自由

@poyosis

第1話

アパートでの1人暮らしは自由だ。


何にも囚われず、全て1人で行動できる。


しかし、1人は良いが、不安にもなる。


私は警戒心が強く、心配症でもある。


鍵閉めたっけ…?


とか


エアコン付けっぱなしだった…?


とか


後ろの人が付いてきてる…?


などなど。


警戒心が強すぎて、疲れる。


毎回、私が何か行動する度、確認しなければならない。


バイトから帰る途中、


ん?


足音聞こえる…?


恐る恐る後ろを振り返ると…




誰もいない。


ホッ


「良かった」


歩き出す。












玄関の前、


ドアノブに袋が引っかけられている。


え?


なにこれ、


全く見覚えがない。


なにか入ってる…?


身体を後ろに引きながら、手だけを袋の方に伸ばし、


中を見てみると…






鍋。




鍋?


あ、肉じゃがか




隣の人にお裾分けしてたんだった。


ホッ


「ヤバいの入ってなくて良かった」






家に入る。


今日は疲れてもう早く寝たい。


ベッドに入る。


あれ…?


1人暮らしの女性。


深夜、遅くに帰ってくる。


ベッドに入る。








ベッドの下に斧を持った男…?




そんな感じの物語は何かで知っていて、


今、思い出した。




なぜか下に何かがあるような気がする。


荷物は置いてない。


何かいるのかな。




本当に斧を持った男…?


恐る恐る、ベッドの下を覗き込む。




え…?


本当に斧を持った男…?






実際にいた。


実際にいるパターン?


聞いたことない。




今までは警戒心が強すぎて余分に警戒をしていた。


全て、その警戒はハズレていた。


でも、今回ばかりは正解した。


私は警戒するけど、対策はしていなかった。


心のどこかで、あり得ないと思っていた。


その男と目があった。




「えっ」




…。




…。






…!!!






…。




…。


…。


















同棲は不自由だ。




何かにずっと囚われている。


僕の場合は、ベッドの下。






家主が家を出る時以外、


僕はずっとずっとここにいる。




そして、


今日、


僕は1人暮らしを始めました。




でも、


1人暮らしだけど、


不自由です。


人を家に呼べません。




外に漏らしてはもっと不自由な暮らしになります。


でも、この少しの不自由さに耐えかねない僕は、


明後日ぐらいに


同棲を始めます。


この家はもう飽きました。


僕はより良い自由を求めます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自由 @poyosis

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る