百四十字の悲しみ

shinozaki

第1話 音符

 空から音符が降ってきた。ジャズシンガーの女は、一粒の音符を口に含む。アルコールのように熱い。サクソフォンが鳴り始めると、マイクを握りしめて歌いだす。昨日別れた男のことなど、歌で殺してやろうかと思いながら。嗄れた声が夏の夜を震わし、♪が足元に落ちる。

#140字小説

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