第3話 賽は投げられた

 ゲームが始まる。最初に振るのは青井君だ。

 手の中で振る、落ちる、しばらく転がって、出た目は……7だった。青井君の少し残念そうな顔が見え……き、消えた!? どこに行ったんだ!?

 いや、落ち着け俺。ゲームが終われば帰れるって少年が言ってたじゃないか。ゲームが終わるのは全員振ってからと俺が勝手に勘違いしただけだな。

「おい、どこに行ったんだ? もう帰ったのか?」誰かが言う。

 俺以外に勘違いしてた人もいたんだな。それに対し、さも当然かのように少年は答えた。

「いえ、ゲームをクリアできなかったので地獄に行ってもらいましたけど……」

 今まで一番クラスがざわついた。は? え? それって……

「それは死んだってこと……な、なるのかなぁ?」震えた声で誰かが聞く。

「うん、そういうことになるね!」少年は悪戯に成功したこどものような満面の笑みで答えた。

 泣く、叫ぶ、怒る、黙り込む。皆様々だが全員が悲観していることは確かだった。俺は呆然としていた。いくらサイコロゲームが好きでもこの状況では喜ばない。

「皆、落ち着いて! 7の目を出さなければいいんだよ。今すぐ死ぬって決まったわけじゃないんだ!」こんな時でも音無は冷静に話す。

「おいおい、委員長! それでもあと二十九人いるんだぞ。七分の六を引き続けるの無理だろ! 俺はこのゲームをやらない」また誰かが言った。

「それは無理だよ。さっき名前を書いたじゃないか。規則ルールに同意したんだよ、君達は。君達がゲームに勝ったら家に帰る。負けたら地獄に行く。ゲームをせず、ここに残るなら空間ごと君達は消える。それが規則ルールだからね」

 そう言って少年は笑う。笑い声が響き渡る。

「さあ、賽は投げられたんだよ」少年が言う。そしてさらに寒気が強くなっていった。

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