剣と魔法は明日からということになり、その場はお開きになった。謁見の間を出る時、誰かに突き飛ばされ転んでしまった。振り返って見ると、そこには今さっき紹介された子たちが立っていた。王女も含めて……。

 その中の一人、確か騎士の息子のキースだったかな?が、私を見て言った。


「ふんっ! こんなどんくさいやつが一緒とは、先が思いやられるな! お前に付き合わされる父上が気の毒だ!」

「キースの言う通りです。私の父も宰相の仕事で国王陛下の補佐をされる忙しい身であるというのに! こんな頭の悪そうな、しかも素性の知れない者の勉強を見なくてはいけないとは! あぁ、おいたわしや。」

「キース、ジーク。その気持ち、ぼくも、一緒。父上、魔術の研究、忙しい。正直、見る時間、ない。この人魔力、規格外。でも、多分、使いこなせない。時間、無駄。それに、王女、いる。正直、きみ、いらない。」

「3人の言う通りですわ! この国には、歴代最高の魔力を持つ聖女と謳われるこのわたくしがいるのです! 魔王討伐の決まりだか何だか知りませんが、あなたは特にいらないのですわ! まぁ呼ばれたのだから、せいぜいわたくし達の足を引っ張らないでくださいましね。」 



 はぁ!? 何言ってんだこの坊ちゃんたち! 私があきれて何も言えないでいると、おびえていると感じたのか他の子も口々に言い始める。ちなみに、キース、ジークフリート、ベルンハルト、王女の順に言われました。


 黙って聞いていた私は、頭の中で何かがブチッと切れる音がした。さて、あなたは理不尽に呼ばれてここまで言われて我慢できますか? もちろん答えはノーだ。しかも私は帰れないときたらなおさら。相手はトップの子供? フンッ! そんなこと知ったことか!

「ほぅ。私はいらないというならなぜ呼ばれたのかしら? そこまで言うのであらば、あなたたちだけで行ってきてもよかったんじゃないの? 決まりと言っているけれど、決まりとは必ず例外があるもの。そんなに言うのに私が呼ばれたということは、あなたたちでは力不足と判断されたからでしょう? それとも、我が子可愛さに関係ない私を巻き込んだのかしら? 国に忠誠を誓っているはずのあなたたちご自慢の父上とやらも、その程度なのねぇ。」

気づいたらそう言い放っていた。

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