101 私は幸せを感じていた
幸せなキスが終わった後の私はと言うと、酸欠でヴェインさんの腕の中で荒い息を吐いていた。
言い訳ではないのだけれど、初めてのキスでいつ息をどのようにしていいのか分からず、キスの間呼吸を止めていたのだ。
キスの後、色んな意味で真っ赤になって荒い息をする私をヴェインさんはお姫様抱っこでリビングに移動していた。
そして、リビングのソファーに座ってからも、横抱きのままで私の頭を優しく撫でてひたすら甘やかしたのだ。
「シズ、ごめんな。シズが可愛すぎて……」
シュンとしながらそう言ったヴェインさんを見ていたら、本当の気持ちを伝えないといけない気がした私は、恥ずかしかったけど素直な気持ちを伝えていた。
「あ、あの!!私は、嬉しかったです!!は、初めてだったので……、その……、いつ息をしていいのか分からなくて……!!でも、すごく、き、気持ちよかったです!!また、ヴェインさんとき、ききききき……す……したいです……」
最終的には小声でモゴモゴと話してしまっていたけど、ヴェインさんにはちゃんと聞こえていたみたいで、ヴェインさんは、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「そっか……。うれしいな。くすくす。それじゃ、ちょっとだけキスの練習してみようか?」
耳元でそんなことを言われてしまった私は、一瞬で体が熱くなったのが分かった。
鼓動が一気に跳ね上がり、ピッタリとくっついていたヴェインさんには分かってしまったと思う。
だけど、またあの幸せで甘い瞬間を味わえると思ったら、恥ずかしかったけど、小さく頷いている私がいた。
私が小さく頷いて、ヴェインさんに気持ちを伝えると、彼は蕩けるような甘い笑みを浮かべて言ったのだ。
「大丈夫。ゆっくりするから」
そう言って、ゆっくりと顔を近づけてきたのだ。
近づいてくるヴェインさんのまつげが意外と長いことを知って、なんだか嬉しくなった。
そして、ゆっくりと目を瞑ってヴェインさんの優しい口づけを受け入れたのだった。
今回も、触れるだけのキスを繰り返し私に与えてくれた。
ゆっくりと、角度を変えて。
時には私の唇をヴェインさんの唇が挟んだりもした。
今回もいつ息をしていいのか分からずにいた私は次第に息が苦しくなり、とうとう口をポッカリと開けて息をしてしまっていた。
荒く息をする間、ヴェインさんは私のほっぺたや額に甘いキスを繰り返して、私の息が整うのを待っていてくれた。
私の呼吸が落ち着くと、再び唇へのキスが再開された。
初めてのキスのときも感じたけど、ヴェインさんとのキスは優しくて、温かくて、甘くて、幸せが私の胸を満たすのが分かった。
幸せな時間はあっという間に過ぎてしまった。
ヴェインさんは、最後に私の唇を強く吸ってから唇を離したのだった。
キスが終わった時、無意識に唇に触れた私は、急に恥ずかしくなってしまっていた。
だけど、ヴェインさんが今どんな顔をしているのか気になった私は、上目遣いでヴェインさんの表情を窺った。
見上げた先のヴェインさんは、とても、なんというか……。
エッチな顔をしていたと思う。
語彙力が無い私は、ヴェインさんの大人の色気ある表情をエッチな顔としか表現することができなかった。
でも、私がヴェインさんにそう言う……、顔をさせたと思うと、どうしようもなく胸が締め付けられるような気持ちになった。
そんな事を考えていると、ヴェインさんとばっちり目が合ってしまった。
ヴェインさんは、数回瞬きをした後に、これまでで一番の砂糖で煮詰めたような極甘な笑みを浮かべて言ったのだ。
「くすくす。またキスしような?次は……」
そう言った後に、私の耳元に口を寄せて、甘く蕩ける声で囁いたのだ。
「次は、大人のキスを教えるから覚悟しておくことだ」
私は、ヴェインさんの言葉を聞いて、心臓が破裂するのではないかと思った。
ヴェインさんの声音から、私への溢れんばかり愛おしいという気持ちが伝わってきたから。
それに、大人のキスという言葉にも私は飛び上がりそうになっていた。
だけど、ヴェインさんから与えられるのに不安なんてなかった。
だから、ヴェインさんのシャツを掴んで、コクンと頷いてから私の気持ちを口にしていた。
「はい……。次は…………、大人のキス……教えて下さい」
自分で言っていて恥ずかしくて、勝手に瞳が潤んでしまった。
ヴェインさんは、目を細めて愛おし気に私に微笑みかけてくれた後に、勝手に潤んで溢れた私の涙を唇で拭ってくれたのだった。
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