浮気じゃないけど、お詫びックス(健全)
テルミットに頬を舐められ、エレナの中の何かのスイッチが入るのを感じた。
自分の頬についたミルクを恍惚とした様子で舐めとり、こくりと動く喉を見ていると、どうしようもなく身体が熱くなる。
顔が赤くなっていく感覚。見られるのが恥ずかしくて、つい俯いてしまう。
ふと、テルミットが我に帰った様子で距離を取った。
「あっ、す、すみません!」
「う、うん。大丈夫……」
言葉とは裏腹に、内心では全然“大丈夫”ではなかった。早くなる鼓動。火照った身体が、愛しい人を求めてしまう。
「と、とにかく、風邪を引く前にお風呂に入っちゃいましょう!」
テルミットが有無を言わさずエレナを抱きかかえると、急いでエレナを脱衣場まで運んだ。
エレナがスカートを脱ぐと、ピンク色のショーツが、ブラウスの裾から顔を覗かせた。
頬を染めて、もじもじと太ももを擦りながら尋ねる。
「テルも一緒に入らないかい?」
精一杯のおねだりをしたつもりだったが、意外にも、テルミットは凛々しい顔で即答した。
「いえ、僕は服を洗ってきます」
エレナが脱いだ服をまとめると、足早にどこかへ行ってしまった。
あれだけ自分の身体に火を付けておいて、責任も取らずに行ってしまうなんて。エレナはムッと唇を尖らせた。
「……テルのバカ」
残されたエレナは、一人寂しく浴場で自分を慰めることになるのであった。
長い長い入浴を終え、風呂から出てもテルミットの姿は見当たらなかった。
「どこへ行ったんだろう」
屋敷を歩き回っていると、裏庭に見覚えのある姿を発見した。
「こんなところにいた。何をしてたんだ……」
エレナの言葉は、最後まで続かなかった。
エレナの視線の先。ブラジャーを広げて口をつけようとするテルミットを見て、固まってしまっていた。
エレナの脳裏に疑念がよぎる。まさかとは思うが、シていたのだろうか。エレナの下着で。
ギギギ、とテルミットが油の切れた人形のように振り向いた。
「あの、その、これは違うんです。せっかくエレナさんから作ってもらったホットミルクを無駄にしてしまうのはもったいないなぁ、と思いまして、その……
わ、悪いとは思っていたんですけど、でも、その……す、すみませんでした」
「……ヘンタイ」
エレナの言葉がテルミットに深々と突き刺さる。
返す言葉もなく小さくなるテルミットに、恨みがましい視線が送られる。
「服なんかに興奮しなくても、ここに本物がいるんだから、本物とすればいいのに……。テルの浮気者」
拗ねた様子で睨むエレナ。
普段の彼女とは違い、子供のような拗ね方をするエレナに、思わず力一杯抱き締めてしまうテルミット。
抱き締められただけだというのに、胸が温かくなる。決して離れまいと、テルミットの背中に腕を回した。
「ぎゅってしても、許してあげないよ」
緩みそうになる頬を、ぐっとこらえる。
テルミットの目が、熱を帯びた様子でエレナを見つめた。
エレナの首に。頬に。唇に、媚びるようにキスをする。
テルミットの唇が触れたところがピリピリと熱を持つ。まるで、唇がが触れたところが性感帯になってしまったような錯覚さえ覚える。
思わず漏れそうになる声を、必死に堪える。
「……キスしても、許してあげない」
緋色の瞳が、熱を孕んでテルミットを見上げる。
「じゃあ、どうすれば許してくれますか?」
わかってて言っているのだろう。エレナと同様に。あるいはそれ以上の期待が伝わってくる。
欲しくて欲しくてたまらない。そんなテルミットに、エレナは“許可”を出すことにした。
「ボクの服にしたのと同じくらい……。いや、十倍は愛してくれないと、許してあげない」
ックスの部分はノクターンに掲載されています。よろしければこちらのURLからどうぞ。
https://novel18.syosetu.com/n6484gk/34/
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