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囚われた兵士は やっと 解放されたのだろう

どうぞ 安らかに

死をもっての ついの平和


僕は ゆっくりと 指を 鍵盤に落した

あの日 青年が弾いていたのは この曲だ

そして その時 兵士が聞いたのは この曲だ


郷愁を帯びた とりわけ 感傷的なこの旋律は

兵士の心を 捕らえたに違いない

静かに 緩やかに 締め付けるように


青年は あと 何日もしないうちに

戦争のない国で 思う存分 学ぶはずだった

どこまでも開かれた世界を見つめて


しかし 一端の帰省で見た故郷の光景は変貌し

一面に広がる緑さえ さめざめしく震えるあがり

祖国を去るには さぞ 忍びなくあったであろう


だから 一層 青年は 故郷に思いを寄せて

そして 兵士は 魅せられたに違いない

血にまみれた 逃げ場のない日々の中で

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