02.一杯のラーメン


 マッチョを連れて、ラーメン屋を探して歩く。


「エリサ、ここだ。ここにしよう」


 ルーさんが激推しの店に入ることにする。

 このラーメン屋は初めてだが、ルーさんが、選ぶ店はだいたい美味しいので、いつも任せている。

 

「俺は、どこでもいいぜ」


「じゃぁ、適当に頼むわよ。大盛りとか、希望ある?」


「大盛りで!」


「今食券買ってくるからちょっとまってて」


 シウはよく食べそうだったので、ルーさんと同じで大盛りの味玉2個の焼豚ラーメンにしてあげた。

 私は、普通盛りの味玉。


 すぐにカウンターに案内されて、ラーメンが運ばれてきた。

 一口食べて、あぁ、美味しい。

 シウとルーさんは、ガツガツ食べている。美味しそうで何より。

 あっという間に食べ終わっていたので、替え玉も買ってあげた。


 私も食べ終えたので外に出る。ルーさんは、食べ終わると寝てしまった。


「すっげぇ、うまかった。エリサありがとう。腹一杯になった。本当にありがとう」

 シウは、改まった顔して、頭を下げてきた。


「いいよ。このくらい、元気になったなら修行頑張ってね」

 さて、さよならして、宿に戻ってお風呂はいってもうねようっと。


「エリサ、俺、お前を守ってやるよ。腹が減ってると力がでないんだけど、こう見えて俺つえぇんだよ」


 まぁ、そんなけ筋肉あったら、強いでしょうね。強くなかったら、ただの無駄じゃない。


「そうなの?でも、私とくに目的なくただ旅してるだけだし、あんた武者修行中なんでしょ?」


「あぁ、俺は修行中だ。だが、特に目的があるわけじゃない。とりあえず、つえーやつを探して、見つけたら片っ端から戦ってきた」


 一歩間違ったら、犯罪な匂いがする。


「そうなのね。でも、護衛なんて--」

断ろうとしたら、捨てられた子犬のような目をしてきた。こいつ・・・。


「わかった、わかった。護衛なんていらないけど、いいわ。お願いする。だからその目やめて」


「よし。じゃぁ、報酬は生活費でいいぞ!」


「あぁ、そうゆうことね。いいわ。じゃぁ、お願いね」


 護衛なんていらなかったけど、まぁ、断ると子犬のような目を向けてくるので、しょうがなく護衛を雇うことに。まぁいいわ。お金に困ってるわけではないし。


 泊まってる宿に戻って、シウ用にもう一部屋とって、今日はそのまま別れた。

 お腹空いた時用に、お小遣いも少し渡しといたら大丈夫でしょう。

 なんかあったら、隣の部屋にいるから呼びきてと言っておいた。


 しばらくすると、隣の部屋からすごい大きないびきが聞こえてきた。

 あいつ、うるっさい。

 ルーさんにお願いして、音を消してもらった。さて、私も寝よう。


 翌日、朝食堂でルーさんと一緒にコーヒーを飲んでいると、シウが起きてきて、同じテーブルについた。


「おはよう」


「おはようー」


「おはようさん」


 シウの分も朝食を頼んでおいたので、朝食が運ばれてきた。

 うまいうまい、言いながら美味しそうにめっちゃ食べてる。ルーさんも。食堂のおばちゃんも嬉しそうだ。おかわりももらってる。

 「元気があっていいわね、はいおまけ。あなたにも」といいって、おまけで果物もらってる。こいつら侮れないな。


 食事を済ませて、ギルドに向かう。



 シウは冒険者登録していなかった。冒険者登録すると便利よと伝えると、俺はそうゆうの興味ないっていってる。とりあえず、登録だけはさせた。


「依頼は受けなくていいから、魔物狩ったら、ここで買い取ってくれるからそれで、お金ができるわ」


「へぇー。便利だな」


「今まで倒した魔物はどうしていたの?」


「殺しはしないから、死なない程度に叩きのめして放置だな。あと、魔物は敵わないとわかるとすぐ逃げてくし」


 この子、よく今まで生活できたわね。



 さて、私は次の依頼を探すことに。また、お姉さんがオススメを出してきてくれた。なになに、森の生態系調査か。

 この前、人里までフォレストドラゴンが降りてきてたのが気になってたけど、その辺に関係した調査かしらね。この前のおじいさんのお家の先にある、森の調査だ。

 やっぱそうみたい。人里までドラゴン種が降りてくること自体珍しいこと。こうゆう場合は、縄張り争いが起きていたりする。もしかしたら、流れの魔物がきてるのかもしれない。だとしたら、森のバランスを保つためにも、イレギュラーを排除しなくては。とりあえず、森に行きましょう。



