夏の運命

伊燈 蒼

序章

僕は夏が嫌いだ。あの焼け焦げそうな暑さには嫌気がさす。かと言って、冬も好きではない。冬は冬で寒すぎる。そういう点では暑くもなく寒くもない中途半端な秋が1番好きだ。



「中途半端」

僕の人生をこれほどまでに完璧に表現出来る言葉はない。子供の頃から僕は何でもかんでも中途半端だった。勉強もスポーツも凄く出来るわけではないが、全く出来ないわけでもない。よく言えば可もなく不可もなく。



そんな僕でも唯一中途半端ではなく本気で可を取りに行ったことがある。

高2の夏休み。僕は恋をしたのだ。それが夏を嫌う1番の理由になるとも知らずに——

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