第3話 洞窟内

南の島ということもあって温かく、布団などは無くても風邪をひくことは無さそうだ


リュックの中に、包装されていて濡れていなかったポテトチップスや、パン等を夕食として食べた


水筒に入っていたお茶を少し飲むと、大丈夫そうだったのでエミリと分けて飲んだ


エミリのリュックには、化粧品や本など、あまり役に立たなさそうなものしか入っていなかった。手鏡は、もし船が日があるうちに通りかかったら、合図代わりに使えるかもしれないけれど


夜になり、燃料節約のため焚火を消した


今日の天気は晴れで、夜でも月明かりが差し込んで洞窟内は多少明るい


「ねえ、何でこんなことになったのかなぁ」


横になっていたエミリは、悲しそうな声でそう言った


「……数日もすればきっと助けが来るよ」


クルーズ船の運航ルートを調べれば、大体どのへんで沈んだのかわかるはずだ。そして、生存者を探すために、近くにある島も調べるはずだ


「ママ、パパ、元気かな……助かっているといいな……」


「……、大丈夫さ、きっと」


それは慰めにしかならないと分かっている。潮の流れで僕とエミリがここに来たなら、他に生存者がいれば同じようにここに流れ着くはずだ


「私ね、この旅行をすごく楽しみにしていたの。忙しいパパとママが、私の誕生日にってわざわざ有給まで取ってくれて。本当にうれしかった。まさか、こんなことになるなんて夢にも思わなかったわ」


「僕も、まさかこんなことになるなんて思っていなかったよ」


「そうよね……。そうだ、歌を歌ってあげる。私が寝るときによく聴いていた曲なんだ」


エミリは歌を歌ってくれたが、歌詞が英語のため意味は分からないが、子守歌的なもののように聞こえる


「優しい感じの歌だね……、よく……眠れそうだ」


僕はいつのまにか寝てしまっていた



「おはよう、マサキ」


目を覚ますと、エミリはすでに起きていたようだ


「おはよう、エミリ、早起きなんだね」


「もう、早起きっていうほどでもないと思うよ!」


僕は防水時計を確認すると、すでに9時だった。思ったより昨日は疲れていたようだ


「ごめんごめん、寝坊したみたいだ。朝ご飯を食べようか」


僕は、火をおこすと、奥にあった部屋から鍋を持ってくる。川で洗ったあと、水を入れて沸かした。お湯が沸くと。そこにレトルトのシチューを入れて温めた


「おいしい、でも、もうほとんど食料が無くなっちゃったね」


「そうだね、近くに何か食べられるものがあればいいけど……」


僕たちは朝食を食べた後、付近を探索することにした

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