第2話 著作権契約魔術
まず初めに断っておかなければならない。
このページで紹介する魔術式は公開されない。
いやいや、怒るのは説明を読んでからにしてほしい。どうしても必要なことだったのだと、きっと理解していただけることだろう。
このページで解説するのは著作権契約魔術についてだ。
これまで存在した契約魔術を応用した新魔術である。知的財産権の一種である著作権は、作品を創作した者に与えられるべき権利だ。
例えば魔術書というものは元々はその発案者の覚書であり、他人には秘するものだったのは諸君もご存じだろう。
今、魔術書は魔術協会を通じて売られている。その価格は非常に高価で、その価格こそが制作者である魔術師の持つ著作権である。
だが残念なことに、一度売り出された魔術書を勝手に書き写す輩も多い。そうされた場合、著者である魔術師には1
この本にはいくつもの画期的な魔術式が書かれているが、本の価格自体は非常に安く抑えられている。もしこの魔術式全部を買い取ろうと思ったなら、諸君は家屋敷がいくつか買えるほどの莫大な財産を処分する羽目になるだろう。けれど実際は非常に安く売られている。それには訳があるのだ。
魔術式の一つ一つには、著作権契約魔術が組み込まれている。これは全く新しい魔術である。魔術式を使うたびに、著者である私に幾ばくかのクレジットが入る仕組みになっている。
それでは諸君は魔術式を使うたびに大金を失うのか?
いえいえ、そこは心配には及ばない。ひとつの魔術式に組み込まれている著作料は非常に些細な金額である。おおよそ5Gから100Gの間であり、それぞれの魔術式の解説のところに金額は明記してある。
諸君は使いたい魔術式を使いたい回数だけ使用して、ほんのわずかなクレジットを払い最新の快適な魔術を手に入れることができるのだ。
何と素晴らしい発明だろう!
諸君はもう、大切な財産をはたいて高価な魔術書を買う必要はないのだ。
ただ一つ、このページで謝っておかなければならないことがある。
著作権契約魔術は私がこの本を出版するにあたり、一番の鍵であり秘するべき魔術式である。この魔術式に限り、ここに記載することはできなかった。誠に残念ではあるが、どうかお許しいただきたい。
長々と前置きの続きのようになってしまって申し訳ない。さあ、ページを開こう。素晴らしい新魔術式は次のページから早速諸君のお役に立つだろう。
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