初恋シンフォニー

ねむりねずみ@まひろ

【声劇台本】♂1:♀1

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『キャラクター』


有田 祐介 (33) 全国を旅する、有名ルポライター


中野 美穂 (33) 大手アパレるブランドの社長




コピペ用配役表


「」

祐介:

美穂:


以下台本

--------------



美穂M「風早学校……田舎の片隅にある、小、中、高が一体となった、全校生徒合わせて、20人にも満たない、とても小さな学校。1学年に2人居ればいい方と言われるその学校の入学式で、私たち4人は出会った。

いつも元気でリーダー気質の祐介。頭が良くて、切れ者の太一。大人しくて可愛い明香里。そして私。

同世代が4人もいるのは珍しく、私達は直ぐに仲良くなった。毎日が楽しくて、早く次の日にならないかなぁって、そう思いながら過ごしてた。そんな幸せな日々は、あっという間に過ぎてゆき、私達は、高等部を卒業した。村に残った明香里、東京に上京した祐介、太一と私は隣町の大学に通うことになり、その時点で、皆バラバラになってしまった。」


美穂M「あれから何年経っただろう?大学卒業後、大手アパレル会社に就職した私は、その寂しさを埋めるように仕事にのめり込んだ。来る日も来る日も仕事と向き合い、昇格を目指して上へと上り詰め、ついに社長にまで到達した。…のは良いものの、未だ独り身。恋愛して、結婚して子供を授かる…そんな幸せを私は択ばなかった。まあ、私は自分の幸せを自分で決めただけ、その結果がこれなのだから満足はしている。それでも、今とは違う人生に、やっぱり憧れを持ってしまう。そんな、いつもとかわらない、何気ない日々を過ごしていると、1本の電話がなった…」


祐介「よー、美穂、久しぶり!覚えてっかなー?俺、俺、祐介」


美穂「祐介? 祐介って…風早学校の?!覚えてるわよ、久しぶりね、何年ぶりかしら?」


祐介「んー高等部を卒業してからだから、実に15年ぶりだな!」


美穂「15年かぁ…。もうそんなになるのね…それで、15年ぶりの旧友が一体なんの用かしら?これから会議なの、なんの用か知らないけど…会社に掛けてこないでくれる?」


祐介「悪い悪い。だってさ、俺お前のLINE知らないからさー、連絡とるには会社にかけるしかなかったんだって!」


美穂「そう。私がこの会社にいるって良くわかったわね」


祐介「何言ってんだよ、有名アパレルブランドの社長様がー!名前と写真でわかるに決まってるだろ?はぁ…どんくさかったお前が、今や社長だもんな!羨ましいぜ!」


美穂「何を言ってるのよ、有名ルポライターの有田祐介さんが、良く言うわ。貴方の書く記事、読みたくなる魅力と、内容に説得力があって、我社でも話題になってるのよ?」


祐介「へー、そりゃ嬉しいね!何だったらお前のブランドのコラムでも書きましょうか?社長様」


美穂「あら嬉しい、じゃあ今度打ち合わせしましょう?」


祐介「よし、商談成立!!」


美穂「ええ、日時は追って連絡させるわ…」


祐介「ああ!…っと、忘れるところだった」


美穂「ん?何、まだ何かあるの?」


祐介「ああ、美穂、お前風早学校覚えてるか?」


美穂「もちろん、私達が通ってた学校じゃない。風早学校がどうしたの?」


祐介「いやな、俺達が住んでた村って 山奥の寂れた田舎だったろ?俺達が通ってた頃から人数は少なかったけど、少子化で人口減少が更に進んだらしくてさ、もう子供が居ないんだと」


