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私がこの世界に来たのは今から2年ほど前だ。私は、日本というここより発達した平和な国に住んでいた。そこで私は志望していた大学に受かり、念願の1人暮らしを始めた。そしていよいよ大学の入学式の日、大学に行くため家を出た。
外に一歩踏み出した私は、驚きでピシリッと固まった。そして頭の中に、『まぁなんということでしょう、扉を開けたらそこで白いきれいな建物の中で沢山の人に囲まれていました。』というわけのわからないどこかのナレーションよろしく、台詞が流れた気がした。
周りをきょろきょろ見ていると、私を囲んでいる人の中で一番太って偉そうな人が近づいてきていった。
「俺はこの国の国王だ。お前はこの世界に我々が召喚した巫女だ。この国は今魔王の進行を受け、危機的な状況だ。お前には、その魔王を倒してもらう。」
はぁ? 何言ってんのこのデブ。っていうか今魔王を通せって言われた?ふざけないでよ! なんで私が?そんなものあんたらが自分たちで勝手にやってなさいよ!
そう思った私は決して悪くないと思う。なんせこの国王と名乗ったやつは、誘拐よろしく私をわけのわからんところに召還した挙句謝罪が一切ないのだから。しかも、魔王を倒すといういかにも危険そうなことを私に強要するのだからなおさらだ。
「あの、なんで私なのですか? そしてもし私がその魔王を倒せたら、私をもとの世界に返してくれるんですか?」
私は怒りを抑えて聞いた。すると、汚物を見るような目で私を見てこう言い放った。
「はぁ? 何言ってんだこの小娘は。この魔法はこちらに呼ぶだけの一方通行だ。帰れるという希望は早々に捨てるんだな。余計なことは考えず、我々のために働くことだな。衣食住は保証してやる。働きによってはまともな生活ができるかもしれんぞ? 連れて行け!」
国王、もう豚でいいか。の命令を聞いて、鎧を着た人が近づいてきた。そして呆然とした私は、引きずられるようにしてその場から連れ出された。
「おらっ! ここがお前の部屋だ! 変なこと考えないでここでおとなしくしときやがれ。」
鎧を着た人は、私をある一部屋に連れていきた。そして、私をその部屋の中に突き飛ばしながらそう言ってどこかへ行ってしまった。
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