 というわけで、シウを連れて、森に向かう。



 フォレストドラゴンを倒した、おじいさんの家をすぎて、森の中に入る。

 ドラゴンが移動した痕跡を追いながら、どこからきたかを遡って追って行く。

 どんどん、森の中に入って行く。しばらくすると、ルーさんが反応した。


「この先に、変な気配がする」


「なにかしら?」


「いってみようぜ!ワクワクする」


 シウは楽しそうだ。


 ルーさんに案内されて、変な気配の場所に到着。

 黒っぽい水晶が地面に生えてる。

 これは、いったい。

 ルーさんが、なんかこれ悪魔の魔力を感じるとか言い出した。

 確かに、なんとなく禍々しい魔力を感じる。


 なんのための水晶なんだろう。あ、そうだ。あの人に聞いてみよう。


「シウ、ちょっと静かにしててね」


 指輪に話しかける。

 この指輪は、前のパーティメンバーで、私に魔族の力を分けてくれた人に繋がっている。


「アディ、聞こえる?」


 シウは、何してんだ?って顔で、見てる。

 ちょっとして、返事が来た。


「久しぶりね、エリサ、どうしたの?」


 シウが驚いてる。


「な、なんだ、だれと話してるんだ!?」


「ちょっと静かにしてって言ったでしょ。アディちょっと見てもらいたいのがあるののよ」


「わかった、今行くわね」


すぐに、空間が歪んで、アディが出て来た。


 シウがめちゃめちゃ驚いてる。


「な、なんだお前!?いきなり出て来たぞ、エリサ下がれ」


「どなたかしら?」


「アディひさしぶり。この子はシウ、私の護衛をやってくれてるの。」


「アディ、ひさしぶりー」


「エリサとルーおひさしぶり、そして、シウくん初めまして。魔族のアディよ。あなたも可愛い顔してるわね。好みよ」


 シウがポーッとしてる。


「アディこれ見て。ルーさんが見つけたの」


「こいつから、悪魔の魔力を感じるんだ」


「あら、ほんとね。これ悪魔の魔力が入ってるわ。でも随分と弱いわね。なんでしょうねこれ?中に、何かはいってるわね。花かしら?」


 言われて気がついたが、これは結構レアな薬の原料になる花だった。

 どうしようか考えてると、突然声をかけられた。


「魔族と人間がどうして一緒にいるんでしょうか?それに触らないでください。僕の大切なものなので」


 髪は黒、肌は白く、目は黒い。そして、ツノがおでこから生えている。

 スーツを着ている。悪魔・・・。


 シウにも、ヤバさがわかったみたい。

 場の空気が一気にかわり、ものすごい重圧が襲ってくる。


「エリサ、やべーのがきたぞ。俺が守る」


 アディが黒い剣を持って構えている、私も魔族化してルーさんを鎌に変えて構えた。シウもなんとか剣を抜いて構えている。以外と頼れるじゃない、この子。この重圧に耐えて動けるなんて、この子本当に強いみたい。私の魔族化に驚いているけど、今はそんな場合じゃない。


「ただ、声をかけただけですが、物騒な方達ですね。そこまで戦いたいのであれば、構いませんよ」


 声にイラだちを感じる。怖い。額から汗がでてくる。久しぶりに死が頭の中によぎる。


「争う気は無いわ。悪魔が、人間界で何をしてるの」


「なんだって言いでしょう。魔族のあなたこそ、何をしてるのですか?」


「この水晶のことで来たのよ」


「そうですか。僕は、ちょっと探しものをしていただけですよ。何も悪いことはしていませんよ?」


「お前の存在の所為で、魔物が人里まで降りてるんだよ」


 まてシウ喋るな。相手を挑発するな。とりあえず、シウを黙らせる。


「そうですか。それは残念ですね。申しわありませんが、全部揃うまで待ってください」


「なにいってやがる」


 シウ、静かに。


「何をしようとしてるの?水晶の中にある花から作られる薬が目的なの?もしそうなら、私持ってるわ。完全回復薬でしょ、どんな状態からも回復できる奇跡の薬。材料としては、もっとレアな材料も集めないとダメなはず。このまま帰ってくれるなら、あげる」


「ほう。あなたのいう通り、私の目的は完全回復薬を作ること。そして、あなたは、その薬を持っていて、僕がただこの場からいなくなるだけで、薬をくださると。なんとお人好しな方だ。いいでしょう、ただし、僕も悪魔。こんな不平等な契約は結べません。そうですね、あなたの命を一度救いましょう。この薬は、ある方を救うために用意しているもの、命には、命での契約を結ばなくては、僕の気がすみません」


「エリサ、悪魔と契約をしてはだめよ」

「エリサ、悪魔はやばいぞ、あいつらは常識が通じない」


 アディとルーさんが真剣な顔して、止めて来た。


「なにも恐れることはありません。大丈夫、僕はそのへんのチャチな悪魔ではありませんので、あなたの不利なことにはなりません。悪魔ですが女神に誓いましょう。ご安心ください。さぁ、ご決断を」


「いいわ。契約してあげる。帰ってくれるなら。それで、私の依頼もクリアになるし」


 そう言って、指輪から完全回復薬を出して、悪魔に渡す。


「ありがとうお嬢さん。これで契約終了です」


 気がつけば、アディとシウが私の前にたって、盾になってくれていた。


「私の名前はエリサ。お嬢さんではないわ」


「エリサ。僕は、悪魔のイネス。僕はあなたの命を一度だけ救います。その時までは、会うことはないでしょう。さようなら」

 こうして、悪魔は去って行った。



 アディは、「もう、無茶しないでね。なんかあったらすぐ教えて」って、言いながら帰って行った。

 ルーさんからも、お小言をいっぱいもらった。

 シウは、「悪魔つよそうだったなぁ」とかいっている



 あぁ、今日はつかれた。お風呂はいって早く寝たい。

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