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「あらあら。お寝坊さんですね」

 朝遅くに目を覚ましたみちるを見て、にっこりと笑って白藤の宮はそういった。

「おはようございます。白藤の宮」

 小さく笑ってみちるはいう。

 現在の時刻は、どれくらいなのだろう?

 白藤の宮は台所に立って朝ご飯の準備をしていた。

 とんとん、という気持ちの良い包丁の音が聞こえる。(台所に立っている白藤の宮の後ろ姿をみちるは少しの間、入り口のところから、眺めていた)

 台所にはお味噌のいい匂いがしている。

 みちるが目を覚ますと、もう横の布団の中には白藤の宮の姿はなかった。みちるの記憶は屋根の上で気を失うようにして、横になったところで終わっていたのだけど、目を覚ますとみちるはちゃんと布団の中で眠っていた。布団を出て、みちるが白藤の宮を探して鳥の巣の中を移動すると、すぐにいい匂いがしてきて、白藤の宮のいる場所がわかった。

 朝ご飯の用意は、もうほとんど終わっていた。

 焼いたお魚に炊きたての白いご飯。

 お味噌汁。

 それに漬物。(きっと白藤の宮が自分で育てた野菜だろう)

 それは本当にとても美味しそうな朝ご飯だった。

「どうかしたの? あなた、まるで幽霊でも見たみたいな、とてもひどい顔してるわよ。ほら、ぼんやりしていないで、顔を洗って、着替えをして、それから食事の支度を手伝って」

 とにっこりと笑って白藤の宮は言う。

「はい。わかりました」

 と小さく微笑んでみちるは白藤の宮にそういった。

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