わたし。

ふ菓子のふうちゃん

第1話 わたしのルーツ


はじめまして。

わたしは風夏(ふうか)と言います。実名です。これはわたし自身が生きてきた中で揉み消された『証明できなくなった時間』の物語。所謂エッセイといったものです。


お恥ずかしながら学が無いので、拙い言葉でここに記させていただきます。じゃないと本当にいつか、わたしが失った時間が『ただの妄想。都合のいいように改変された記憶』と否定されてしまうと思ったからです。


エッセイと書きましたが、ところどころ記憶が曖昧、もしくはどうでもいい部分を長くするのが嫌で省略するために、軽い捏造も混じりこんでいます。ですが、事実にほぼ近い形で記すので、どうかそこは目くじらを立てないでください。


ですがひとつ、これを読んでくださる心優しい方々にお願いがございます。このわたしのエッセイに登場する人物のことを、誰一人と責めないでください。批判しないでください。叩かないでください。悪く言わないでください。


事実は小説よりも奇なり。わたしのエッセイを読んで、わたしか、わたし以外の登場人物かに怒りを抱いてくださったとすれば、それはこれを読んで余りの奇天烈な内容に、脳の処理が追いつかず怒りとなって襲ってきたに過ぎません。


もう一度言います。

事実は小説よりも奇なり。

こんな人生を送る人も居るのだと、誰も、責めないでください。

約束です。


わたしは神奈川県の某所。平成七年の八月十三日、日曜日の大安、晴れた夏空の下で生まれました。母いわく、時間は午後の十二時五十分。体重は三千グラムオーバーだったそうです。

おかげで始めからぷくぷくぽちゃぽちゃしていて、他の赤ちゃんよりも抱え心地が良く、看護師さんから引っ張りだこ且つタライ回しにされたとか。

わたしはこの時、誰からも祝福されて生を授かりました。もちろん、後にたくさん衝突してしまう母からも。こっちは願望ですが、後に離婚していなくなった父も、喜んでいてくれてたなら嬉しいです。


そんな父の話に移りましょう。

まず、母はわたしのことを二十歳という若さで産みました。けれど既にこの時に母はヘルニアを患っており、子供なんて到底産むのは難しい体だったそうです。故に産後は肥立ちが悪く、入退院を繰り返す日々。生まれたばかりのわたしも、何かと体を壊すことが多く、入退院を繰り返してたそうです。

妻と娘が大変な最中、父はといえば(どんな仕事をしていたのかは知りせん。知りたいとも思わないので父を知る人から聞いていません。今どうしてるかは知りません)友人より闇金から借金したお金の保証人を頼まれて、よく言えばお人好し、悪くいえば馬鹿な父はそれを承諾。

このあとの展開は簡単に想像がつくと思いますが、古典的なことにその友人はしめしめとどこか雲隠れをしてしまい、保証人となった父が借金を背負うことになってしまったのです。


「友人が困っていて可哀想だったんだ。優しいおまえなら、みゆきなら、一緒に払っていってくれるよな?」


みゆき──それは母です。敢えて名前の漢字は伏せさせて頂きますが、読みは実名です。

入退院を繰り返してた母がたまたま家に帰っていた際、偶然なのか必然なのかそれとも時間の問題だったのか、電話が何度も何度も鳴ったそう。

家には母と幼いわたししかおらず、電話へ出てみれば父宛て、この場合は母目線ですので夫宛ての電話。

何かと思えばヤのつく方々から、夫が保証人になった借金返済を催促する内容の電話を受け取ってしまったのです。

母は父が帰宅すると即座に問い質し、土下座同然の父にコップに入った麦茶をぶっかけ水浸しにしたそうです。なのに上記に書いた台詞を吐く父の話は全く無視。マスオさん状態だった父を、母は家からただ追い出したのでした。


どうやって離婚まで漕ぎ着けたのか、その方法は知りません。けど離婚届を提出して即日、母がわたしの親権(そして監督権)を家庭裁判所からもぎ取ったという事を聞かされました。


そしてわたしは齢二歳にして父を失うも、母と当然母方の祖母と、母の妹である叔母の四人暮らしに。わたし的には三人のママに囲まれて、愛情たっぷり注がれスクスクと育っていきました。

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