピザのお届けに参りました!」


「!!!」


 その声はのある部屋のほうからさっきより大きくハッキリと聞こえた。


「ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!ピザのお届けに参りました!」


「イヤァ!!!もうやめて!!!!あたしはピザなんか要らないから!!!!!」


「ピザ……………………」


 その声は、と言い掛けたが、そこでまた声が止んだ。


(………………………………)


 様子を見たが、今度は再び声が聞こえてくることはなかった。


 私は暫くの間、玄関でうずくまっていたが、ゆっくりと大きなため息をつきながら玄関から部屋に戻った。


「はぁー………何なの…………」

 

 そして、ベッドに横になった瞬間にを2つ思い出した。


 1つ目は、のにドアフォンから声がしていたこと。


 2つ目は、さっきまでドアの前に居たのにからは声が聞こえていなかったこと。


 テントーン…


 その時、LI○Eが

 知人以外はしてあるので、あたしは相手をろくに確認せずそれを開いてしまった。


 そこには…………




 302号さん、またのご利用をお待ちしております。

 次こそ、必ずおいしいピザをお届け致します。




 と、記載されていた。

 それを見たあたしは直ぐに友人に連絡し、ストーカーに狙われたと嘘をついて、その日から暫く泊めてもらい、親に頭を下げて引っ越し費用を借りて直ぐにから引っ越した。


 その部屋はだった。





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