第1話 夜

 夜、はっと目が覚める。そこにはクラスメイト全員? (数えていないがおそらく全員)がいた。なぜ、俺の部屋に……ん? いやそもそも俺の部屋はこんなのじゃない! ここは真っ暗な空間だった。壁も床も全てが暗く、境が無いように見える。どこまでが床なのかも分からない。

 周りを見渡していると丁度近くに森岡がいるのが見えた。

「おーい、森岡!」と話しかけると凄い勢いで森岡が聞いてきた。

「お前、これ夢だと思うか!?」

「うーん、いや、どうだろうな」

 夢の中の人物がこれは夢か? なんて聞くのかと疑問に思う。そもそも夢の中で自分自身がこれは夢なのかと考えるのも難しい。夢じゃない? 現実なのか?

 考えてる途中で森岡がまた話しかけてきた。

「なあ、これってクラスの奴ら全員みたいだしさ、もしかしたら全員が同時に同じ夢を見てるってパターンじゃね」

 なんでコイツはちょっと嬉しそうなんだよ。周りも少しずつざわつき始めたようだ。

「いや、それは違うみたいだよ」後ろから声が掛けられ、咄嗟に振り向いて答えた。

「音無! 違うってどうゆうことだ?」

 そこにいたのは委員長の音無だった。音無の話を聞く限りではどうやら夜遅くまで起きていた人がいたようで、そいつの話では急に目の前が変わってここに来たらしい。つまり、これは夢では無く現実で、超常的現象により転移したというのが音無の考えだそうだ。

 音無はここで俺らがあーだこーだと考えている間にクラスメイトの話を聞いて回り、状況を整理していたようだ。流石委員長! としか言えない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る