美穂「そうなの…」


祐介「ああ、それでさ、風早学校が廃校になって近いうちに取り壊されるらしい」


美穂「取り壊し?!嘘…」


祐介「嘘じゃねーよ、これは確かな情報だ」


美穂「…そうなの、寂しくなるわね…」


祐介「ああ、俺達の青春だったからな…」


美穂「ええ、出来る事なら最後にひと目見たかったわ」


祐介「…ふっふっふ」


美穂「何よ、不気味な笑い方して」


祐介「不気味って、お前失礼だな!せっかく許可とったってのに」


美穂「許可?許可って…何の?」


祐介「学校のだよ」


美穂「は?」


祐介「だーかーら、取り壊しになる前に、風早学校に入らせて貰えるように、所有者に許可とったんだって!!んで、急なんだけど、今度の4連休で、あの村に里帰りしようぜ!」


美穂「はぁあ?何を急に!」


祐介「仕方ねーだろ?善は急げって言うし!」


美穂「…ああ、そうだった。祐介はこういう奴だったわ。」


祐介「それに、太一と明香里も呼んでんだわ」


美穂「2人にも連絡取ったの?!」


祐介「おう!俺達は4人で1つだからな!」


美穂「相変わらずね…」


祐介「だろう?…んで、お前は来ないのか?」


美穂「…わかったわよ。どうせ、断ってもイエスって言うまで引き下がらないつもりでしょうし」


祐介「さっすが、俺の事よくわかってんじゃん。じゃ、俺の番号教えとくわ!」


美穂「ええ、ありがとう。私のも教えておくわ」


祐介「サンキュー!詳しくはまた後で伝えるわ!じゃあな!!」


美穂「あ、ちょっと!……切れた。本当、嵐のような人。はぁ…如月、今度の連休の会食はキャンセルして、日程を変更してちょうだい。ええ、頼むわ。…え嬉しそう?嬉しい訳ないじゃない!腐れ縁よ腐れ縁!!…何しに行くかって?ふふ、懐かしの地へ インスピレーションを貰いに…ね。それじゃ、よろしく」


美穂M「私達の通った、風早学校が取り壊されると聞いて、11年振りに里帰りをする事になった。まあ、里帰りとはいえ、家族も皆すでに引越している為、村には誰も居ないのだが。最寄りの駅から車で2時間、さらに山奥へ入るため途中から徒歩だ。よくこんな辺鄙な所に住んでいたと感心する。やっとの思いで風早学校へたどり着くと、すでに祐介がいた」


祐介「お?やっと来た。残念だったな美穂、俺が一番乗りだ!!」


美穂「…別に、競ってなんかいないでしょ」


祐介「かー!ノリ悪っ…昔みたいに負けないんだからーって言い返しゃいいのに!」


美穂「祐介、あんた今いくつだと思ってんの?」


祐介「は?お前と同い年だろ?決まってんじゃん!」


美穂「はぁ…もういい。相手をした私が馬鹿だったわ」


祐介「おーい?何暗くなってんだよ?」


美穂「あんたのせいでしょうよ!!…というか、あんたこの連休暇だったの?」


祐介「ああ、ちょー暇だった」


美穂「はぁ、奥さん、よく許したわね」


祐介「あ?俺、奥さんいないぞ?」


美穂「へ?」


祐介「未だ、寂しい独り身よ」


美穂「そ、そうなんだ?……可哀想にね?」


祐介「うるせー、ほっとけ」


美穂「ふふふ、それで、太一と明香里は?」


祐介「いや、2人ともちょっと遅れるって」


美穂「あら、そうなの?」


祐介「おう、昔からのんびりしてただろ?アイツら。」


美穂「んー、どちらかというと祐介の方がせっかちだったような…」


祐介「んな事ねーって!」


美穂「…そうかしら?」


祐介「そう!…つか、ただ待ってるのもつまらないし、先に少し見て回ろうぜ?」


美穂「ほーら、やっぱりせっかちじゃない…」


祐介「いいから、いいから!ほら、行こうぜ!」


美穂「あ、ちょっと!引っ張らないでよ!祐介!」


【昇降口】


祐介「はー、変わんねえな!」


美穂「下駄箱が変わるって、そうそうないと思うわよ?」


祐介「へへ、あったあった、俺ココだったんだよなー!」


美穂「私は向かい側のココ。あ、そう言えば祐介覚えてる?あの、ラブレター騒動」


祐介「ん?そんな事あったっけ?」


美穂「あったじゃない!祐介の下駄箱に可愛らしい手紙が入ってて…」


祐介「あー、あの差出人不明の手紙か!」


美穂「そうよ、誰が出したのか分からないけど、好きですって書いてあったやつ!」


祐介「あったあった!」


美穂「デリカシーの欠片もなかったあんたが、ラブレター貰うとか…槍でも降るんじゃないかって皆びっくりしてたもの。」


祐介「あー、あれな、本当はさ…ラブレターじゃないんだよなー」


美穂「…どういうこと?」


祐介「あれ書いたの、太一だもん」


美穂「へ?」


祐介「いやさ!だって!!ほら、男子の憧れって言うかさ、1度でいいから、ラブレターもらってみたかったんだよ!!だから、太一と交換でラブレター書いて、お互いの下駄箱に入れたんだ、そしたら思いのほか大ごとになっちまって、結局、俺も太一も言い出せず…」


美穂「呆れた、交換って事はあの時、太一の下駄箱にもラブレターが?」


祐介「おう、太一のやつ上手く逃れやがって、俺がどんだけ苦労したか」


美穂「なにそれ。はぁ…あんなに悩んだのがバカみたい…」


祐介「へー、俺がラブレター貰って、悩んだんだ」


美穂「そ、そんな事ないわよ!!もう!!次行くわよ次!」


祐介「へいへい。…まったく変わってないなぁ」


美穂「ちょっとー!置いていくわよ?!」


祐介「おー、今行くよー!」



【屋上へ向かう階段】


祐介「やっぱ屋上は開いてないか」


美穂「そりゃそうでしょう、今は昔とちがって、屋上を解放したままだと、教育委員会に、にらまれるもの」


祐介「はぁ、生きずらい世の中だな」


美穂「そう?危機管理能力を持つのは大切な事よ、まぁ行き過ぎるのはよくないと思うけど」


祐介「まぁな、屋上事件もあったしな」


美穂「あぁ、先輩達の…あれね」


祐介「授業をサボって、屋上でたばこを吸うだなんて、今考えるとよくバレれないと思ったもんだ」


美穂「全校生徒の数覚えてないのかしらね?大都会じゃいざしらず、こんな片田舎で大人数にまぎれて…なんて無理にきまってるじゃない」


祐介「美穂、大石先輩の事嫌ってたもんな」


美穂「えぇ、乱暴だし、声も大きいし、嫌いだわ」


祐介「大石先輩な、今8人の子持ちだ」


美穂「へ?」


祐介「いやさ、大家族スペシャルってコラム書いたときにさ、インタビューしたのが大石先輩だったんだよねー。んで、話し聞いてみるとさ、3男5女のパパやってんだって、奥さんも綺麗だし、中古ながら一軒家も買って、今良いパパしてるらしいよ」


美穂「はぁ…そうなの。人は見かけに寄らないのね」


祐介「だよな、ちなみに9人目が奥さんのお腹にいるそうだ」


美穂「…ふふ、ホント大家族ね」


祐介「だろ?」


美穂「あ、この踊り場…」


祐介「あ?あぁ、懐かしい!俺達4人の秘密基地って言って、よく集まってた場所じゃん!」


美穂「ね、お弁当食べたり、放課後もここで話したり…そういえば、祐介階段から落ちた事なかったかしら?」


祐介「よく覚えてんな…そういうのは忘れてくれよ」


美穂「丁度今、思いだしちゃったのよ!」


祐介「はぁ…そーだよ!階段でふざけて、そのまま落ちた間抜けは俺ですよ」


美穂「そこまで言ってないじゃない」


祐介「何言ってんだよ。俺が落ちた時、真っ青な顔して先生呼びに行ってくれた癖に」


美穂「そ、そんな事も…あったかしら」


祐介「あぁ、涙ぼろっぼろ流しながら、すっげー顔してた」


美穂「もう!そんな事は忘れてよ!!」


祐介「はは、やーだよ」


美穂「あ、こら!待ちなさい!祐介!」


【教室】


祐介「っと…お、ここは」


美穂「もう!祐介、待ちなさいってば!!」


祐介「美穂、見てみろよ…教室だ」


美穂「え?…わぁ!!懐かしい…全然変わってないわね」


祐介「あぁ、黒板に…チョークも最近まで使ってたみたいだ!ははは、懐かしいなぁ」


美穂「私の席は…窓際の…ここ! 」


祐介「俺は、ここだな!お前の右斜め前!」


美穂「窓際で、教壇から遠くて…今考えたら、先生から見えづらい、だいぶ良い席だったわね」


祐介「そうなんだよな、羨ましかったぜ?俺なんて真ん中だろ?しょっちゅう当てられてたもん」


美穂「祐介、授業中よく寝てたもんね」


祐介「いやー。夜更かししてるとさ、昼間眠くなるんだって」


美穂「ヨダレ垂らして寝てるの、よーく見えてたからね?」


祐介「マジかよ…それは忘れてくれ」


美穂「ふふ、本当懐かしい」


祐介「だな…」


美穂「この机も変わらな……い…? ……っつ?!なっななななんでこれ…残って?!」


祐介「お?美穂どうした?」


美穂「へ?!いやっ、なんでもない!!なんでもないよ?」


祐介「…怪しい」


美穂「怪しくない!怪しくないからっ!!こっち来ちゃだめ!」


祐介「その手で隠してる所が怪しいなぁ」


美穂「な、なんでもないったらぁぁ!って、手を離せぇ!」


祐介「やーだよー!ほら、観念して見せてみろー?!」


美穂「くっ…負けるもんかー!」


祐介「お、やるなぁ!ならこれはどうだ?!」


美穂「ひゃっ…あっはっはっは!!ちょっ…くすぐったい!!」


祐介「どうだ!参ったか降参すればやめてやるぞー?」


美穂「むうー、まっ負けなっ…あははは!!」


祐介「ほーら、さっさと負けを認めろー?」


美穂「あはははは!!も、むり…」


祐介「俺の勝ちだな!さぁ、何を隠してたのかなぁっと……あれ?お前、これ…」


美穂「む、昔の事だから!!べ、別に今もって訳じゃないし!」


祐介「ふぅん…なになに、祐介の事が大好…」


美穂「あーーーー!!!!ほらっ、太一達がそろそろ着くんじゃないかしら?!ちょっと見てくるわねっ!!」


【顔を真っ赤にしながら去っていく美穂】


祐介「ぷっ…くっくっく…逃げ足 早っ。顔真っ赤にして、すっげー焦ってたな」


祐介「祐介の事が大好き…か。15年だぞ?よく残ってたな。にしても、まさか、俺と同じ事書いてるとは、思わなかったわ。俺の初恋…。まったく、机なんかに書いてねーでちゃんと告白しろっつーの。あの時言えてたら、何か変わってたのかもなぁ…ま、今更か」


祐介「にしても、あいつの焦った顔、昔と全然変わらねーのな。本当可愛いやつ。さーて、今でも両思いっぽいが…どうしたもんかねぇ」


【窓の外を見る】


祐介「お、太一達も来たみたいだな、はぁ…照れ隠しに皆を誘ったのが、悔やまれるわ。こんな事なら、最初から美穂だけ誘っとけばよかった。はは、俺も変わらずヘタレのまま…か。しかたない!帰ったら、正式に告白でもするかな…。

あ、でもあいつ大手ブランド会社の社長じゃん。フリーのルポライターって、釣り合わないんじゃ…やべぇ。俺も出世しないと…。ん?もう合流したのか?ははは、足早っ…まあいい、時間はたっぷりあるし、とりあえず今日の所は、皆で楽しく過ごすとするか」


【校舎の下から二階に向かって】


美穂「祐介!太一と明香里来たわよー」


祐介「おー、今行くー」


美穂「はやく降りてきなさーい!」


祐介「わかったよー!…んじゃ、行きますか」


END

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