93 私とお風呂
お風呂の順番を待つ間にかっちゃんと野上くんのお布団の用意をすることにした。
ヴェインさんは、私の部屋で一緒に寝ることになったので、二人にはヴェインさんの部屋を使ってもらうことになった。
ヴェインさんの部屋に、予備のお布団を敷いてから、私の部屋にもヴェインさん用の布団を敷こうとしたけど、1メートルはあるとは言え、ベッドの上と下だと鎖のせいで寝づらいのではと私は考えたのだ。
だからといって、私のベッドに二人並んで寝るには狭いと思ったのだ。
そこで私は、床に二組のお布団をくっつけて敷くことにした。
うん。これなら、大丈夫だね。
だけど、ヴェインさんは二組くっついたお布団を見て複雑そうな表情をしていたことに私は気が付いてしまったのだ。
そうだよね。普段、ベッドで寝ているのに、床にお布団を敷いて寝るのは抵抗あるかもだよね……。
そう考えた私は、ヴェインさんに謝っていた。
「ヴェインさん、ごめんなさい。嫌ですよね?」
私がそう聞くと、何故か顔を赤くさせたヴェインさんは慌ててお布団から視線を外して言ったのだ。
「い、嫌じゃない。むしろ……。な、なんでもない!」
嫌じゃないのならいいけど?
ちょっと挙動不審気味なヴェインさんに首を傾げていると、アーくんがお風呂が空いたと声を掛けに来てくれた。
私とヴェインさんは、お風呂の準備をしてお風呂場に向かった。
事前の話し合いの結果、最初にヴェインさんが服を全部脱いだ後に、腰にタオルを巻いてから目隠しをしてから、私に声を掛けてくれることになっていた。
声を掛けられた私は、目隠しを外してから、服を脱ごうとして、一瞬動きが止まってしまったのだ。
手枷がある所為で、腕から服の袖を抜くことが出来ないと。
だけど、ヴェインさんは服を上手に脱いでいたことに首を傾げた。
私は、ヴェインさんにどうやって服を脱いだのかと声を掛けた。すると。
「ああ、仕方ないから服を切ったよ」
そう言われて、畳まれている服を見ると確かに袖の部分が切られていた。
確かに、これ以外手がないと考えた私は、同じ様に服を切って脱ぐことにした。
全裸になってから、一応タオルを巻き付けてからヴェインさんに声を掛けて浴室に向かった。
目隠しで前が見えないヴェインさんの手を引いて、浴室に入った。
事前の取り決めで、最初に私が髪と体を洗ってから、タオルを体に巻き付けた状態で、目隠しをしてヴェインさんに声をかける事になっていた。
待たせるのは悪いと思って、何時もよりも手早く髪と体を洗う。
洗い終わったら、タオルを巻いて目隠しをしてから、ヴェインさんに声を掛けた。
「ヴェインさん、お待たせしました。どうぞ」
「あ、ああ」
ヴェインさんの返事が聞こえた後に、鎖の音とシャワー音、ワシャワシャという音が耳に届いた。
真っ暗な中、私はと言うと、袖を通さないで着られるような服について考えていた。
そんな事を考えていると、ヴェインさんに声を掛けられた。
「シ、シズ……。もう、いいぞ」
「えっ?もうですか?」
あまりの速さに、驚いてしまった。
ヴェインさんに気を使わせてしまったことが申し訳なくて、自然と眉を寄せていた。
だけど、まだ上がるわけにはいかない私は、申し訳なく思いながらもワガママを言ってしまっていた。
「あの……。ヴェインさん……、湯船に浸かりたいのですが……」
「…………」
ヴェインさんからの返事が無いことに、やっぱりこんなワガママ駄目だよねと思い直して、自分の言葉を撤回しようとした。
「やっぱり、駄目ですよね。ごめ―――」
「分かった。いいぞ。俺が先に湯船に入って、目隠しをしてから合図をするから―――」
「えっ!いいんですか!!ありがとうございます。それじゃ、申し訳ないですけど、手を引いてもらえますか?」
ヴェインさんからの返事に、ついつい嬉しさから食い気味に返事をしてしまっていた。
こうして、目隠しをした状態でヴェインさんに手を引かれて湯船に浸かった私は、ヴェインさんに付き合ってもらい満足するまでお風呂を堪能することが出来たのだった。
十分温まった私は、ヴェインさんにそろそろ上がりましょうと声をかけると、ヴェインさんが私を湯船から抱き上げて上がらせてくれた。
脱衣場で、最初にヴェインさんが体を拭いて寝間着を着てから私に声を掛けてくれたので、私も体を拭いてパジャマを着ようとして、袖が通せないことを思い出していた。
ヴェインさんを見ると、寝間着の下だけを穿いて、上はタオルを肩にかけただけの姿だった。
一瞬考えた私は、正方形の布を取り出して、その角を少し裂いて首の後で結んで、左右の角を腰の後ろで結んだ。残りの角はズボンの中に入れる。
うん。まさに金太郎スタイルだね。
一応、チューブブラは付けているから、問題ないだろうと考えた私は、準備ができたとヴェインさんに声を掛けていた。
「お待たせしました。着替え終わったので目隠しを取ってもらって大丈夫ですよ」
私がそう言うと、ヴェインさんが目隠しを外して私のことを見てから掠れた声で言ったのだ。
「もう……、限界……か、も……」
そう言って、顔を真赤にさせて倒れてしまったのだ。
「ヴェインさん?!た、大変!!アーくん!!大変だよ!!」
流石に私の長湯に付き合わせてしまって、ヴェインさんをのぼせさせてしまったことをこの後凄く反省したよ。
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