第12話 二度目の人生(ただし一週目)①
転生してから五年が過ぎたが、結局一度目の人生の母親に会うことはなかった。
一度、家の前まで行ってまだその場所で生活しているらしいことは確認したのだが、それ以上は勇気が出ずそのままワンルームマンションに戻ってしまった。
僕は今、大学を卒業して医療機器の販売会社で営業職として働いている。
二度、異世界を体験し魔法を使ったことのある経験からすると退屈かもしれない。
だが、僕はそんなことは気にならなかった。
僕の人生の目的は自分自身の生活にはなく、あの時あの世界に置き去りにした王妃をこの世界で探すことにあった。
この世界にいる確証はなかったが、それでも必ず会えると確信していた。
神の「縁があったらまた会う」を
そしてその日はいきなり訪れた。
一度目の人生で僕が通っていた首都工業大学に納品に訪れた時のことだ。
納品が終わり車に戻る途中の構内の廊下でその女性、王妃に再会したのだ。
僕は数秒間立ち尽くした後、勇気を振り絞ってその女性に声をかけた。
『あの、私は
大変ぶしつけなのですが連絡先を交換させていただくことは可能ですか?』
僕がそう言うと一瞬彼女は不思議そうな顔をしたがすぐに元の顔に戻りこう言った。
『
LINEでいいですか?
これって、納入機材の関係で必要だからですよね?
それともひょっとしてナンパ?』
そう言われて、僕は顔を真っ赤にしながら次のように答えるのが精いっぱいだった。
『両方。。。ということにしておいてください。
ありがとうございます!』
それからはトントン
彼女は美人で性格も明るいしモテるのは誰の目にも明白なのだが、今まで男性と付き合ったことがなかったらしい。
なんでも高校生の時に一方的に恋心を抱いた相手がいたらしいのだが、その恋は
ではなぜ僕と?という話なのだが、どうも彼女の拗らせた相手と僕の雰囲気が似ているからとのことだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます