第9話

店長に呼ばれる。


『ルリちゃん、ユリアちゃんの席に呼ばれてるけど、どうする?断ってもいいんだよ』

「大丈夫です」


『あ~ルリちゃん、今日はねユリアのお客様の正夫さんが、お友達連れてきてくれたの~』


とお客様を紹介してくれるユリア。


見た感じ二人とも55歳くらいのおじさんだが、ちょっと飲み過ぎている。


『正夫のぉ友人のぉ~変なおじさんでぇ~すぅ~』


ルリに抱きついてくる。

「きゃっ」


『ルリちゃんてぇ~、スキモノなんでしょぉ~、ユリアちゃんが教えてくれたぁ~』

と、変なおじさんが言う。


ユリアは正夫と、イチャイチャしている。


『ルリちゃぁ~ん、この後しようよぉ~』


「アフターなら、御断りしています」


『ルリちゃ~ん、いくらならいいのぉ~?』

変なおじさんがルリの耳に息を吹き掛ける、酒臭い。


「そうですね……今日は無理ですが、来月の夕方会社へお迎えに伺っても宜しければ、お食事いかがですか?同伴になりますが」


『え~僕のぉ会社ぁ知らないでしょぉ~?』


ルリが、変なおじさんの耳元に手を当て囁く。

「知ってますよ、品川駅近くの・・・・・株式会社さんですよね、佐々部さん」


『え?なんで知ってるんだ!』

抱きついていた手を離しルリから離れシャキッとする佐々部さん。


「先週も入らしてましたよね」

『ああ』

「私、先週お隣の席にいて、素敵な紳士がいらっしゃるなーと思い佐々部さんの事気になっていたんですよ」

『素敵な紳士……私が……』

「お話出来て、光栄です」

『ああ、……ありがとう、今日は少し飲み過ぎたようだ』


それから佐々部さんは、紳士的に振る舞いルリに来週また来店するよ、という約束をして、帰っていった。


『ちっ』

正夫と佐々部さんが帰ったあと、ユリアがルリに舌打ちをした。



「サチさん、さっきはありがとうございました、佐々部さんの事教えて貰って助かった~」

『良かったね~、ユリアの悔しそうな顔ったら……まだまだ道は険いね』

「……はい」

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