第6話 溢れ落ちるもの

人生はシンプルな選択の連続で、拾う・所持する・捨てるの3択しかないと思っている。

ただ、選択肢はとてもシンプルなのに、それについてくる結果は複雑になることが多い。

選択する時は自分一人だけれど、結果が出る頃には他人が関係してくるからだ。


拾う選択をし続ければ、所持できる限界を越えて溢れ落ちていく。

そうなる前に、優先順位の低いものから捨てる選択をしなければならない。

そうしなければ、あたふたしている間に、大事なものまで失ってしまうかもしれないからだ。


自分一人で守れるのは、所詮は自分の両手を広げた範囲だけだ。

窮地に陥れば手の平に乗せられるものだけだったり、自分一人を守るので精一杯なことだって、長い人生のなかで一度はあるかもしれない。


たくさんのものを持っているから幸せなのではない。

大事なものを持っているから幸せになれるのだ。



情報過多で忙しなく、自分の気持ちや考えを見失いそうになる時代だけれど。

大事なものが分からなくなるほど迷子にならないように、刻々と変化する守備範囲に対応できるように。



季節の変わり目で体調が落ち着かず、散らかった部屋の中で横になりつつ、そういう自分でありたいと思いながら目を閉じる。


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