フリーターズ・アニマドライブ！

プロローグ

　みなさんは『アニマ』を知っていますか？　

　乗り物として陸海空を往くアニマ、ペットとして人を癒すアニマ、家畜として糧となるアニマ、人に害をなすアニマ————彼らは、そうやって古くから、人類と、時に共生し、時に退け合う隣人のような動物たちです。

　人が乗って陸海空を縦横無尽に駆け回る“乗り物系アニマ”。

　人に飼われ、その愛くるしい容貌でただひたすらに可愛がられる“ペット系アニマ”。

　通行を妨げたり、作物を荒らしたりして人から疎まれる“害獣系アニマ”。

　そして人の仕事を助けたり、害獣アニマと戦ったりする“作業・戦闘系アニマ”。

　人々はそんなアニマを使役したり、愛でたり、駆除したりしています。

　そんな世界。ここでは今「フリーター」と呼ばれる人たちが活躍しているようです。

　この世界には『ニホヌ』という国があります。ミーラシア大陸の東に位置するそこそこ大きな島国です。

　コンクリートの高層ビルが立ち並ぶ大都会。

　そこそこの高さの建物が集まる地方都市。

　堤防に潮風が吹きつける港町。

　木々や作物の葉が風にざわめく農村。

　そういった何気ない景観を、春夏秋冬が気まぐれに転がしていくのがこの国の魅力です。

　はてさて、アニマに囲まれたニホヌのフリーターたちの日常とはどのようなものなのでしょうか——少し覗いてみましょう。