あらすじ 【仮面世界】 仮面がばら撒かれた世界に派遣された者の活動記録（1章）

あらすじ

各章

あらすじ_1章に相当

　世界の命運を握っていると言っても過言ではない仮面。それは生命体が持ちうる器量を超越している性質が宿っている。その特殊な仮面の使い方次第では不可能を可能に覆（くつがえ）し得る結果に導ける。

　そのような内容が綴（つづ）られた物語が世界各地に点在している。

　滅亡の危機にあった星を救済するため、特殊な仮面を世界にばら撒いたとされる胡散臭（うさんくさ）い存在、来訪神と自称する者が登場する物語が現代に様々な形で残されている。

　その内容のほとんどは真偽が疑わしいものではあるものの、実在する仮面が記述されている部分は信じられている。知識として、実物として、体験として実証できているから、蔑（ないがし）ろにされていない。

　そういう理由も含め、仮面は重宝されている。

　こぞって仮面を手に入れたと多くの者は思っている。

　そして可能であれば、使い手になりたがっている。

　仮面に選ばれし者でなければ、使い手にはなれない。仮面の適合者（バイパー）と呼称される存在に。

　それ故に自身に見合う仮面を探し求める者もいる。自身の目的に到達するために他者が所有する仮面を奪う者もいる。

　仮面を手放したくなく、必死になる者もいる。仮面が奪われれば、取り返さんとする者もいる。

　全ては己のために。

　我（が）を通すため、我（が）を築くため、我（が）を変えるために頭を悩ませ、行動する。決断の果てに見出した理想の己をこの世に実現させるために結果を追求していく。

　我（わ）が儘（まま）に生きることを掲げる暴力組織：仮面暴徒（ブレイカー）然り。

　安寧（あんねい）の世を保つために仮面暴徒（ブレイカー）を討とうとする統治機構：仮面装属（ノーブル）然り。

　仮面回収の任務を受けた自称：来訪神の一派然り。

　簡単に手がつけられない仮面暴徒（ブレイカー）を倒そうと考える元令嬢と元執事見習い然り。

　安住の地だと夢見る場所を目指すため、仮面暴徒（ブレイカー）が牛耳る町からの脱出を考える何でも屋の二人組然り。

　心躍る状況に身を投じたいと考える異郷の放浪者然り。

　胸に秘める想いは各々違いはあれど、共通して、己が望む境地に至るがために道を歩んでいる。誰のためでもなく、己の矜持（きょうじ）のために騒動を巻き起こす。

　全員が全員、仮面の適合者（バイパー）でないにしろ、己の全てを以ってして、激突する。勢力差や戦力差などを厭（いと）わず、死にに行く勢いで猛進する者がいるくらいである。命を懸（か）けなければ、成し得ないほどの大業だと思い込んでいるが故に敢（あ）えて行動に移す者もいる。

　舞台となる町：ホコアドクで雌雄（しゆう）を決するため、今、扉が開かれる。