49
「あらあら。お寝坊さんですね」
朝遅くに目を覚ましたみちるを見て、にっこりと笑って白藤の宮はそういった。
「おはようございます。白藤の宮」
小さく笑ってみちるはいう。
現在の時刻は、どれくらいなのだろう?
白藤の宮は台所に立って朝ご飯の準備をしていた。
とんとん、という気持ちの良い包丁の音が聞こえる。(台所に立っている白藤の宮の後ろ姿をみちるは少しの間、入り口のところから、眺めていた)
台所にはお味噌のいい匂いがしている。
みちるが目を覚ますと、もう横の布団の中には白藤の宮の姿はなかった。みちるの記憶は屋根の上で気を失うようにして、横になったところで終わっていたのだけど、目を覚ますとみちるはちゃんと布団の中で眠っていた。布団を出て、みちるが白藤の宮を探して鳥の巣の中を移動すると、すぐにいい匂いがしてきて、白藤の宮のいる場所がわかった。
朝ご飯の用意は、もうほとんど終わっていた。
焼いたお魚に炊きたての白いご飯。
お味噌汁。
それに漬物。(きっと白藤の宮が自分で育てた野菜だろう)
それは本当にとても美味しそうな朝ご飯だった。
「どうかしたの? あなた、まるで幽霊でも見たみたいな、とてもひどい顔してるわよ。ほら、ぼんやりしていないで、顔を洗って、着替えをして、それから食事の支度を手伝って」
とにっこりと笑って白藤の宮は言う。
「はい。わかりました」
と小さく微笑んでみちるは白藤の宮にそういった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます