第19話 それでも声をかける

「誰彼かまわず声かけちゃダメなんだよ」

そう子供に叱られた。

誤解がないように先に言っておくが、ナンパの話ではない(笑)


不自由な身体になってからだろうか。

困っている(いそう)、大変そうな人が視界に入ると、気になって気になってしかたがない。

「大丈夫ですか?」と声をかけてしまう。

お礼を言われることもあれば、不審がられたり、逃げるように「大丈夫です」と言い残して立ち去っていく人もいる。



子供に叱られたのは後者の方だ。

曰く、私の外見は不審者なのだそうだ。

確かに、同級生の親御さんのように髪染めしたり化粧をすることができず、いつもラフな格好で、体調が優れないときは深々と帽子を被っている。

コロナが蔓延する前も、一人だけ活性炭入りの分厚いマスクもしていた。


── あれ? 不審者かも……(苦笑)


そんな見ず知らずの不審者が突然「大丈夫ですか?」と声をかけてくるのだ。

もしかしたら「あんたの方が大丈夫か?」と聞き返したくなる人もいたのかもしれない……ごめんなさい(汗)

反省していると、子供が何故か大爆笑している。

「とにかく、知らない人に声をかけるときはきちんと考えてからにしてね」と言われた。

しょぼん顔で「はぁい……」と項垂れる私。

どちらが親なのかわからない。




── でもさぁ……やっぱり声をかけてしまう自分しか想像できないのよ……。


そう言えなかったのは内緒(笑)


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