21頁

僕らは どう 平和を保てばいいのだろう

しばらくして あの介護士から 連絡がきた

あの囚われの老人は 亡くなったと


あの曲を たむけてくれと 頼まれた

勿論 僕は 断った

しかし 死をも跳ね返す若さは 魅惑的だ


強引なお迎えには 断りきれず

少年のお供は 若い娘への配慮で

僕は 言われるままに 車に乗り込んだ


あの後 囚われの老人は

願うように 詫びるように

あのフレーズを抱いて 召されたという


「あの方は 戦争で 奥さんとお腹の子を亡くしました

 お奥さんは 敵対する民族の娘で

 結婚する時は それでも まだ平和で


 しかし 彼は 反乱軍に身を投じ

 奥さんは 敵の砲弾にあい

 お腹の子は 味方の少年達に殺されました」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る