光の下で
@soramamei
第1話 星ヶ丘学園吹奏楽部
年に1回、7月下旬にしか体験できない。吹奏楽部にとって特別なもの。それは、【全日本吹奏楽コンクール】。その大会で金賞をとるために、星ヶ丘学園高等学校吹奏楽部は練習に励む…予定だった。
星ヶ丘学園高等学校吹奏楽部は決して弱い訳では無い。かと言って、金賞常連校でもない。良くてダメ金(県大会に出場できない金賞のこと)、悪ければ銀賞(いわゆる参加賞)。
そんな高校に入学した有瀬
「もーっ!この学校最っ高!校舎も綺麗で、制服も可愛くて。良かったーここに入学できて!」
「相変わらず澪來ちゃんは元気やねぇ。確かに制服はすごく可愛いわぁ。あ、部活どうすんの?」
「もちろん吹奏楽やで。中学で吹奏楽を愛してやまなかったのに、入らんくてどうするんや。あ、みっちゃん吹奏楽はいろーや!」
「ええ…私、中学の時バドミントンやったしなぁ…。」
「楽しかった?」
「うっ…向いていないと悟りました…。」
「じゃ吹奏楽はいろーや!」
と、その時目の前から大声が聞こえた。
「すいそうがくぶーー!部員募集中でぇーーすっ! 入りたい人ここに来てええぇ!」
裏声になりながらも叫んでいる、吹奏楽部の部長らしき人に、2人は思わずビクッとしてしまった。
周りでチラシを配ってた子達がそれに気づき、焦った様子で
「ちょっ…美雅叫びすぎやて…。新入部員の子らがビビってまうがな…。」
「そか?叫んだ方が吹奏楽アピール出来るわ。しかも興味ありげな子が近くにおるよ?しかも2人も!」
「そこの…2人…はぁ、はぁ、吹奏楽に入りたいんでしょ?…っはぁ、良ければこの入部…届にサインしてくれんか?」
いかにも疲れた様子で、ぐしゃぐしゃになった入部届を渡す。
2人は目を合わせ、脳裏にはてなマークを思い浮かべるが、とりあえずサインだけして、疲れ果てた先輩に渡す。
「ぬああああありがとおおおっ!やっと1年勧誘できたあぁ!」
『は…はぁ。』
興奮が戻った美雅の元に、さっきチラシを配っていた先輩たちが追いつき、代わりに説明してくれる。
「ごめんねぇ…美雅は吹奏楽のことになったら興奮してまうんや。これでも一応部長やねんで?逢坂
先輩たちのあとをついて行った先を見て、思わず澪來は
「え、ここが部室?」
と声をあげてしまった。さっきまで優しかった先輩達が[それは言うな。]みたいな目で見つめてきたが、そのことをスルーして、
「はーい。ここが星ヶ丘学園吹奏楽部部室でーす!」と美雅が言った。
2人は、部室の姿に驚いてしまった。
ー第二話へ続くー
光の下で @soramamei
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