第1-2話 ゴブリン少女の一日 その2
店を出て南西に移動する
取り敢えず何を食べようかと考えながら、
そして何かいい商材になりそうなものがないかを物色しながら
街を歩く
マーテンに住んで結構長いが、
見知らぬ物が見つかったり、それそのものは知っていたけど、意外な使い道があったり
ガラクタだと思っていた物に価値があったりと
今でも新しい発見に溢れている
……
どこか店に入って昼食をとろうかと思ったが、
今日は屋台で何か買って広場でそれをつまみたい気分だなと思いなおす
屋台の商品を見ながら歩き、美味しそうなコジノを見かけたので、
これを昼食にすることにした
複数の道が交わる交差部分は広場になっているので、広場の中の適当な場所に腰掛け、
屋台で購入したコジノを取り出す
コジノとはアサブの粉(小麦粉の様なもの)に水を混ぜ、練りこんで焼き上げた物だ
中に野菜や肉を練りこんだり、上にのせたりすることもある
これは上に刻まれた野菜が乗っていて、味付けにソースが掛かっている
ソースからは甘酸っぱい匂いがする、果物を使っている様だ
「これは美味しそうだねー…」
つい口をついて出る
ソースがこぼれないようにそっとかぶりつく
ほのかな甘みのある生地と、野菜からも甘みがある
それをソースが引き締めている感じだ
「これはいけるねー」
急いで食べると折角の至福の時間を減らしてしまうので
ここはゆっくり食べる事にした
店にすぐに戻る必要はない
店番をしているフリドーは店内で昼食を済ませる
店を空ける時間があってはいけないので、最初は交代で食べに行こうと提案し、
そうしていたのだが、
途中からフリドーは昼食を先に用意して持ってきて、店で食べるようになった
店に居るのが好きだからと彼は言っていた
ピウリはフリドーに対して全幅の信頼を置いている
彼を一人で店番させていても何の問題も無い
仕事も出来るし、おとなしそうな顔つきとは裏腹に腕も立つ
そんなこともあり、ピウリの昼食に掛ける時間は日によって全く異なるのである
……
ピウリはコジノを食べながら思いに耽る
そういえば今日は人族の青年と魔人の少女の冒険者はまだ来なかったなと
彼らがマーテンに来てから何度もお世話をしているので、
きっとリピーターになってくれているはずだ
(まだ午後になったばかりだから分からないけど、流石に毎日は来ないかなー)
この街、マーテンには人族は殆ど居ない、
魔族の国であるデュコウの首都であるバラオムは人族の国レインウィリスとの交流が盛んで、人族も多い
マーテンはそこからかなり離れてしまっており、
歴史的にも特別なスポットがある訳でも無いこの地方に人族がわざわざこんな所に来る理由が無いため、
この街は魔族と妖精族ばかりなのだ
そんなこんなで人族が大変珍しいマーテンで
人族の冒険者がリピーターとして利用してくれている
それはピウリにとっては非常に美味しい、目立つ彼らが利用してくれるのは宣伝となるのだ
彼等にはもっと利用してもらって互いにwin-winにならなければ
そう考えている時、左後方に気配を感じた
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