あとかたの旋律

苔田 カエル

ある青年への追憶

1頁

平和とは なんと不確かなものか

今を 平和と言えるのだろうか

多分 昔に比べればね


人の生きた証など なんと不確かなものか

僕は 生きたという証を立てられるだろうか

多分 人の記憶に残っていればね


全ては 幻だったのかもしれない

流れた血を戻すとしたら

きっと 人を殺す代わりに記憶を消すんだろうね


だって 僕に人は殺せるかい?

だったら 君は人を殺せるかい?

だけど 兵士は人を殺す


兵士は 無抵抗な人間でも撃つのだろうか?

多分 兵士は撃つんだろうね

それが 戦争だから


でも 僕にはどうしても割り切れない

何故 兵士は青年に銃口を向けたのか

希望しか持っていない 青年にだ

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